第十五「カフィズマ」

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<聖詠経

第百五聖詠

アリルイヤ
主を讃榮せよ、蓋彼は仁慈にして、其の憐れみは世々にあればなり。
孰か能く主の大能を言い、其の悉くの讃美を述べん。
審判に遵い、常に義を守る者は福なり。
主よ、爾の民に施す恩を以て我を記憶し、爾の救いを以て我に臨みて、
我に爾が選びし者の福を見、爾の民の楽しみを以て楽しみ、爾の嗣業と偕に誇らしめ給え。
我等は我が列祖と偕に罪を犯し、不法を行い、不義を作せり。
我が列祖はエギペトに在りて爾の奇迹を悟らず、爾が多くの慈憐を念わず、海即紅の海の畔に叛きたり。
然れども神は己の名の爲に彼等を救えり、其の大能を顕わさん爲なり。
彼厳しく紅の海に命じたれば、海涸れたり、乃彼等を導きて、淵を陸の如く行かしめたり、
彼等を悪む者の手より救い、彼等を敵の手より脱せり。
水は彼等の敵を蔽えり、其の一つも遺らざりき。
是を以て彼等は神の言葉を信じ、彼を讃美して歌えり。
然れども彼等は速やかに其の作爲を忘れ、其の旨を俟たざりき、
慾を曠野に欲しいままにし、神を荒れ地に試みたり。
彼は其の求むる所を賜い、唯其の霊に疫病を遣わせり。
彼等は営中に於いてモイセイと、主の聖者アアロンとを嫉めり。
地は啓けてダファンを呑み、アアロンの輩を蔽い、
火は其の輩の中に燃え、焔は悪者を燬き盡せり。
彼等はホリウに在りて犢を造り、偶像を拝みたり、
己の光榮を易えて、草を食む牛の像となせり。
神其の救主、大いなる事をエギペトに、
奇妙なる事をハムの地に懼るべき事を紅の海に行いし者を忘れたり。
神は彼等を滅ぼさんことを望めり、惟其の選びたるモイセイは彼の前に立ち、罅隙に在りて、其の怒りを囘し、彼等の滅ぼさるるを免れしめたり。
彼等は嘗て慕いし地を軽んじ、神の言葉を信ぜざりき、
己の幕の中に怨み言を吐き、主の聲を聴かざりき。
主は其の手を彼等に挙げたり、彼等を曠野に倒し、
其の族を諸民の中に顛し、彼等を諸々の地に散らさん爲なり。
彼等はワアルフェゴルに附き、霊なき者の祭物を食えり、
其の行いを以て神を怒らせたり、故に疫病其の中に流行せり。
フィネエス起ちて裁判を行いたれば、疫病息みたり。
此に依りて彼は義と称せらるるを得たり、世々を歴て永遠に迄らん。
彼等はメリワの水に於いて神を怒らせ、モイセイ彼等の爲に難に遭えり、
蓋彼等其の霊を憂いしめたれば、彼其の口を以て罪を犯せり。
彼等は主の命ぜし所の諸民を滅ぼさず、
乃ち異邦人と雑居して、其の行いに倣いたり。
其の彼等の爲に網となりし偶像に事えて、
己の男子己の女子を以て悪魔に献祭せり、
無辜の血、即ハナアンの偶像を祭れる己の男子己の女子の血を流したれば、地は其の血にて汚されたり。
彼等は己の所爲にて自らを汚し、己の行いにて淫行せり。
是を以て主の怒りは其の民に燃え、主は其の嗣業を厭い、
彼等を異邦人の手に付せり、彼等を悪む者は彼等を制し、
其の敵は之を迫害し、彼等は其の手に降れり。
主は屡々彼等を釈けり、唯彼等は己の剛腹を以て主を怒らせ、己の不法の爲に侮りを蒙れり。
然れども主は彼等の呼ぶを聴きし時、其の憂いを顧み、
己が彼等と結びし約を記憶し、憐れみの多きに依りて自らを悔い、
凡そ彼等を虜にせし者に彼等を憐れむ情を起こさせしめ給えり。
主我等の神よ、我等を救い、諸民の中より我等を集めて、爾の聖なる名を讃榮し、爾の光榮を誇らしめ給え。
主イズライリの神は崇め讃められて世より世に迄らん、衆民云うべし、「アミン」、「アリルイヤ」。

光榮讃詞
第百六聖詠

(アリルイヤ)
主を讃榮せよ、蓋彼は仁慈にして、其の憐れみは世々にあればなり。
主に救われし者は此くの如く云うべし、即主が敵の手より救い、
各地より集め、東より西より海より集めし者なり。
彼等は曠野に、人なき途に彷徨い、人の住まえる城邑に遇わざりき、
飢え且つ渇きて、彼等の霊は其の内に消えんとせり。
然れども其の憂いの中に主に呼びたれば、主は彼等を其の患難より脱し、
彼等を直き途に導きて、人の住まえる城邑に往かしめたり。
主を其の憐れみと、其の人の諸子の爲に行いし奇迹に縁りて讃榮すべし、
蓋彼は其の渇ける霊を満たせ、飢うる霊を善き物に飽かしめたり。
彼等は闇冥と死の蔭に坐し、憂いと鐵に縛られたり、
蓋神の言葉に従わず、至上者の旨に軽んぜり。
主は苦労を以て彼等の心を降せり、彼等蹶きて助くる者なかりき。
然れども其の憂いの中に主に呼びたれば、主は彼等を其の患難より救い、
彼等を闇冥と死の蔭より引き出し、其の縛を截てり。
主を憐れみと其の人の諸子の爲に行いし奇迹に縁りて讃榮すべし、
蓋彼は銅の門を破り、鐵の柱を折けり。
不智なる者は其の不法の途と其の不義の爲に苦しめり、
彼等の霊は凡その食を厭い、彼等は死の門に近づけり。
然れども其の憂いの中に主に呼びたれば、主は彼等を其の患難より救い、
其の言葉を遣わして彼等を癒し、彼等を其の墓より脱せり。
主を憐れみと、其の人の諸子の爲に行いし奇迹に縁りて讃榮すべし、
讃美の祭を彼に献じ、歌を以て其の作爲を宣ぶべし。
舟に乗りて海に浮かび、事を大水に行う者は、
主の作爲を見、其の奇迹を淵に見る、
彼言えば、暴風起こりて、高く其の波を騰ぐ、
天に升り、淵に降り、彼等の霊は患難に由りて消えんとす、
彼等は転び且つ揺らるること酔える者の如し、其の悉くの智慧は消ゆ。
然れども其の憂いの中に主に呼びたれば、主は彼等を其の患難より引き出せり。
彼は狂風を変じて平穏となす、波は平かなり。
彼等其の静かなるを楽しむ、主は彼等を攜えて其の望む所の埠に至らしむ。
主を其の憐れみと、其の人の諸子の爲に行いし奇迹に縁りて讃榮すべし、
彼を民の會に尊崇し、彼を長老の會に讃美すべし。
彼は河を変じて野となし、泉を変じて槁壌となし、
豊かなる地を変じて鹽の地となす、此処に住む者の不虔に因りてなり。
彼は野を変じて池となし、乾ける地を変じて泉となし、
餒うる者を彼處に居らしむ、彼等は住居の爲に城邑を建て、
田に種を蒔き、葡萄園を作り、多く其の実を得るなり。
主は彼等に福を降し、大いに彼等を増加せしめ、彼等の家畜をも減らさず。
迫害と苦難と憂患によりて、彼等減ぜられて衰えたり、
主は辱しめを牧伯に被むらせ、其の路なき野に彷徨うに任す。
惟貧しき者を患難より引き出し、其の族を羊の群の如くに増す。
義人は之を見て悦び、凡その不法は其の口を塞ぐ。
智なる者は此を鑑みて主の憐れみを悟らん。

光榮讃詞
第百七聖詠

歌。ダワィドの詠。
我が心備われり、神よ、我が心備われり、我我が光榮を以て謳い歌わん。
我が琴瑟興きよ、我夙に興きんとす。
主よ、我爾を諸民の中に讃榮し、爾を諸族の中に讃頌せん、
蓋爾の慈憐は天より高く、爾の真実は雲に戻る。
神よ、願わくは爾は諸天の上に挙げられ、爾の光榮は全地を蔽わん、
爾の愛する者の援けを獲ん爲なり、爾が右の手にて救いて、我に聴き給え。
神は其の聖所に於いて曰えり、我勝たん、シヘムを分かち、ソクホフの谷を量らん、
ガラアドは我に属し、マナシヤは我に属す、エフレムは我が首の防固、イウダは我の権柄なり、
モアフは我の盤なり、エドムに我が靴を舒べん、フィリスティヤの地に於いて勝鬨を挙げん。
孰か我を引きて堅固なる城邑に入れん、孰か我を導きてエドムに至らん、
神よ、豈に爾に非ずや、神よ、我等を棄てて我が軍と共に出でざる者よ、
祈る、狭難に於いて我等に助けを与え給え、人の護佑は虚しければなり。
神と偕にして我等力を顕わさん、我は我が敵を降さん。

第百八聖詠

伶長に歌わしむ。ダワィドの詠。
我が讃美の神よ、黙す毋れ、
蓋凶悪の口、詭譎の口は我に向かいて啓け、詐りの舌を以て我と言い、
怨みの言葉を以て我を環り、故なくして我に向かいて武器を備う。
彼等は我が愛に易えて我が敵となれり、我即祈る、
彼等は悪を以て我が善に報い、怨みを以て我が愛に報ゆ。
悪者を其の上に立てよ、悪魔は其の右に立つべし。
願わくは彼裁判せらるる時、其の罪は定められ、又彼の祈祷は罪とならん、
願わくは其の日は短く、其の職位は他人之を受けん。
願わくは其の子は孤児となり、其の妻は寡婦とならん、
願わくは其の子は流浪して乞い、其の荒舎より出でて食を覓めん。
願わくは債主は其の有つ所を悉く奪い、他人は其の劬労を掠めん。
願わくは彼を憐れむ者なく、其の孤児に恩を施す者なからん、
願わくは其の裔は絶え、彼等の名は次の代に銷されん。
願わくは其の列祖の不法は主の前に記憶せられ、其の母は罪を銷されざらん。
願わくは其の罪悪は恒に主の前にあり、主は其の記憶を地に滅ぼさん、
蓋彼は憐れみを施すを憶わず、乃貧しき者と乏しき者と心の傷める者とを窘迫せり、之を殺さん爲なり。
彼は詛いを好めり、故に詛いは彼に臨まん、祝福を欲せざりき、故に祝福は彼に遠ざからん。
彼は詛いを衣の如く衣たり、詛いは水の如く其の腹に入り、油の如く其の骨に入れり、
願わくは詛いは彼の爲に其の衣る所の衣の如くなり、其の恒に束ぬる所の帯の如くならん。
我が敵および悪言を以て我が霊を攻むる者には、主の報い此くの如し。
主よ、主よ、我には爾の名に因りて行い給え、爾の憐れみは善なればなり、我を救い給え、
蓋我貧しくして乏し、我が心は我の中に傷つけり。
我消えゆること傾ける日陰の如く、逐わるること蝗の如し。
我が膝は斎に依りて弱り、我が躯は肥えたるを失えり。
我彼等の嘲りとなり、彼等我を見て其の首を揺かす。
主我が神よ、我を助け、爾の憐れみに依りて我を救い給え、
彼等が此れ爾の手、爾主の行いし所なるを識らん爲なり。
彼等は詛う、惟爾祝福せよ、彼等は興る、願わくは彼等辱しめられ、惟爾の僕は喜ばん。
願わくは我が敵は侮りを衣、愧を以て衣の如く蔽われん。
我我が口を以て高く主を讃榮し、衆の中にて彼を讃美せん、
蓋彼は貧しき者の右に立てり、之を其の霊を裁く者より救わん爲なり。

光榮讃詞