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  • 以上違うんだね。私ゃまた精々違って十(とお)か十一だと思っていた」 「どうして一廻どころか。健ちゃんとは十六違うんだよ、姉さんは。良人(うち)が羊の三碧(さんぺき)で姉さんが四緑(しろく)なんだから。健ちゃんは慥(たし)か七赤(しちせき)だったね」 「何だか知らないが、とにかく三十六ですよ」 「繰って見て御覧、きっと七赤だから」…
    501キロバイト (98,507 語) - 2023年10月17日 (火) 13:51
  • な気魄(きはく)と、絶念(あきらめ)の早さとは年を取っても失われなかった。女達の親しい笑声が起った。そこへ種夫と新吉が何か膳の上の物を狙(ねら)って来た。 「御行儀悪くしちゃ不可(いけない)よ」とお雪が子供を叱るように言った。 「種ちゃんか。新ちゃん
    483キロバイト (94,851 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • 「繁ちゃんはそれでも、泉ちゃんと一ちゃんと三人の中では一番相撲は上手だ。まあ家中で、喧嘩をして一番強いのは一ちゃんだ。そのかわり相撲となると繁ちゃんに負ける。繁ちゃんはあれで子供のくせに、いくらか相撲の手を心得てるんだね」  こう言って義雄は笑った。その時岸本は一郎の方を見て、 「一ちゃんはなかなか敏捷(はしこ)いようですね」…
    1メガバイト (204,909 語) - 2019年9月29日 (日) 05:14
  • 「いいかね。房ちゃんが一号で、菊ちゃんが二号で、繁ちゃんが三号だぜ」 「父さん、房ちゃんが一号?」と姉の方が聞いた。 「ああ、お前が一号で、菊ちゃんが二号だ。父さんが呼んだら、返事をするんだよ――そら、やるぜ」  娘達は嬉しそうに顔を見合せた。 「一号」 「ハイ」と妹の方が敏捷(すばしこ)く答えた。 「菊ちゃん
    437キロバイト (86,210 語) - 2022年9月18日 (日) 11:16
  • べたつもりであるが、この竹垣の外がすぐ隣家、即ち南隣(みなみどなり)の次郎(じろ)ちゃんとこと思っては誤解である。家賃は安いがそこは苦沙弥(くしゃみ)先生である。与(よ)っちゃんや次郎ちゃんなどと号する、いわゆるちゃん付きの連中と、薄っ片(ぺら)な垣一重を隔てて御隣り同志の親密なる交際は結んでおらぬ…
    1.06メガバイト (208,385 語) - 2022年11月4日 (金) 04:57
  • 「先生今日は一日御勉強ですな。どうです、些(ち)と御散歩になりませんか。今夜は寅毘沙(とらびしゃ)ですぜ。演芸館で支那人(ちゃん)の留学生が芝居を演(や)ってます。どんな事を演る積りですか、行って御覧なすったらどうです。支那人てえ奴は、臆面(おくめん)がないから、何でも遣(…
    576キロバイト (115,998 語) - 2023年10月21日 (土) 14:06
  •  小太郎は、手をついた。 「若旦那、それがいけねえ。水臭いって云うもんだ。な、南玉は、ちゃんと、算盤玉を弾いての仕事だ。ようがすかい。若旦那が、牧の野郎に逢う。ちゃんちゃんとやって、首尾よく行けば、帰参でげしょう。そうしたなら、この金に、利子をつけて――ね、深雪さん、倍にして、返して下さるでしょう」…
    1.47メガバイト (284,070 語) - 2023年11月2日 (木) 05:59
  • 懸けたので、つい紛(はぐ)らされてその方を向く。その間(ま)にお勢はこッそり起上ッて坐舗を滑り出ようとして……見附けられた。 「何処(どこ)へ、勢ちゃん?」  けれども、聞えませんから返答を致しませんと云わぬばかりで、お勢は坐舗を出てしまッた。  部屋は真の闇(やみ)。手探りで摺附木(マッチ)だけ…
    429キロバイト (83,606 語) - 2023年10月20日 (金) 13:54
  • 荒い音は立てぬ。やっとそよめくだけだ。 百(もも)の泉が八方から集まって 7280 浴(ゆあみ)の出来るように、浅く窪んだ、 清く澄み切った池になっている。 (すこや)かな、若い女等の手足が 水鏡に映って、二重に、 目を悦ばせてくれる。 7285 そして女等は中善く、楽しげに浴(あ)びたり、 大胆に泳いだり、こわごわ渉(わた)ったりしている。…
    1.06メガバイト (154,483 語) - 2023年10月22日 (日) 05:06