コンテンツにスキップ

約翰默示録(明治元訳) 第六章

提供:Wikisource

第六章

[編集]

1 こひつじそのひとつ封印ふういんひらきしときわれしに活物いきものひといかづちごとこゑにてきたれといふきけ
2 われしに一匹いつぴき白馬しろむまたりこれのれるものゆみたづさかつかんむりあたへられたりかれつねかてまたかちんとていでゆけ

3 また第二だいに封印ふういんひらきときわれ第二だいに活物いきものきたれといふきけ
4 また一匹いつぴき赤馬あかむまいできたれりこれのれるもの平和へいわうばかつ人々ひとびとをして彼此たがひあひころさしむるちからあたへられたりかれまたおほいなるかたなさづけらる

5 また第三だいさん封印ふういんひらきとき第三だいさん活物いきものきたれといふきけわれしに一匹いつぴき黒馬くろむまたりこれのれるもの權衡はかりもて
6 われかのよつ活物いきものなかこゑあるをきけいはぎんじふせん小麥こむぎがふぎんじふせん大麥おほむぎいつしようがふなりあぶら葡萄酒ぶだうしゆそこなべからず

7 また第四だいし封印ふういんひらきしとき第四だいし活物いきものきたれといふきけ
8 われしに一匹いつぴき灰色あをざめたるむまたりこれのれものといふ陰府よみそのうしろしたがへり彼等かれら刀劍つるぎ饑饉ききん死亡しばうおよび猛獸まうじうをもてひとぶんいちころすのちからあたへられたり

9 また第五だいご封印ふういんひらきしとき祭壇さいだんもとかつかみみちのためおよびそのたてあかしためころされたるものども靈魂たましひあるをたり
10 かれら大聲おほごゑよばはいひけるはきよきまことしゆ何時いつまでにすむものども審判さばきせずかつこれに我儕われらむくいをなしたまはざる
11 ここ彼等かれら各人おのおのしろきころもあたへてこれいひたまひけるは彼等かれらごところされんとするそのともはたらける兄弟きやうだいたちかずみつるまでやすんじてしばらまつべし

12 また第六だいろく封印ふういんひらきときわれしにおほいなる地震ぢしんあり毛布けぬのごとくろくなりつきごとくなれり
13 てんほし無花果いちじく大風おほかぜゆれいまじゆくせざるそのおつるがごとおち
14 てん卷物まきものまくごとさりゆき諸山やまやま諸島しまじまみなうつりてそのところはなれたり
15 諸王しよわうまた貴人きにん富者とめるもの將軍しやうぐん勇士ゆうしすべての奴隷しもべすべての自主じしゆことごと(※1)くほらかくやまいはなかかく
16 やまいはとにいひけるはねがはくは我儕われらうへおち我儕われら(※2)をおほふて寶座くらゐするものかほこひつじいかりさけしめよ
17 このこひつじいかりおほいなるすでにいたれるなりたれこれあたることをんや

※1 明治14(1881)年版では「ことごと」→「ことごと」。
※2 明治14(1881)年版では「我儕われら」→「われら」。