臨時財産調査令

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内閣総理大臣兼
第一復員大臣
第二復員大臣
 男爵  幣原喜重郎
内 務 大 臣   三土忠造
司 法 大 臣 岩田宙造
外 務 大 臣 吉田茂
国 務 大 臣 松本烝治
厚 生 大 臣 芦田均
大 蔵 大 臣  子爵  渋沢敬三
商 工 大 臣 小笠原三九郎
国 務 大 臣 小林一三
文 部 大 臣 安倍能成
農 林 大 臣 副島千入
運 輸 大 臣 村上義一


原文[編集]

朕茲二緊急ノ必要アリト認メ枢密顧問ノ諮絢ヲ経テ帝国憲法第八條第一項二依り臨時財産調査令ヲ裁可シ之ヲ公布セシム

御名御璽

昭和二十一年二月十七日

第一條 本命ハ戦時利得ノ排除、国家財政ノ再建、国民 経済ノ安定等ヲ目途トスル新税ノ創設及確保二資スル 為命令ヲ以テ定ムル時期(以下調査時期卜称ス)ニ於 ケル個人及法人ノ財産等ヲ調査スルヲ以テ目的トス

第二條 調査時期ニ於テ左二掲グル財産ヲ有スル者ハ命 令ノ定ムル所二依り当該財産二関スル事項ヲ税務署二 申告スべシ

  1. 預金、貯金其ノ他此等二準ズル債権ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
  2. 公債、社債、株式其ノ他此等二準ズル財産ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
  3. 手形又ハ小切手ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
  4. 投資信託ノ受益権ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
  5. 前各号二掲グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル財産

前項ノ場合二於テ同項二規定スル者(其ノ者ガ法人ナ ルトキハ当該法人ノ代表者及支配人其ノ他ノ代理人) ガ調査時期二於テ本州、北海道、四国、九州及命令ヲ 以テ定ムル其ノ附属島嶼二住所及居所ヲ有セザルトキ ハ命令ノ定ムル所二依り同項二規定スル者又ハ当該財 産ヲ管理スル者同項ノ申告ヲ為スべシ

当該有価証券其ノ他当該財産ヲ証スル書面ヲ保管スル 者ハ命令ノ走ムル所:依り本人二代リテ第一項ノ申告 ヲ為スコトヲ得

第三條 調査時期ニ於テ現二存スル左二掲ゲル契約ニシ テ命令ヲ以テ定ムルモノノ契約者又ハ郵便年金受取人 ハ命令ノ定ムル所二依り当該契約二関スル事項ヲ所轄 税務署二申告スべシ

  1. 生命保険契約
  2. 金銭信託契約(投資信託契約ヲ除ク)又ハ有価証券信託契約
  3. 無尽契約
  4. 郵便年金契約

前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合二付之ヲ準用ス

第四條 日本銀行券預入令第二條第一項ノ規定二依ル預 金、貯金又ハ金銭信託ヲ為サントスル者及同条第二項 ノ規定二依ル支払ヲ請求セントスル者ハ命令ノ定ムル 所二依り当該預金、貯金、金銭信託又ハ支払請求二関 スル事項ヲ所轄税務署二申告スべシ 第二條第二項ノ規定ハ前項ノ場合二付之ヲ準用ス

第五條 法人ハ命令ノ定ムル所二依り調査時期二於ケル 財産目録、貸借対照表、動産及債権債務二関スル明細 書其ノ他ノ書類ヲ作成シ之ヲ所轄税務署二提出スべシ

第六條 命令ヲ以テ定ムル事業ヲ為ス個人ハ命令ノ定ム ル所二依り調査時期二於テ其ノ事業二関シテ有スル動 産及債権債務二関スル事項ヲ所轄税務署二申告スべシ

第七條 第二条又ハ第三粂ノ申告ヲ為サントスル有ハ命 令ノ定ムル所二依り当該有価証券其ノ他当該財産又ハ 契約ヲ証スル書面ヲ所轄税務署二提出スべシ

第八條 第二條又ハ第三條ノ申告アリタルトキハ政府ハ 当該財産又ハ契約二付申告アリクルコトヲ証スル為必 要ナル措置ヲ為スモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル場合 ハ此ノ限二在ラズ

前項ノ措置ハ命令ノ定ムル所二依り前條ノ規定二依リ 提出セラレタル当該有価証券其ノ他当該財産又ハ契約 ヲ証スル書面ニ政府ノ発行スル証紙ヲ貼附シ之二契約 スルノ方法其ノ他命令ヲ以テ定ムル方法二依リ之ヲ為 ス

第九條 第二條又ハ第三条ノ申告ヲ為スべキ財産又ハ契 約ニシテ申告ノ為サレザルモノニ付テハ命令ヲ以テ其 ノ効力ノ制限又ハ処分ノ制限若ハ禁止二関シ必要ナル 定ヲ為スコトヲ得

前項二親定スル財産及同項二規定スル契約ニ基キ契約 者、生命保険金若ハ郵便年金ノ受取人又ハ信託ノ受益 者ノ有スル権利ハ法律ノ定ムル所二依り之ヲ国庫二帰 属セシムルモノトス

第十條 第四條ノ申告ナキ場合二於テハ日本銀行券預入 令二規定スル金融機関ハ同令第二条二規定スル預金、 貯金若ハ金銭信託ノ受入又ハ日本銀行券二依ル支払ヲ 為スコトヲ得ズ

第十一條 税務署長又ハ其ノ代理官ハ調査二必要アルト キハ第五條ノ規定二依り書類ノ提出ヲ為スベキ義務ア ル法人又ハ第六条ノ申告ヲ為スべキ義務アル個人二質 問ヲ為シ又ハ当該事業二関スル帳簿書類、財産其ノ他 ノ物件ヲ検査スルコトヲ得

第十二條 大蔵大臣ハ命令ノ定ムル所二依リ郵便官署、 銀行其ノ他命令ヲ以テ定ムル法人ヲシテ第二條乃至第 四條、第七條及第八條二規定スル事項二関スル事務ヲ 取扱ハシムルコトヲ得

前項ノ規定二依リ同項ノ事務ノ取扱ヲ為ス法人ノ当該 事務二従事スル職員ハ之ヲ法令二依り公務二従事スル 職員卜看倣ス

第十三條 行使ノ目的ヲ以テ第八條第二項二規定スル証 紙第二項二規定スル証紙ヲ偽造シタル者ハ三年以下ノ 懲役又ハ五万円以下ノ罰金二処ス

偽造ノ証紙ヲ使用シタル者、行使ノ目的ヲ以テ偽造ノ 証紙ヲ人二交付シ、輸入シ若ハ移入シタル者ハ第八條 第二項二規定スル証紙ヲ不正二使用シタル者ノ罰亦前 項二同ジ

前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第十四條 第八條二規定スル措置二関スル事務二従事ス ル者同條第二項又ハ第十二條第一項ノ規定二基キ発ス ル命令二違反シテ当該措置ヲ為シタルトキハ三年以下 ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金二処ス

第十五條 第十條ノ規定ノ違反アリタル場合二於テハ其 ノ行為ヲ為シタル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下 ノ罰金ニ処ス

第十六條 当該官吏其ノ他本令二規定スル事項二関スル 事務ノ取扱ヲ為ス官署若ハ法人ノ当該事務二従事スル 職員又ハ此等ノ職二在リタル者其ノ事務二関シ知得タ ル秘密ヲ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ二年以下ノ懲役 又ハ二十円以下ノ罰金二処ス

第十七條 第十一條ノ規定二依ル帳簿書類、財産其ノ他 ノ物件ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ虚偽ノ記載 ヲ為シタル帳簿書類ヲ呈示シタル者ハ五千円以下ノ罰 金ニ処ス

第十一條ノ規定二依ル税務署長又ハ其ノ代理官ノ質問 ニ対シ答弁ヲ為サズ又ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハニ 十円以下ノ罰金二処ス

第十八條 第五條ノ規定二違反シ当該書類ヲ提出セズ若 ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル書塀ヲ提出シタルトキ又ハ第 六条ノ規定二違反シ申告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ申告ヲ為 シタルトキハ当該法人ノ取締役、理事、清算人若ハ此 等二準ズル者又ハ当該個人ヲ一万円以下ノ過料二処ス

本令ハ公布ノ日ヨリ之を施行ス

現代表記[編集]

朕茲に緊急の必要ありと認め枢密顧問の諮絢を経て帝国憲法第八条第一項に依り臨時財産調査令を裁可し之を公布せしむ

御名御璽

昭和二十一年二月十七日

第一条 本命は戦時利得の排除、国家財政の再建、国民 経済の安定等を目途とする新税の創設及確保に資する 為命令を以て定むる時期(以下調査時期卜称す)に於 ける個人及法人の財産等を調査するを以て目的とす

第二条 調査時期に於て左に掲ぐる財産を有する者は命 令の定むる所に依り当該財産に関する事項を税務署に 申告すべし

  1. 預金、貯金其の他此等に準ずる債権にして命令を以て定むるもの
  2. 公債、社債、株式其の他此等に準ずる財産にして命令を以て定むるもの
  3. 手形又は小切手にして命令を以て定むるもの
  4. 投資信託の受益権にして命令を以て定むるもの
  5. 前各号に掲ぐるものの外命令を以て定むる財産

前項の場合に於て同項に規定する者(其の者が法人な るときは当該法人の代表者及支配人其の他の代理人) が調査時期に於て本州、北海道、四国、九州及命令を 以て定むる其の附属島嶼に住所及居所を有せざるとき は命令の定むる所に依り同項に規定する者又は当該財 産を管理する者同項の申告を為すべし

当該有価証券其の他当該財産を証する書面を保管する 者は命令の走むる所:依り本人に代りて第一項の申告 を為すことを得

第三条 調査時期に於て現に存する左に掲げる契約にし て命令を以て定むるものの契約者又は郵便年金受取人 は命令の定むる所に依り当該契約に関する事項を所轄 税務署に申告すべし

  1. 生命保険契約
  2. 金銭信託契約(投資信託契約を除く)又は有価証券信託契約
  3. 無尽契約
  4. 郵便年金契約

前条第二項及第三項の規定は前項の場合に付之を準用す

第四条 日本銀行券預入令第二条第一項の規定に依る預 金、貯金又は金銭信託を為さんとする者及同条第二項 の規定に依る支払を請求せんとする者は命令の定むる 所に依り当該預金、貯金、金銭信託又は支払請求に関 する事項を所轄税務署に申告すべし 第二条第二項の規定は前項の場合に付之を準用す

第五条 法人は命令の定むる所に依り調査時期に於ける 財産目録、貸借対照表、動産及債権債務に関する明細 書其の他の書類を作成し之を所轄税務署に提出すべし

第六条 命令を以て定むる事業を為す個人は命令の定む る所に依り調査時期に於て其の事業に関して有する動 産及債権債務に関する事項を所轄税務署に申告すべし

第七条 第二条又は第三粂の申告を為さんとする有は命 令の定むる所に依り当該有価証券其の他当該財産又は 契約を証する書面を所轄税務署に提出すべし

第八条 第二条又は第三条の申告ありたるときは政府は 当該財産又は契約に付申告ありくることを証する為必 要なる措置を為すものとす但し命令を以て定むる場合 は此の限に在らず

前項の措置は命令の定むる所に依り前条の規定に依り 提出せられたる当該有価証券其の他当該財産又は契約 を証する書面に政府の発行する証紙を貼附し之に契約 するの方法其の他命令を以て定むる方法に依り之を為 す

第九条 第二条又は第三条の申告を為すべき財産又は契 約にして申告の為されざるものに付ては命令を以て其 の効力の制限又は処分の制限若は禁止に関し必要なる 定を為すことを得

前項に親定する財産及同項に規定する契約に基き契約 者、生命保険金若は郵便年金の受取人又は信託の受益 者の有する権利は法律の定むる所に依り之を国庫に帰 属せしむるものとす

第十条 第四条の申告なき場合に於ては日本銀行券預入 令に規定する金融機関は同令第二条に規定する預金、 貯金若は金銭信託の受入又は日本銀行券に依る支払を 為すことを得ず

第十一条 税務署長又は其の代理官は調査に必要あると きは第五条の規定に依り書類の提出を為すべき義務あ る法人又は第六条の申告を為すべき義務ある個人に質 問を為し又は当該事業に関する帳簿書類、財産其の他 の物件を検査することを得

第十二条 大蔵大臣は命令の定むる所に依り郵便官署、 銀行其の他命令を以て定むる法人をして第二条乃至第 四条、第七条及第八条に規定する事項に関する事務を 取扱はしむることを得

前項の規定に依り同項の事務の取扱を為す法人の当該 事務に従事する職員は之を法令に依り公務に従事する 職員卜看倣す

第十三条 行使の目的を以て第八条第二項に規定する証 紙第二項に規定する証紙を偽造したる者は三年以下の 懲役又は五万円以下の罰金に処す

偽造の証紙を使用したる者、行使の目的を以て偽造の 証紙を人に交付し、輸入し若は移入したる者は第八条 第二項に規定する証紙を不正に使用したる者の罰亦前 項に同じ

前項の未遂罪は之を罰す

第十四条 第八条に規定する措置に関する事務に従事す る者同条第二項又は第十二条第一項の規定に基き発す る命令に違反して当該措置を為したるときは三年以下 の懲役又は五万円以下の罰金に処す

第十五条 第十条の規定の違反ありたる場合に於ては其 の行為を為したる者を三年以下の懲役又は五万円以下 の罰金に処す

第十六条 当該官吏其の他本令に規定する事項に関する 事務の取扱を為す官署若は法人の当該事務に従事する 職員又は此等の職に在りたる者其の事務に関し知得た る秘密を漏泄し又は窃用したるときは二年以下の懲役 又は二十円以下の罰金に処す

第十七条 第十一条の規定に依る帳簿書類、財産其の他 の物件の検査を拒み、妨げ若は忌避し又は虚偽の記載 を為したる帳簿書類を呈示したる者は五千円以下の罰 金に処す

第十一条の規定に依る税務署長又は其の代理官の質問 に対し答弁を為さず又は虚偽の陳述を為したる者はに 十円以下の罰金に処す

第十八条 第五条の規定に違反し当該書類を提出せず若 は虚偽の記載を為したる書塀を提出したるとき又は第 六条の規定に違反し申告を為さず若は虚偽の申告を為 したるときは当該法人の取締役、理事、清算人若は此 等に準ずる者又は当該個人を一万円以下の過料に処す

本令は公布の日より之を施行す

外部リンク[編集]

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。