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とあるが如きは其の一例である。蓋し玆にある 居穉(音거치、今京城地方では거적といふ) 羅洛(音나락、慶尙道地方では今も一般に稻を나락といふ) 請伊(音청이、京城地方では箕を키といふが、청이は其の轉訛である。今日でも慶尙道地方では쳥이又は체・치の如くいふ) 沙暢歸(音사창귀、此の語未詳) 丁支間(音뎡짓간、今日京城地方では厨房を정짓간といふ) 等の語は當時の慶尙方言を寫したものである。余は此の例に 倣ひ慶尙道方言中の特種なる單語若干を擧げて說明を加へ、更に語法上の隱れた現 象に就き觀察を與へ、以て該方言が朝鮮語の古形を傳へ、由來する所亦極めて悠久 なるものの存することを明かにしたいと思ふ。