Page:成沢玲川『米国物語』.djvu/88

（櫻府（サクラメント））櫻（おう）府（ふ）日報。（フレスノ）中加時報。（羅府（ロスアンゼルス））南加時事、萬週報、實業 週報、大正時報、外人の聲、星龜浩帳。（沙港（シアトル））日米評論、藝備人、ドンチキ、 佛の敎、北米敎報、日米時報、時代研究。（タコマ）タコマ時報。（素市（スポーケン））素法縣 タイムス。（傳馬（デンバー））コロラド新報、傳馬新報。（鹽湖（ソートレーキ））絡機（ロツキー）時報、ユタ日報。

此等の新聞雜誌は何（いづ）れも活字を日本より取（とり）寄（よ）せ、萬事日本人の職（しよく）工（こう）でやつて 行くのである。購（こう）讀（どく）料（れう）は日刋一ケ月三十五仙より七十五仙迄で、廣告に變（へん）化（くわ）の 少（すく）ないことは一寸人の注意を惹（ひ）く、最も在留同胞を相手の事で、斬（ざん）新（しん）な意（い）匠（しやう）を 凝（こ）らして目先を更（か）へる必要もなく、謂（い）はゞ一種の看（かん）板（ばん）廣吿であるから、同一の 廣吿を二年も三年も組（く）んだ儘（まゝ）動（うご）かさぬのもある。

發（はつ）行（かう）紙（し）數（すう）は在留者の全數が十萬しが無いのであるから推（お）して知るべきで、輪（りん） 轉（てん）機（き）を用（もち）ふるものは其二三に過（す）ぎぬ。新聞經營の困難なるは母（ぼ）國（こく）と同じことで