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Page:Bushido.pdf/68

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はしく、最も怪しむべき假面なり』と云へるは、亦た以て義理を評すべきにあらずや。義理は義しき道理に遠ざかり、其名美にして、却て其實を誤り、其翼の下には、詭辯、僞善等あらゆる醜汚を包蔽せり。故に武士道若し、敢爲堅忍の精神たる勇の念の、明敏牢確なるものなかりせば、所謂『義理』は一變して、怯懦の巢居と化したるべし。