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検索結果

  • そこには高さ二尺幅一尺ほどの木の枠(わく)の中に、銅鑼(どら)のような形をした、銅鑼よりも、ずっと重くて厚そうなものがかかっていた。色は蒼黒(あおぐろ)く貧しい灯(ひ)に照らされていた。袴を着けた男は、台の上にある撞木(しゅもく)を取り上げて、銅鑼に似た鐘の真中を二つほど打ち鳴らした。そうして、つ…
    486キロバイト (96,246 語) - 2023年10月17日 (火) 13:52
  • ねじ下ろしているところへ、茶の間から妻君(さいくん)が出て来てぴたりと主人の鼻の先へ坐(す)わる。「あなたちょっと」と呼ぶ。「なんだ」と主人は水中で銅鑼(どら)を叩(たた)くような声を出す。返事が気に入らないと見えて妻君はまた「あなたちょっと」と出直す。「なんだよ」と今度は鼻の穴へ親指と人さし指を入…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • く)がかかっていた。敬太郎はどこが樹でどこが巌(いわ)だか見分のつかない画を、軽蔑(けいべつ)に値する装飾品のごとく眺(なが)めた。するとその隣りに銅鑼(どら)が下(さが)っていて、それを叩(たた)く棒まで添えてあるので、ますます変った室(へや)だと思った。  すると間(あい)の襖(ふすま)を開けて…
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15
  • えた。葉子はそのいまいましい光景から眼を移して舷梯の方を見た。然しそこにはもう乳母の姿も古藤の影もなかった。 忽(たちま)ち船首の方からけたたましい銅鑼(どら)の音が響き始めた。船の上下は最後のどよめきに揺ぐように見えた。長い綱を引きずって行く水夫が帽子の落ちそうになるのを右の手で支えながら、あたり…
    1.07メガバイト (224,993 語) - 2023年3月24日 (金) 10:36
  • きな市(し)の灯(ひ)のチラチラするのを眺(なが)めながら警戒(けいかい)していました。すると太鼓(たいこ)の音(おと)が聞(きこ)えて来(く)る、銅鑼(どら)の響(ひび)きが伝(つと)わって来(き)る。蛮民(ばんみん)の鯨波(とき)の声(こえ)がワーワーと遠(とお)くから微(かす)れて来(く)る。…
    611キロバイト (98,208 語) - 2023年5月1日 (月) 15:22
  • た。卒業式、卒業の祝宴、初めて席に侍(はべ)る芸妓(げいしゃ)なるものの嬌態(きょうたい)にも接すれば、平生(へいぜい)むずかしい顔をしている教員が銅鑼声(どらごえ)を張(は)り上げて調子はずれの唄(うた)をうたったのをも聞いた。一月(ひとつき)二月(ふたつき)とたつうちに、学校の窓からのぞいた人生…
    509キロバイト (98,550 語) - 2023年11月4日 (土) 14:56