馬太傳福音書(明治元訳) 第三章

提供:Wikisource

第三章[編集]

1 當時そのころバプテスマのヨハネきたりてユダヤののべつたへて
2 いひけるは天國てんこくちかづけりくいあらためよ
3 しゆみちそなへその路線みちすぢなほくせよとよべひとこゑありと預言者よげんしや(※1)イザヤがいひひとなり
4 このヨハネは駱駝らくだ毛衣けごろもをきこしかはおびをつかね蝗蟲いなご野蜜のみつ食物しよくもつとせり
5 このときエルサレムおよびユダヤをこぞりまたヨルダンの四方しはうより人々ひとびといでてヨハネにつき
6 おのつみくいあらはしヨルダンにてかれよりバプテスマをさづけられたり
7 バプテスマをうけんとてパリサイおよびサドカイの人々ひとびとおほきたれるを彼等かれらいひけるはまむしすゑたがなんぢらにきたらんとするいかりさくべきことをつげしや
8 されくいあらためかなむすべよ
9 爾曹なんぢらわれらが先祖せんぞにアブラハムありいふことをおもなかわれ爾曹なんぢらつげかみよくこのいしをもアブラハムのならしめたまふなり
10 いまをのおかゆゑすべよきむすばざるきられてなげいれらるべし
11 われ爾曹なんぢらくいあらためさせんとてみづ爾曹なんぢらにバプテスマをさづわれよりのちくるものわれまさり能力ちからありわれそのくつとるにもたらかれ聖靈せいれいをもて爾曹なんぢらにバプテスマをさづけ
12 にはもちその禾場うちばきよむぎあつめそのくらにいれからきえざるにてやくべし

13 このときイエス、ヨハネにバプテスマをうけんとてガリラヤよりヨルダンにきたたま
14 ヨハネいなみいひけるはわれなんぢよりバプテスマをうくべきものなるになんぢかへつわれきた
15 イエスこたへけるはしばらゆる如此かくすべてのただしこと我儕われらつくべきなりここおいてヨハネかれゆるせり
16 イエス、バプテスマをうけみづよりあがれるときてんたちまこれためにひらけかみみたま鴿はとごとくだりそのうへきたるを
17 またてんよりこゑありてわがこころかなふわが愛子あいしなりといへ

※1 明治14(1881)年版では「預言者」のルビが「よげんじゃ」。