コンテンツにスキップ

検索結果

  • 清少納言(せいしょうなごん)の「枕の草紙」などを読みに来る人で、子供もよくその家へ遊びに行く。  光岳寺の境内にある鐘楼からは、絶えず鐘の音が町々の空へ響いて来た。この日は、誰でも鐘楼に上って自由に撞(つ)くことを許してあった。三時頃から、私も例の組合の家について夏の日のあたった道を上った。そこを上…
    282キロバイト (56,209 語) - 2021年5月19日 (水) 16:05
  • 後から銀之助は尋ねて行つた。途中で文平と一緒になつて、二人して苔蒸(こけむ)した石の階段を上ると、咲残る秋草の径(みち)の突当つたところに本堂、左は鐘楼、右が蔵裏であつた。六角形に出来た経堂の建築物(たてもの)もあつて、勾配のついた瓦屋根や、大陸風の柱や、白壁や、すべて過去の壮大と衰頽(すゐたい)と…
    731キロバイト (142,452 語) - 2019年9月29日 (日) 05:22
  • 「頭の中があの店のようになっている人もあるね」  二人はたわいもない事を言って、山岡鉄舟の建てた全生庵(ぜんしょうあん)の鐘楼(しゅろう)の前を下りて行(ゆ)く。  この時下から上がって来る女学生が一人、大村に会釈をした。俯向(うつむ)けて歩いていた、廂(ひさし)の乱れ髪を…
    404キロバイト (79,999 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  • 子(でし)や寺男任せでなしに、まず自分で庭の鐘楼に出て、十八声の大鐘を撞(つ)くことだと考えた。  翌朝は雨もあがった。松雲は夜の引き明けに床を離れて、山から来る冷たい清水(しみず)に顔を洗った。法鼓(ほうこ)、朝課(ちょうか)はあと回しとして、まず鐘楼の方へ行った。恵那山(えなさん)を最高の峰と…
    704キロバイト (133,425 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • 陣の一室で法衣装束(しょうぞく)に着かえて久しぶりの寺の山門をくぐったその日から、十三年も達磨(だるま)の画像の前にすわりつづけて来たような人の自ら鐘楼に登って撞(つ)き鳴らす大鐘だ。  まだ朝の眠りをむさぼっている妻のそばで、半蔵はその音に耳を澄ました。谷から谷を伝い、畠(はたけ)から畠をはうその…
    648キロバイト (123,779 語) - 2019年9月29日 (日) 05:04
  • 来たような人が松雲だ。毎朝早くの洗面さえもが、この人には道を修めることで、法鼓(ほうこ)、諷経(ふうぎん)等の朝課の勤めも、払暁(ふつぎょう)に自ら鐘楼に上って大鐘をつき鳴らすことも、その日その日をみたして行こうとする修道の心からであった。一日成さなければ一日食うまい、とは百丈禅師のような古大徳がこ…
    731キロバイト (142,362 語) - 2019年9月29日 (日) 05:05
  • った茶は冷たくなったまま黄(き)いろくにごっていた。  一時間ののちには、二人の友だちは本堂から山門に通ずる長い舗石道(しきいしみち)を歩いていた。鐘楼(しょうろう)のそばに扉(とびら)を閉め切った不動堂があって、その高い縁(えん)では、額髪(ひたいがみ)を手拭いでまいた子守りが二三人遊んでいる。大…
    509キロバイト (98,550 語) - 2023年11月4日 (土) 14:56