それ以上話すことを拒んだ。出発時間が迫っていたので、他の人に聞く暇もなく、すべてが謎めいていて、決して安心できるものではなかった。
私が帰ろうとすると、老婦人が私の部屋にやってきて、とてもヒステリックな様子で言った。
"行かねばならないのですか？ああ、若旦那、行かねばならないのですか」と。彼女は興奮状態で、自分の知っているドイツ語がわからなくなったようで、私がまったく知らない他の言語と全部混ざってしまった。私はただ、いろいろと質問をして彼女をフォローするのが精一杯だった。私がすぐにでも行かなければならないこと、そして重要な仕事に従事していることを告げると、彼女は再び尋ねた。
「今日が何の日か知っていますか？」私は「5月4日です」と答えた。彼女は首を横に振りながら、また言った。
「ああ、そう！知っていますよ！でも、今日は何の日か知っていますか？」。私がわからないと答えると、彼女はさらに続けた。
「聖ゲオルギウス祭の前夜祭ですよ。今夜、時計が真夜中を打つとき、世の中のすべての悪いものが完全に支配されることを知らないのですか？あなたはどこに行くのか、そして何をしに行くのか知っていますか？」彼女は明らかに苦痛を感じていたようだったので、私は彼女を慰めようとしたが、効果はなかった。ついに彼女は膝をついて、「行かないで、せめて一日か二日待ってから出発してください」と懇願した。とてもバカバカしいことだが、私は気が進まなかった。しかし、やらなければならないことがあり、それを邪魔するものは何であれ許せなかった。そこで、私は彼女を立たせ、できるだけ重々しく、彼女に感謝するが、私の義務は急務であり、行かねばならない、と言った。すると彼女は立ち上がり、目を拭き、首から十字架をとって私に差し出した。私はどうしたらいいかわからなかった。イギリス国教会信者として、このようなものはある意味偶像崇拝とみなすように教えられてきたからだ。しかし、これほど意味のある、これほど精神状態の良い老婦人を断るのはとても不潔に思えた。彼女は私の顔に疑念が浮かんだのを見たのだろう、ロザリオを私の首にかけ、「あなたのお母さんのために」と言って部屋を出て行った。この日記は、もちろん遅れてくる馬車を待っている間に書き上げたものである。
