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Page:EkiToJinsei.djvu/35

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の眞理を發揮したものである。著者は黃帝と稱せらるれども元より漢時代の產物であつて不明である。僅かに四百四十四字の小篇であるが之を實行する時は終身盡きざるものがある。

 陰符經は普通の人よりも深き見識を以て著はされたるものであるから凡て人の氣の付かざる所又は氣付いても實行し難き處に其立脚地を置いたものである。されば表面を見ずして裏面を見、動を主とせずして靜を主とし、明に居らずして暗部に居るといふが如き具合である。 故に曰はく

天發殺機移星易宿地發殺機龍蛇起陸。人發殺機天地反覆。

生殺の二端に付いて殺の力あることを認めたものである。又「天有五賊一見之者昌」とある樣に五行(水火木金土)が相剋することをいふた迄であるが之を賊として觀察したのが普通人に異なる處である。

 宋の周茂叔は「主靜焉」といふたが矢張り道家者流の思想である。陰