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漁業取締令

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○薩軍令第二十八號󠄂

漁業取締󠄂令左ノ通󠄃定ム

大正九年十月二十六日

薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍司令官 兒島惣次󠄄

漁業取締󠄂令

第一條 本令ニ於テ漁業ト稱󠄄スルハ公󠄃共ノ用ニ供スル水面ニ於テ營利ノ目的ヲ以テ水產動植物ノ採󠄃捕又󠄂ハ養󠄄殖ヲ業トスルヲ謂フ

第二條 漁業ヲ爲サムトスル者ハ一業體每ニ左ノ事項ヲ具󠄄シ軍政部長ニ願出許可ヲ受クヘシ

一 本籍、居住󠄃地、職󠄃業、氏名、出生年月日

二 漁業ノ名稱󠄄

三 漁獲物ノ種類

四 漁業ノ場所󠄃

五 漁業ノ期間及󠄃漁期、

六 漁船󠄄ノ數及󠄃大サ

七 從業者ノ員數

前󠄃項ノ願書ニハ市町村長若ハ之ニ準スヘキ者(民政地域內居住󠄃者ニ在リテハ所󠄃轄󠄅憲󠄆兵隊󠄄)又󠄂ハ露領水產組合組長ノ身元證明書ヲ添󠄃附スヘシ

船󠄄舶ヲ使󠄃用スルモノニ在リテハ船󠄄舶國籍證書寫及󠄃船󠄄舶檢查證書寫又󠄂ハ之ニ準スヘキ書類ヲ添󠄃附スヘシ

第三條 軍政部長漁業ノ許可ヲ爲シタルトキハ漁業許可證ヲ交󠄄付スヘシ

漁業許可證ハ之ヲ船󠄄舶內ニ保持シ又󠄂ハ從業ノ際携帶スヘシ

官憲󠄆ヨリ許可證ノ提示ヲ求メラレタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス

第四條 漁業許可證ハ之ヲ讓渡シ又󠄂ハ貸與スルコトヲ得ス

第五條 漁業許可證ヲ亡󠄃失毀滅シ又󠄂ハ其ノ記載事項ニ異動ヲ生シタルトキハ亡󠄃失ノ場合ヲ除クノ外漁業許可證ヲ添󠄃ヘ事由ヲ具󠄄シ速󠄃ニ再下付又󠄂ハ書換ヲ請󠄃求スヘシ

第六條 捕鯨業ノ根據地ヲ設ケムトスル者ハ一根據地每ニ軍政部長ノ許可ヲ受クヘシ

前󠄃項ノ願書ニハ設計圖、設計說明書、設置地及󠄃其ノ附近󠄃ノ圖面ヲ添󠄃附スヘシ

第七條 軍政部長ハ軍事、水產動植物ノ蕃殖保護、漁業取締󠄂其ノ他公󠄃益上必要󠄃アリト認󠄃ムルトキハ漁業ヲ制限シ停止シ又󠄂ハ許可ヲ取消󠄃スコトヲ得

本令ノ規定又󠄂ハ本令ニ基ク命令ニ違󠄄反シタルトキハ軍政部長ハ漁業ノ許可ヲ取消󠄃スコトヲ得

第八條 黑龍󠄇江以外ノ河川又󠄂ハ入江ニ於テハ鮭鱒其ノ他ノ遡河魚類ヲ採󠄃捕スルコトヲ得ス

第九條 鮭、鱒、鰊、鱈、蟹漁業ニ付キテハ別ニ定ムル所󠄃ノ規定ニ依リ貸下ヲ受ケタル漁區ニ非サレハ當分󠄃之ヲ許可セス

第十條 前󠄃二條ノ規定ハ土著ノ露國人又󠄂ハ土人ニシテ從來ノ慣行ニ依リ生計ノ爲水產動植物ヲ採󠄃捕スル場合ニ之ヲ適󠄃用セス

第十一條 膃肭獸及󠄃臘虎ハ之ヲ獵獲スルコトヲ得ス

前󠄃項ノ規定ハ「ギリヤアク」人其ノ他ノ土人海岸ヨリ三海里ヲ超エサル範圍內ニ於テ臘虎ノ獵獲ヲ爲シ又󠄂ハ他船󠄄ト連󠄃絡ナク櫓櫂又󠄂ハ帆ヲ以テ推進󠄃スル小舟ニ依リ其ノ乘組員五人以下ニシテ銃器ヲ使󠄃用セス慣行ノ方法ニ從ヒ膃肭獸ノ獵獲ヲ爲ス場合之ヲ適󠄃用セス但シ他人ニ雇役セラレ又󠄂ハ獵獲シタル臘虎、膃肭獸又󠄂ハ其ノ獸皮ヲ他人ニ引渡ス契󠄅約ヲ爲ササルトキニ限ル

第十二條 爆發物ヲ使󠄃用シテ水產動植物ヲ採󠄃捕スルコトヲ得ス但海獸捕獲ノ爲ニスル場合ハ此ノ限ニ在ラス

水產動植物ヲ疲憊シ又󠄂ハ斃死セシムヘキ有毒物ヲ使󠄃用シテ水產動植物ヲ採󠄃捕スルコトヲ得ス

第十三條 軍政部長ハ水產動植物蕃殖保護又󠄂ハ漁業取締󠄂ノ爲左ノ命令ヲ發スルコトヲ得

一 水產動植物ニ有害󠄆ナル物ノ遺󠄃棄ニ關スル制限又󠄂ハ禁止

二 蕃殖保護ニ必要󠄃ナル物ノ採󠄃取又󠄂ハ除去ニ關スル制限又󠄂ハ禁止

第十四條 學術󠄃硏究其ノ他特別ノ理由アルトキハ軍政部長ノ許可ヲ得テ本令ノ制限禁止ニ拘ラス水產動植物ヲ採󠄃捕スルコトヲ得

前󠄃項ノ許可ヲ得ントスル者ハ左ノ事項ヲ具󠄄シ願出ツヘシ

一 本籍、居住󠄃地、職󠄃業、氏名、出生年月日

二 採󠄃捕ノ目的

三 採󠄃捕スヘキ水產動植物ノ種類

四 採󠄃捕ノ場所󠄃

五 採󠄃捕ノ時期

六 採󠄃捕ノ方法

第十五條 第十一條ノ規定ニ違󠄄反ツタル者ハ一年以下ノ監󠄂禁又󠄂ハ千圓以下ノ過󠄃料ニ處ス

第十六條 左ニ揭クル者ハ千圓以下ノ過󠄃料ニ處ス

一 許可ヲ受ケス又󠄂ハ詐僞ノ行爲ヲ以テ許可ヲ受ケ漁業ヲ爲シ若ハ根據地ヲ設ケタル者

二 第四條第八條及󠄃第十二條ノ規定ニ違󠄄反シタル者

第十七條 第三條第二項第三項及󠄃第五條ノ規定ニ違󠄄反シタル者ハ五十圓以下ノ過󠄃料ニ處ス

附則

本令ハ公󠄃布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。