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もろ人と共にかざゝむいく秋もまがきに匂へしら菊の花

庭前紅葉

松が枝にまじるもみぢの色ふかみ山べおぼゆる庭のおもかな

をりにふれて

いさみたつ駒にくらおけ飛鳥山そめはじめたる紅葉みてこむ

山路落葉

嵐ふくやまぢをゆけば松の葉も紅葉と共にみだれてぞちる

庭雪

みな人のちからあはせて庭のおもにきづきあげたる雪のしら山

馬上雪

いさみたつ駒にうちのり吹上のにはの雪見にいでしけさかな

鴨場

みなびとの手ごとにもたる網のめをのがれかぬらむあはれ水鳥

明治十七年

庭鶯

我庭のうめの林のひろければよそにうつらぬ鶯のこゑ

山ふかく狩しけるをりにうぐひすのなくをきゝて

はるふかき山の林にきこゆなり今日をまちけむ鶯の聲

夏草深

いつのまに生ひしげるらむとのもりが刈らぬ日もなき庭の夏草

晴夜夏月