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Page:Bushido.pdf/274

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統一的勢力は、區々たる階級精神の仇敵なり。而して史家フリーマンの酷評せるが如くに、シヴアリーは卽ち階級精神なり。近世の社會にして、若し統一を標榜せんか、此の史家の曰へるが如く、『特殊なる一階級の利益を打算して作成せる純乎の個人的義務』は、其の存在を容すこと能はず。之れに加ふるに、普通敎育、工藝、實業、習慣、富力及び都市生活等の發達せるあり。今や達人の利劍も、武士道が强弩の飛箭も、亦た施すに所無きは、炳として火を睹るよりも明かなり。名譽の盤石上に建設せられ、又た此れを以て金城鐵壁となせる國家は――之を稱して廉恥國エーレンスタートとせん乎。或は又たカーライルに倣ひて英雄國ヒロアーキ―と謂はん乎――將に屁理窟ロジツク、チヨツピングの武器を提げたる曲言の法律家、迷語の政治家の掌中に陷