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検索結果

  • 「あら、気が早い。そんなことで来たんじゃないのよ」と、お粂は少しまじめになった。「兄さん、ゆうべの末広町(すえひろちょう)の一件をもう知っているの」 「末広町……。なんだ、小火(ぼや)か」 「冗談じゃあない。ぼやぐらいをわざわざご注進に駈けつけて来るもんですか。じゃあ、やっぱ…
    51キロバイト (10,203 語) - 2019年2月27日 (水) 14:41
  • 家なれば也。阿部五郎三郎御腰物持ち伺公す。日記の執筆鳥帽子・素袍を着して、ちいさ刀にて埓の外より役所へ廻る。鍋屋伊賀と云ふ者也。熨斗目に水干を着し、末広の扇子を持ち、髪をさげ、金箔のはね元結にて薄げせう、かね黒く眉作りたる童子一一人相随ふ。是は幣を振る役人也。射手の奉行新納刑部・伊藤仁右衛門、烏帽子・素袍・小さ刀に【…
    177バイト (6,654 語) - 2024年2月3日 (土) 17:30
  • だなと見送る。城らしきものは霞(かすみ)の奥に閉じられて眸底(ぼうてい)には写らぬが、流るる銀(しろがね)の、烟(けむり)と化しはせぬかと疑わるまで末広に薄れて、空と雲との境に入る程は、翳(かざ)したる小手(こて)の下より遙かに双の眼(まなこ)に聚(あつ)まってくる。あの空とあの雲の間が海で、浪の噛…
    78キロバイト (16,502 語) - 2023年10月17日 (火) 13:43
  • る。やむなくてわれも従う。不思議なるはわが馬を振り向けんとしたる時、前足を躍らしてあやしくも嘶(いなな)ける事なり。嘶く声の果(はて)知らぬ夏野に、末広に消えて、馬の足掻(あがき)の常の如く、わが手綱(たづな)の思うままに運びし時は、ランスロットの影は、夜(よ)と共に微(かす)かなる奥に消えたり。――われは鞍を敲(たた)いて追う」…
    74キロバイト (14,926 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • )五百里なるを一時に搏(はばたき)して、漲(みな)ぎる雲を下界に披(ひら)く大虚の真中(まんなか)に、朗(ほがらか)に浮き出す万古(ばんこ)の雪は、末広になだれて、八州の野(や)を圧する勢を、左右に展開しつつ、蒼茫(そうぼう)の裡(うち)に、腰から下を埋(うず)めている。白きは空を見よがしに貫ぬく。…
    711キロバイト (133,899 語) - 2023年10月17日 (火) 13:49
  • ゆふづ)く日の影を耀(かがやか)して、師走(しはす)の塵(ちり)の表(おもて)に高く澄めり。見遍(みわた)せば両行の門飾(かどかざり)は一様に枝葉の末広く寿山(じゆざん)の翠(みどり)を交(かは)し、十町(じつちよう)の軒端(のきば)に続く注連繩(しめなは)は、福海(ふくかい)の霞(かすみ)揺曳(よ…
    1.02メガバイト (208,408 語) - 2024年1月28日 (日) 21:05