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則ち鐸を以て之れをとゞばいを啣み誓糗せいきうす、坐して膝行して之れを推し、戮をり顧を禁じさわいで以て之れに先んず、若し畏るゝこと甚だしければ則ち戮殺する勿れ、示すに顏色を以てし之れに吿ぐるに所生を以てし其の職をしたがかへりみる。

 凡そ三軍は人々分日を戒む、人々不息を禁ず、以て食を分かつべからず、その疑惑にあたつていくさすべく服すべし、凡そ戰は力を以てすれば久しく、氣を以てすれば勝つ、固きを以てすれば久しく、危きを以てすれば勝つ、本心固く新氣勝つ、甲を以て固く兵を以て勝つ、凡そ車は密を以て固く、徒は坐するを以て固く、甲は重きを以て固く、兵は輕きを以て勝つ、人勝心かつこゝろあらばだ之に敵して視る、人畏心おそるゝこゝろあらば惟だ之を畏れて視る、兩心こもごも定まり兩利一の如くばふたつながら之れが職を爲す、惟だはかつて之れを視よ。凡そ戰は、かろきを以て輕きを行かば則ち危し、重きを以て重きを行かば則ち功なし、輕きを以て重きを行かば則ち敗る、重きを以て輕きを行かば則ち戰ふ。故に戰は輕重を相爲し、舍するには甲兵を謹み、行くには行列を愼み、戰には進止を謹む。凡そ戰は敬するときは則ちけんす、ひきゐるときは則ち服す、上煩しきときは輕く、上暇なるときは重し、鼓を奏すれば輕く、鼓を舒すれば重し、服膺なるときは輕く、服美なるときは重し。凡そ車馬堅く甲兵利なるときは輕くとも乃ち重し、同をたつとぶときは獲ることなし、專をたつとぶときは死多