酒は量なしと宣ひし、聖人上戸にやましましけむ。三十六の失ありと諫めたまひし、仏は下戸にやおはすらん。何は兎もあれ八雲立つ。出雲の神の八しぼりの。酒に大蛇を平げたまふ。これ皆酒の徳なれや。大石さけつる畏かしこみも、尊の酔の、すすむなり。姫の尊の待ち酒を。ささよ、ささとの言の葉に、伝へ伝へて今世の人も、きこし召せ、ささきこし召せ、ささ。劉伯倫や李太白、酒を飲まねば只の人。吉野竜田の花紅葉。酒がなければ只の所ことよい〳〵、よいの、よいやさ。
- 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』中、武蔵野書院、1975年。
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