コンテンツにスキップ

約翰傳福音書(明治元訳) 第九章

提供:Wikisource

第九章

[編集]

1 イエスゆくとき生來うまれつきなるめしひしが
2 その弟子でしかれにたづねいひけるはラビこのひとめしひうまれしはたれつみなるやおのれよるまた二親ふたおやよる
3 イエスこたへけるはこのひとつみあらまたその二親ふたおやつみにもあらかれよりかみ作爲わざあらはれんためなり
4 ひるうちわれかならずわれつかはししものわざをなすべきなりよるきたらんそのときたれわざをなすことあたはず
5 われをるときひかりなり
6 このこといひつばきつばきにてつちときそのどろ瞽者めしひぬり
7 かれいひけるはシロアムのいけゆきあらかれすなはちゆきあらみることをかへれりシロアムこれとけつかはされしものとのなり
8 となり人々ひとびとおよびもとよりかれ乞食こつじきなりしをものどもいひけるはすわりものこひひとならず
9 あるひとかれなりといひあるひとたるなりといふかれいひけるはわれかれなり
10 彼等かれらいひけるはなんぢ如何いかにしてあきたるや
11 こたへいひけるはイエスといふひとつちときわがぬりいふシロアムのいけゆきあらへわれゆきてあらひければみることをたり
12 人々ひとびとかれにいひけるはかれ何處いづくをるこたへしらずといふ
13 彼等かれらこのめしひなりしものをパリサイのひともとひきいたれり
14 つちときてイエスかれあけ安息日あんそくにちなりき
15 パリサイのひとかれとひけるはなんぢ如何いかにしてあきたるやこたへけるはかれどろわがおくわれそれあらひみることをたり
16 あるパリサイのひといひけるはこのひと安息日あんそくにちまもらざるがゆゑかみよりいでしにあらあるひといひけるは罪人つみびといかでかか奇跡しるしおこなふことをんやここおい彼等かれらあらそひわかれたり
17 また瞽者めしひいひけるはなんぢあけしによりなんぢかれのことなにいふこたへけるはかれ預言者よげんしやなり
18 ユダヤびとかれの瞽者めしひなりしにうるやうなりしことをその二親ふたおやよびきたるまではしんぜずすなは二親ふたおやよびきたりて
19 これとひけるはこのひと瞽者めしひにてうまれしといふところの爾曹なんぢらなるかいまいかにしてみることをたる
20 二親ふたおやかれらにこたへけるはこれわがなると生來うまれつきめしひなるとをしる
21 されいま如何いかにして目明めあきなりしか我儕われらこれをしらまたそのあけしはたれなるしらかれ年長おとななりかれたづねかれみづからいふべし
22 二親ふたおや如此かくいひしはユダヤびとおそれしによるそはイエスをキリストといひあかものあらば會堂くわいだうよりいだすべしとユダヤびとたがひにいひさだめたればなり
23 二親ふたおやかれ年長おとななりかれたづねよといひしはこのゆゑなり
24 めしひなりしものまたよびていひけるはほまれかみせよ我儕われらかのひと罪人つみびとなるをしる
25 かれこたへけるは罪人つみびとなるやいなわれこれしらわれ瞽者めしひなりしがいま目明めあきになれるこのひとつのことしる
26 彼等かれらまたいひけるはかれなんぢなになししや如何いかにしてなんぢあけしや
27 こたへけるはわれすでに爾曹なんぢらいひしに爾曹なんぢらきかず何故なにゆゑふたたびきかんとするか爾曹なんぢらその弟子でしならんとおもふや
28 かれらののしいひけるはなんぢそのひと弟子でしわれらはモーセの弟子でしなり
29 かみのモーセにかたりこと我儕われらしれりされこのひと何處いづくよりきたれる我儕われらしらず
30 そのひとこたへけるはあやしことなりかれすでにわがあけしにその何處いづこよりきたれるを爾曹なんぢらしらずといふ
31 かみ罪人つみびときかされかみうやまひてそのむねしたがものにはききたまふと我儕われらしる
32 元始はじめより以來このかたうまれつきなる瞽者めしひあけひとあるをきか
33 もしこのひとかみよりいでずば何事なにごとをもなしざるべし
34 彼等かれらこたへていひけるはなんぢことごと罪孼つみうまれものなるにかへつ我儕われらをしふるかつひかれおひいだせり
35 彼等かれらおひいだししことをききイエスたづねこれあひいひけるはなんぢかみしんずる
36 こたへいひけるはしゆかれとしてわがしんずべきものたれなるや
37 イエスいひけるはなんぢすでにかれをみるいまなんぢとものいふものはそれなり
38 しゆわれしんずといひかれはいせり
39 イエスいひけるはわれ審判さばきせんためきたすなはみえざるものをしてみえみゆものかへつめしひならしむ
40 イエスとともをりしパリサイのひとこのことばききかれいひけるは我儕われらめしひなる
41 イエス彼等かれらいひけるは爾曹なんぢらもしめしひならばつみなかるべしされいまわれらみゆいひしにより爾曹なんぢらつみのこれり