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に投ぜられ、又たシシフアスの苦役を命ぜらるゝことありき。時としては、小兒に與ふるに凍餓の苦を以てして、即ち堅忍不拔の精神を磨勵する所以なりとしたり。いたいけなる稚兒の遠國に使ひすることあり、冬天朝餐に先んじ、裸足師家に走りて、書を講ずることあり、又た一月一二次、天滿宮の祭日を卜し、數輩の少年相會して、徹宵輪講をなすことありき。刑塲、墓地、化物屋敷の如き荒凉たる地に賽するも亦た、少年の快とする所なりき。甚しきは斬首の刑あるや、少年の輩は、其悽愴たる光景を目睹すべきを命ぜらるゝのみならず、而も闇夜單身刑塲に赴き、梟首に印して歸るべきを命ぜらるゝこともありき。

 今日の敎育論者は斯の如く、スパルタ主義の極端に馳せ