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貴族院多額納稅者議員互選規則 (明治二十二年勅令第七十九号)

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朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ貴族院多額納稅議員互選規則ヲ裁可シ之ヲ公布セシム此ノ勅令ヲ實施スルノ時期ハ朕カ更ニ命スル所ニ依ルヘシ

御名御璽

明治二十二年六月四日

內閣總理大臣伯爵黑田  淸隆

勅令第七十九號

貴族院多額納稅議員互選規則

第一條  貴族院令第六條ニ依リ貴族院議員ヲ互選スルハ互選名簿調製ノ期日ヨリ前滿一年以上其ノ府縣內ニ於テ本籍ヲ定メ住居シ多額ノ直接國稅ヲ納メ仍引續キ住居シ及納稅スルタルヘシ

第二條  家督ニ由リ財產ヲ相續シタルハ其財產ニ付前財產主ノ納稅額ヲ以テ其ノ納稅資格ニ算入ス

第三條  神官及諸宗ノ侶又ハ敎師ハ互選人タルコトヲ得ス

第四條  左ノ項ノ一ニ觸ルヽハ互選人タルコトヲ得ス

  瘋癲白癡ノ

  公權ヲ剝奪セラレタル又ハ停止中ノ

  禁錮ノ刑ニ處セラレ滿期ノ後又ハ赦免ノ後滿三年ヲ經サル

  舊法ニ依リ懲役ノ刑ニ處セラレ滿期ノ後又ハ赦免ノ後滿三年ヲ經サル

  賭博犯ニ由リ處刑ヲ受ケ滿期ノ後又ハ赦免ノ後滿三年ヲ經サル

  衆議院議員ノ選擧ニ關ル犯罪ニ依リ選擧權及被選擧權ノ停止中ノ

第五條  陸軍軍人ハ現役中互選人タルコトヲ得ス其ノ休職停職ニ在ル亦同シ

第六條  刑事ノ訴ヲ受ケ拘留又ハ保釋中ニ在ルハ其ノ裁判確定ニ至ルマテ互選人タルコトヲ得ス

第七條  互選人選擧ニ關リ輕罪以上ノ罪ヲ犯シタルトキハ互選名簿ヨリ除名セラルヘシ

第八條  府縣知事ハ選擧ヲ行フノ年四月一日ヲ期トシ其ノ府縣ニ於テ互選資格ヲ有スル十五人ノ名簿ヲ調製スヘシ

互選名簿ハ互選人ノ姓名、職業、身分、住所、生年月、土地或ハ工業商業ニ付納ムル所ノ直接國稅ノ細別及總額竝ニ納稅地ヲ記載スヘシ

第九條  納稅同額ノアルトキハ生年月ノ長ヲ先ニシ同年月ノハ抽籖ヲ以テ之ヲ定ムヘシ

第十條  府縣知事ハ四月二十日マテニ互選名簿ヲ各互選人ニ配付シセテ之ヲ管內ニ吿示スヘシ

第十一條  互選資格ヲ得ヘキニシテ自ラ互選名簿ニ記載セラレサルコトヲ發見シタルトキハ吿示ノ後十五日以內ニ其ノ理由書及證憑ヲ具ヘテ府縣知事ニ申立ツルコトヲ得

凡テ互選資格ヲ得タルハ互選資格ヲ得ヘカラサルノ互選名簿ニ記載セラレタルコトヲ發見シタルトキハ前項ノ手續ニ依リ改正ヲ求ムルコトヲ得

期限ヲ經過シタル後申立ヲ爲スモ其ノ效ナシ

第十二條  府縣知事前條ノ申立ヲ受ケタルトキハ之ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ判定スヘシ判定ノ結果ニ依リ名簿ヲ改正シタルトキハ其ノ由ヲ關係人ニ通知シセテ管內ニ吿示スヘシ

第十三條  互選名簿ハ六月一日ヲ以テ確定期限トス

第十四條  選擧ハ六月十日府縣廳ニ於テ之ヲ行ヒ府縣知事又ハ其ノ代理之ヲ管理ス

第十五條  府縣知事ハ投票ノ時刻ヲ定メ遲クトモ選擧ノ期日ヨリ七日前ニ各互選人ニ通知書ヲ發スヘシ

第十六條  互選人ハ自ラ選擧會場ニ至リ投票スヘシ

投票ハ被選人ノ姓名ヲ記載シ次ニ自己ノ姓名ヲ記載スヘシ

第十七條  互選人疾病事故ニ因リ選擧會場ニ至ルコト能ハサルトキハ醫師ノ診斷書又ハ事由書ヲ具ヘ投票ヲ封緘シ其ノ表面ニ記名捺印シテ之ヲ他ノ互選人ニ委託スルコトヲ得

第十八條  投票終ルノ後選擧管理ハ互選人ノ面前ニ於テ投票ヲ點檢シ其ノ結果ヲ吿知スヘシ但シ當選人其ノ場ニ在ラサルトキハ文書ヲ以テ速ニ其ノ由ヲ本人ニ通知スヘシ

第十九條  投票效力ノ有無ニ付疑義アルトキハ選擧管理之ヲ決定ス

第二十條  投票ノ最多數ヲ得タルヲ以テ當選人トス

投票同數ナルトキハ生年月ノ長ヲ以テ當選人トス同年月ナルトキハ抽籖ヲ以テ之ヲ定ムヘシ

第二十一條  當選人ニシテ其ノ當選ヲ辭スルトキハ次ノ投票多數ヲ得タルヲ以テ當選人トスヘシ

當選人當選ヲ辭スルコトヲ得ルハ選擧ノ日ヨリ十日以內ニ限ル

第二十二條  當選人確定シタルトキハ府縣知事ハ當選人ノ資格及選擧ノ顚末ヲ錄シテ內閣總理大臣ニ報吿スヘシ

第二十三條  選擧管理ハ選擧明細書ヲ作リ選擧ニ關ル一切ノ事項ヲ記載シ名捺印シ其ノ副本ヲ貴族院ニ送致スヘシ

第二十四條  議員ニ闕員ヲ生シタルトキハ議長ヨリ之ヲ上奏シ勅旨ヲ以テ補闕選擧ヲ行フヘキコトヲ其ノ府縣ニ命スヘシ

補闕選擧ヲ行フノ時期及手續ハ通常選擧ノ例ニ同シ

第二十五條  補闕議員ノ任期ハ前議員ノ任期ニ依ル

第二十六條  貴族院令第九條ニ依リ貴族院ニ出訴スルノ期限ハ開會ノ後十日以內トス

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