のぞきながめやれば。内より僧の有が出て我が手を取て引入れ。所〳〵をことわけていゝきかせ給ひしが中〻結構に奇麗なる事かたらんとするに言葉をしらず先地には白かねこがねなどの沙いさごを敷みて。所〳〵には。いろ〳〵にひかる玉などにて。垣をしわたし。さて其間〻に。さま〳〵のうへ木草花。うねなみよくうへそろへ。花も有実も有青葉も有紅葉もあり。つぎほにつぎ穂をかさね。ゑもいわぬ香ひかうばしき樹どもいくらと云数かぎりなし。さて其次には。たからの玉にて堤を築たる池の中に。蓮の花の色よく。赤く白く青く黄色に。まん〳〵と咲みだれたる花のうへに。はだへもすきとをりたる人のあそびたわむれ居られしなど。面白くうら山しく。我ももろ共にあそびたくこそ思ひけめさて其次には。大き成屋の門に入て見れば。弘經寺の佛殿などよりも中〳〵すぐれたるかまへにて。黄げさ黄衣をめされたる御僧達の。いくらともなく並居たまへるに。とり〳〵に名もしらぬかざり物共をならべたて。或は佛事作善などやうの所もあり。あるいひはだんぎ法會のていに見へたる所もあり。あるひは世にとうとげなる僧達のおゝく集り居て。何とも物をいわでもく〳〵として居られし座敷も有。あるひはかね太鼓笛尺八や。其外いろ〳〵の鳴物共。拍子をそろへて舞ひあそ