Page:小倉進平『南部朝鮮の方言』.djvu/173

提供:Wikisource
このページは校正済みです
  • 假厮兒と假斯那海とは其の音訓相近し

    とて金語と語原を同じうするものならざるかを論じて居るが、これまた研究を要す る。睿宗實錄元年の條に「稱李爲威陽加氏」とある文の註に「俗號姬妾爲加氏」とある 加氏(가시)の如きも此の語と關係あるものではなからうか。

  • 나락(稻) 中部朝鮮以北には通用せられぬ語である。李德懋の「靑莊舘全書」にも 「羅洛者稻也」と註してある。此の語の原義に關しては「東寰錄」に「今嶺南湖南人 謂稻曰羅祿、或云新羅廩百官用稻代米故云」と說いてある。
  • 기울(鶴) 거의(鵝)を嶺南の多くの地方では게우・기우などいふが、浦項附近で は之を기울といふ。「三國史記地理志巨濟郡鵝州縣の條に

    州縣本巨老縣、景德王改名今因之」

    とあるが、巨老は音거로で鵝の訓に當るものなるべく、方言の기울はは蓋し當時の古 語を傳へたものであらう。

  • 거링(細流) 「細流の水」を걸물ともいふ。慶州・義城地方に於て聽取した。「三