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Page:小倉進平『南部朝鮮の方言』.djvu/218

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  • んがみさん」と言つて居る。老人の話によれば、對馬では古くから此の語を使用し たといふことである。
  • はえ。海邊の淺瀨にあり、潮の干滿により見えつ隱れつする暗礁の如きものをい ふ。岩石の海中に突出せるものを「出ばえ」といひ、又此の岩石に群棲する一種の 蟲を「はえ蟲」といふ。此の「はえ」なる語は朝鮮語바위(岩)の轉訛と思はれる。
  • はん。役名であつて、朝鮮字音の轉訛である。今日は廢語である。
  • ふんだう。昔時通譯の任に當つた役人の職名で、「和交覺書」其の他の書に散見する。こ れまた朝鮮語の訛りである。
  • べるさい。訓導に隷屬した役人の職名で、前條訓導と合稱する場合にはふんべるともいつ た。

右の外小なることを「ちよっこめい」といふのは朝鮮語젹다(小)の轉、小兒が火を指し て「ぷ」といふのは불(火)の轉、食ふことを「むくる」といふのは먹다(食ふ)の轉であ るといふ者もあるけれども、此等は必ずしも朝鮮語の力を待たねばならぬやうにも