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  • にゃあ、こいついよいよ大事になっ――何にしても、あいつ等のあとを跟(つ)けて―― 闇太郎、羽織をぬいで、ふところに、頭に手拭をのせ、裾を割って、片ばしょりにすると、急に、いつもの、身軽をきわめ姿となる。 同心の、指揮で、駆けゆく一隊――一てえ、どけえ、いきゃあがるだ?…
    50キロバイト (9,683 語) - 2019年2月27日 (水) 15:15
  • 不貞(ふて)くされているのか、熟睡しているのか、寝すがは、法印が、はいって行っ気配にも身じろぎもせぬ。 「おい、お初つ」 法印は、燈心を掻き立てて声をかけ。 パッと明るくなると、木枕をして、向うをむいているお初の、頸(えり)あしが、馬鹿に白く匂う。 「おい、お初つ」 寝すがが、少し動いて、無愛想な声で、…
    86キロバイト (16,141 語) - 2019年9月12日 (木) 12:49
  • 「ああ、そういゃあ、おまえさんの声にも、覚えがあるが――」 「誰だ?名乗れ」 「おッ!」 と、外の男は、わめい。 「こいついけねえ!おまはは!」 逃げ足が立っ容子! 闇太郎もハッキリと、今こそ思い出して、ガラリと、遠慮なく、雨戸をあけると飛び出して、 「おめえは、法印!何で逃げる――」…
    106キロバイト (20,113 語) - 2019年2月27日 (水) 15:14
  • オミなんてハイカラな名前を、誰がつけたんだね」 「誰がつけたか知らないわ」 「お父(とっ)つかねおッ母(か)さんかね、―――」 「誰だか、―――」 「じゃあ、ナオミちゃんのお父つぁんは何の商売をしてるだい」 「お父つぁんはもう居ないの」 「おッ母さんは?」 「おッ母さんは居るけれど、―――」…
    576キロバイト (106,275 語) - 2023年10月17日 (火) 13:48
  • と、相棒も、いやしく笑って、 「気ちげえの、普賢菩薩(ふけんぼさつ)なら、正気のすべと、比べものにゃあならねえ。ふ、ふ、ふ。こいつ馬鹿におもしろくなっぞ。ねえさん、さあ、炉の榾火(ほだび)に、おあたんなせえと言ったら――」 と、しつッこく手を取るのを、又も、引ッぱずして、浪路は、…
    88キロバイト (16,550 語) - 2019年3月1日 (金) 06:32
  • 。 いろ気が薄くっていいというので、たった一人、側に置かれているむく犬、駄犬ほどには主人おもいだ。 ――どれ、じゃあ、ひとつ、あいつのつらでも見てくるかな。 裏口から、草履を突っかけて出ようとすると、婆やが、 「吉ッつ、あしたは、お湯にはいって、浄めてから帰っておくれよ。ほ、ほ、ほ」…
    58キロバイト (11,125 語) - 2019年3月1日 (金) 06:31
  • 。 「云えれば誰だって云うさ。何も江戸っ子に限りしない。君みような田舎(いなか)ものだって云うだろう」  須永はこう答えて澄ましてい。敬太郎は仕方なしに「江戸っ子は無愛嬌(ぶあいきょう)なものだね」と云って笑い出した。須永も突然おかしくなっ
    677キロバイト (132,287 語) - 2022年4月2日 (土) 11:15