約翰傳福音書(明治元訳) 第十七章

提供:Wikisource

第十七章[編集]

1 イエスこのことかたりをはりてんあふいひけるはちちときいたりぬなんぢなんぢのさかえあらはさんがためなんぢさかえあらはたま
2 これなんぢわれにたまひところものわれかぎりなきいのちあたへんがためすべてものをさむ權威けんゐわれたまひたればなり
3 かぎりなきいのちとはただひとりまことのかみなるなんぢそのつかはししイエス・キリストをしるこれなり
4 われなんぢのさかえあらはなんぢわれゆだねところわざわれこれをなせ
5 ちちいまわれをしてなんぢともさかえさせたますなは創世はじめのよよりさきなんぢともたもちところさかえさせたま
6 なんぢよりえらびわれたまひ人々ひとびとわれなんぢのあらはせり彼等かれらなんぢものにしてなんぢこれをすでわれたま彼等かれらまたなんぢことばまもれり
7 彼等かれらいまなんぢわれたまひものみななんぢよりいでしとしる
8 そはわれなんぢわれたまひことば彼等かれらあたへたればなり彼等かれらこれをうけまたわがなんぢよりいでことまことしりかつなんぢわれつかはししことをしんじたり
9 われかれらのためいのわがいのるはためあらなんぢわれたまひものためなるのみそれ彼等かれらなんぢものなればなり
10 すべわがものなんぢものなんぢのものわがものなりかつわれ彼等かれらよりさかえうく
11 われいまよりをら彼等かれらにをりわれなんぢいたきよきちちなんぢわれたまひものなんぢをらしめこれまもり我儕われらごと彼等かれらをもひとつになしたま
12 われかれらとともありときかれらをなんぢをらしめてこれまもりたりなんぢわれたまひものわれまもりしがそのうち一人ひとりだにほろびたるものなしただ沈淪ほろび(※1)のほろびたりこれ聖書せいしよかなはせんためなり
13 われいまなんぢいたわれありこのことかたれるはわが喜樂よろこび彼等かれらみたしめんためなり
14 われなんぢことば彼等かれらさづけたり彼等かれらにくそはわがものあらざるごと彼等かれらものあらざればなり
15 われなんぢ彼等かれらよりとりたまへといのらずただかれらをまもりあしきおちいらすなかれといの
16 われものあらざるごと彼等かれらものあら
17 なんぢ眞理まことをもて彼等かれらきよたまなんぢことば眞理まことなり
18 なんぢわれつかはししごとわれ彼等かれらつかはせり
19 われかれらのため自己みづからきよむこれ眞理まことより彼等かれらきよめられんためなり
20 われただ彼等かれらためにのみいのらず彼等かれらをしへよりわれしんずるものためにもいのるなり
21 はみなひとつにならんためなりちちなんぢわれにをりわれまたなんぢにをるかくのごと彼等かれら我儕われらにをりてひとつにならんためかつをしてなんぢわれつかはししことしんぜしめんためなり
22 なんぢわれたまひさかえわれかれらにさづけたり我儕われらひとつなるがごと彼等かれらたがひひとつにならんためなり
23 われ彼等かれらをりなんぢわれにをるそは彼等かれらをしてひとつまつたくならしめかつをしてなんぢわれつかはししことまたなんぢわれあいするごと彼等かれらをもあいすることをしらしめんとなり
24 ちちなんぢわれたまひものわがをるところわれともをりわがさかえすなはちなんぢわれたまひものんことをねがふそはよのもとゐおかざりしさきなんぢわれをあいしたればなり
25 ただしちちなんぢしらわれなんぢしるかれらもなんぢわれつかはししことしれ
26 われなんぢの彼等かれらしめせりまたこれをしめさんそはなんぢのわれあいするのあいかれらにをりまたわれかれらにをらためなり

※1 明治14(1881)年版では「沈淪ほろび」→「沉淪ほろび」。