Page:Bukyō shitisyo.pdf/61

提供:Wikisource
このページは検証済みです

見て謀ることなし、誅を聽いて其名をあざむくことなく、其旗を變ずることなし。凡そ事善なるときは則ち長し、古にれば則ち行はる、ちかひ、章をせば人乃ち强くして厲祥を滅す。厲を滅するの道、一に曰く義、之に被らしむるに信を以てし、之に臨むに强を以てし、基を成して天下の形を一にするときは人よろこばざるなし、是を其人を兼ね用ふといふ。一に曰く權、其溢を成して其好みを奪ひ、我はその外よりし、使つかひ其の內よりす。一に曰く人、二に曰く正、三に曰く辭、四に曰く巧、五に曰く火、六に曰く水、七に曰く兵、を七政と謂ふ。榮、利、恥、死、是を四守と謂ふ。色をかたちづくり威を積むは意を收むるに過ぎず、凡そ此道や、唯だ仁、親あり。仁ありてしんなくばかへつての身を敗る、人を人とし正を正とし辭を辭とし火を火とせよ。凡そ戰の道は旣にその氣を爲して、因て其の政を發す、之れに假すに色を以てし、之れをみちびくに辭を以てし、懼に因て戒め、欲に因てつかふ、敵を踏んで地を制し、職を以て之を命ず、是を戰法といふ。凡そ人の形は衆のもとめに由る、試むるに名行を以てせば必ず善く之れを行ふ。若し行、行はれざるときは、身以て之れをひきう、若し行、行はるゝときは、因つて忘るゝ勿らしむ、三たびすれば乃ちあやを成すは、人生の宜なり、之れを法といふ。

 凡そ亂を治むるの道、一に曰く仁、二に曰く信、三に曰く直、四に曰く一、五に曰く義、六に