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Page:Bushido.pdf/196

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武士道の敎ふる所は、實に是にあり。曰く堅忍正念能く百難千苦に抗すべしと。孟子說いて曰はずや、『天將大任於是人也、必先苦其心志、勞其筋骨、饑其體膚、空乏其身、行拂亂其所_爲、所以動心忍性曾益其所_能』と。眞の名譽とは、天の命ずる所のものを成就するの謂ひなり。之れが爲に招くの死は必ずや耻辱に非らず。然るに、一死以て天の賦與する所を免れんとするが如きは、眞に怯儒なりと云ふべし。サア、トマス、ブラウンの奇書『醫道宗敎レリギオ、メデイシ』は、英語を以て我國武士道の常に敎ふる所と其軌を一にせる訓戒を說破して曰く、『死を輕んずるは勇なり。されど生の死よりも恐るべきに臨んで、敢て生を求むるは、眞の大勇なり』と。古への名僧の諷言にも、『平生何程口巧者に云ふとも、死にたる