在米同胞の在る處必ず米の飯がある如く、又必ず邦字新聞が有る。前者を民
族的の兵糧とすれば、後者は國民的の心の糧である。在留同胞を自覺せしめ、
之を今日の狀態に善導したのは、外より來つた力ではなくして、內より萠え出
でた邦字新聞の功蹟が其多きに居ると謂ひ得るだらう。
太平洋沿岸には邦字新聞雜誌の數も多いが、各地方を代表する日刋新聞は、
桑港の『日米』『新世界』(各八頁乃至十二頁)沙港の『北米時事』『旭新聞』『大
北日報』(各八頁)ポートランドの『央州日報』(六頁)。羅府の『羅府新報』『羅
府朝日』(各八頁)の八紙を擧げねばならぬ。就中最大なるものは桑港發行の二
紙で啻に加州のみならず、殆んど在留地全般に亘つて讀者を持つて居る。其他
各地に於て發行のものは、
(桑港)北辰新報、米國佛敎、奮鬪、日本及米國、新韓民報、管絃の友、