れば、之(こ)れを略(りやく)し、此處(こゝ)には唯(たゞ)其(そ)の器具(きぐ)を圖(づ)にて示(しめ)すに止(とゞ)むべし。
婦女(ふぢよ)の娛樂(ごらく)として使用(しよう)するムツクリといふ小樂器(せうがくき)あり。竹(たけ)にて製(せい)し、長(なが)さ五寸(すん)位(ぐらゐ)、其(そ)の中央(ちうあう)に舌(した)を附(ふ)す、長(なが)さ三寸(ずん)五分餘(ぶよ)、厚(あつ)さ一分餘(ぶよ)、根(ね)の方(はう)を穿(うが)ち絲(いと)を通(つう)ず。此(こ)の器(き)を唇(くちびる)の間(あひだ)に押當(おしあ)て、氣息(いき)を吹(ふ)くと同時(どうじ)に、絲(いと)を引(ひ)きて舌(した)を振動(しんどう)せしむるときは、氣息(いき)の緩急(くわんきふ)によりて種々(しゆ〴〵)の音(ね)を發(はつ)するなり。