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栄典法案 (第15回国会閣法第33号)

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審議経過

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  • 第15回国会(特別会)
    • 衆議院: 昭和27年12月17日内閣から提出、同日内閣委員会に付託、昭和28年2月17日及び18日同委員会において公聴会開会、3月14日会期終了により審査未了、廃案

法案

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栄典法案
栄典法
(目的)

第一条 この法律は、日本国憲法第七条第七号に規定する栄典について、その基本的事項を定めることを目的とする。

(勲章)

第二条 国家又は公共に対し著しい功労のある者を表彰するため、これに勲章を授与する。

2 勲章は、菊花勲章、旭[1]日勲章、文化勲章及び産業勲章の四種とする。

(菊花勲章)

第三条 菊花勲章は、特に著しい功労のある者に授与する。

2 菊花勲章は、皇族及び外国の君主、大統領等には、前条第一項及び前項の規定にかかわらず、特に授与することができる。

3 菊花勲章は、正章及び副章から成り、特別の場合に限り、これに頸[2]飾章を加える。頸飾章は、正章及び副章とともに、又はすでに正章及び副章を授与された者に授与する。

4 菊花勲章の製式は、章は、旭日及び菊の花と葉を、しめがねは、菊の花をかたどり、頸飾は、菊の花と葉及びからくさ模様をあらわした連環とし、リボンの彩色は、紅色の地に紫色の線二本を入れるものとする。

5 菊花勲章を着用するには、正章をリボンで右肩から左わきにたれ、副章を左胸に着け、頸飾章を頸飾でのど下にたれるものとする。

(旭日勲章)

第四条 旭日勲章は、旭日大綬[3]勲章、旭日重光勲章、旭日中綬勲章、旭日小綬勲章及び旭日銀光勲章の五等級に分け、著しい功労のある者に、その功労の程度に応じ相当等級のものを授与する。

2 旭日勲章は、外国人には、第二条第一項及び前項の規定にかかわらず、特に授与することができる。

3 旭日大綬勲章は、正章及び副章から成る。

4 旭日勲章の製式は、章は、旭日をかたどり、しめがねは、五七のきり(旭日銀光勲章にあつては、五三のきりとする。)とし、リボンの彩色は、紅色の地に白色の線二本を入れるものとする。

5 旭日勲章を着用するには、旭日大綬勲章は、正章をリボンで右肩から左わきにたれ、副章を左胸に着け、旭日重光勲章は、右胸に着け、旭日中綬勲章は、リボンでのど下(婦人にあつては、左胸とする。)に、旭日小綬勲章及び旭日銀光勲章は、リボンで左胸に着けるものとする。

(文化勲章)

第五条 文化勲章は、文化の発達に関し特にすぐれた功労のある者に授与する。

2 文化勲章の製式は、章は、たちばなの花を、しめがねは、たちばなの葉と実をかたどり、リボンの彩色は、淡紫色とする。

3 文化勲章を着用するには、リボンで胸部中央にたれるものとする。

(産業勲章)

第六条 産業勲章は、産業の発達に関し特にすぐれた功労のある者に授与する。

2 産業勲章の製式は、章及びしめがねは、きりの花と葉をかたどり、リボンの彩色は、淡緑色とする。

3 産業勲章を着用するには、リボンで胸部中央にたれるものとする。

(位)

第七条 国家又は公共に対し著しい功労のある者を表彰するため、これに位を授与する。

2 位は、正一位、従一位、正二位、従二位、正三位、従三位、正四位、従四位、正五位、従五位、正六位、従六位、正七位、従七位、正八位及び従八位の十六等級に分け、功労の程度に応じ相当等級のものを授与する。

(功労章)

第八条 国家又は公共に対し功労のある者を表彰するため、これに功労章を授与する。

2 功労章は、功労金章及び功労銀章の二等級に分け、功労の程度に応じ相当等級のものを授与する。

3 自己の危難を顧みずに勇敢な行動をなし、功労のある者に対しては、前項の規定にかかわらず、特別の功労章を授与する。

4 功労章の製式は、章は、光線及びひかげのかずらをかたどり、リボンの彩色は、功労金章及び功労銀章にあつては、白色の地に紅色の線四本を入れ、前項の功労章にあつては、紅色の地に白色の線四本を入れるものとし、これを着用するには、リボンで左胸に着けるものとする。

5 すでに第三項の功労章を授与された者に、重ねて同項の功労章を授与すべき功労があるときは、そのつど、その者に銀飾版一個を授与する。銀飾版が五個以上に達したときは、五個ごとに金飾版一個を引き換えて授与する。

(褒[4]章)

第九条 左に掲げる者を表彰するため、これに褒章を授与する。

一 自己の危難を顧みずに人命を救助した者
二 徳行が著しく、又は職務に精励し、公衆の模範とすべき者
三 学術若しくは産業上の発明、改良若しくは著述をなし、又は教育、衛生、社会福祉、産業等に力を尽し、公益を著しく増進した者
四 私財又は労力の提供により公益のため著しい貢献をした者

2 褒章の製式は、章は、四柱及び寄せ花をかたどり、リボンの彩色は、前項第一号に規定する者に授与するものは紅色、同項第二号に規定する者に授与するものは緑色、同項第三号に規定する者に授与するものは藍[5]色、同項第四号に規定する者に授与するものは紺色とする。

3 褒章を着用するには、リボンで左胸に着けるものとする。

4 すでに褒章を授与された者に、重ねて同種の褒章を授与すべき事績があるときは、そのつど、その者に銀飾版一個を授与する。銀飾版が五個以上に達したときは、五個ごとに金飾版一個を引き換えて授与する。

(賞杯、一時金及び賞状)

第十条 第二条又は前二条の規定による表彰にあわせて、賞杯又は一時金を授与することができる。

2 すでに菊花勲章、旭日大綬勲章、文化勲章若しくは産業勲章を授与された者に、重ねて同種の勲章を授与すべき功労があるとき、又は功労金章を授与された者に、重ねて功労金章若しくは功労銀章を授与すべき功労があるときは、その者に賞杯を授与する。この場合には、あわせて一時金を授与することができる。

3 前二条の規定により表彰されるべき功労又は事績に準ずる功労又は事績のある者を表彰するため、これに賞杯又は賞状を授与する。

4 前項の規定による表彰は、内閣総理大臣に委任することができる。

(団体の表彰)

第十一条 第二条、第八条、第九条又は前条第三項の規定により表彰されるべき功労又は事績に相当する功労又は事績のある団体を表彰するため、これに賞状を授与する。

5 前条第四項の規定は、同条第三項の規定により表彰されるべき功労又は事績に相当する功労又は事績のある団体の表彰に準用する。

(死亡者の表彰)

第十二条 第二条、第七条から第九条まで又は第十条第三項の規定により表彰されるべき者に対しては、その者が表彰前に死亡した場合においても、当該栄典を授与することができる。

(記章)

第十三条 国家的祝典又は事業の記念の標章として記章を設ける。

2 記章を制定するには、そのつど法律による。

3 記章の名称、製式、着用式及び授与される者の範囲については、前項の法律で定める。

(勲章等の着用)

第十四条 勲章、功労章、褒章及び記章は、これを授与された本人に限り着用することができる。

2 勲章、功労章、褒章又は記章と類似の体裁を有する標章は、通常勲章、功労章、褒章又は記章が着用されるような事情の下において着用してはならない。但し、外国の勲章等(外国の標章で、この法律による勲章、功労章、褒章又は記章に相当するものをいう。以下同じ。)及び政令で指定する標章は、この限りでない。

3 勲章、功労章、褒章又は記章を授与された者は、総理府令で定めるところにより、略小勲章、略章又はリボンを着用することができる。

(勲章等の保存及び返納)

第十五条 勲章、功労章、褒章又は記章を授与された者が、死亡したときは、その遺族は、これを保存することができる。

2 旭日勲章を授与された者がさらに上級の旭日勲章を授与されたときは、下級の旭日勲章を内閣総理大臣に返納しなければならない。功労章についても、同様とする。

(栄典の返還)

第十六条 勲章、位、功労章、褒章、記章又は第十条の規定による賞件を授与された者は、理由を附してその栄典を返還することができる。第十一条の規定により賞状を授与された団体についても、同様とする。

(勲章の授与の失効)

第十七条 勲章を授与された者が、死刑、懲役又は無期若しくは二年以上の禁こ[6]に処せられたときは、その勲章の授与は、効力を失う。但し、刑の執行猶予の言渡を受けたときは、この限りでない。

2 前項但書の場合において、刑の執行猶予の言渡を取り消されたときは、その勲章の授与は、効力を失う。

3 勲章を授与された者が、左の各号の一に該当するときは、情状により、その勲章の授与の効力を失わせることができる。

一 懲役又は二年以上の禁こ[7]に処せられ、刑の執行猶予の言渡を受けたとき。
二 二年未満の禁こ[8]に処せられたとき。
三 弾劾に関する法律により罷免されたとき。
四 懲戒処分として、免職の処分を受けたとき。
五 その他その栄誉を保持するに適しない非行があつたとき。

4 勲章を授与された者は、勲章の授与が効力を失つたときは、すみやかに勲章を内閣総理大臣に返納しなければならない。

(勲章の着用資格の停止)

第十八条 勲章を授与された者が、法令により拘禁されたときは、その間勲章を着用することができない。懲役若しくは禁こ[9]の執行猶予又は仮出獄の期間についても、同様とする。

(位、功労章等の授与の失効及び功労章等の着用資格の停止)

第十九条 第十七条の規定は、位に、前二条の規定は、功労章、褒章及び記章に準用する。

(外国の勲章等の着用)

第二十条 外国の勲章等は、内閣総理大臣の認可を受けた者でなければ、日本国内で着用することができない。但し、外国人は、この限りでない。

2 第十七条第一項から第三項まで及び第十八条の規定は、外国の勲章等の着用の認可を受けた者に準用する。この場合において、第十七条第一項から第三項までの規定中「勲章の授与」とあるのは、「外国の勲章等の着用の認可」と読み替えるものとする。

3 前項の規定により第十七条第三項の規定を準用する場合において、外国の勲章等の着用の認可の効力を失わせる処分は、内閣総理大臣が行う。

(表彰の申出)

第二十一条 市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)又は都道府県知事は、勲章、位、功労章、褒章又は記章の授与その他この法律の規定による表彰に値する者があると認めるときは、その功労又は事績を附して内閣総理大臣にこれを申し出ることができる。

2 市町村長は、前項の申出をする場合には、都道府県知事を経由しなければならない。

3 都道府県知事は、外国人について、第一項の申出をし、又は前項の規定により市町村長の申出を進達する場合には外務大臣を経由しなければならない。

(栄典審議会)

第二十二条 内閣総理大臣は、勲章の授与(死亡者又は外国人に対するものを除く。)に関する案件を閣議にかけるには、授与すべき勲章の種類及び等級につき、栄典審議会の議決を経なければならない。第十七条第三項の規定による勲章の授与の失効に関する案件についても、同様とする。

第二十三条 前条の規定による議決を行い、その他内閣総理大臣の諮問に応じて栄典に関する重要事項について調査審議させるため、総理府の附属機関として、栄典審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、委員十一人で組織する。

3 委員は、公正で識見のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

4 委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、非常勤とする。

6 審議会は、委員六人以上の同意がなければ、議決をすることができない。

7 前各項に定めるものの外、審議会について必要な事項は、政令で定める。

(実施規定)

第二十四条 この法律に特別の定があるものを除く外、勲章、功労章及び褒章の製式の細目その他この法律を実施するために必要な事項は、政令で定める。

附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律の施行の際現に授与されている従前の菊花章、文化勲章、位及び褒章は、それぞれこの法律により授与されたものとみなす。

3 この法律の施行の際現に授与されている従前の旭日章、宝冠章、瑞[10]宝章及び記章は、この法律の施行後も、なお効力を有するものとし、これらに関しては、第十四条、第十五条第一項、第十六条から第十八条まで及び第二十二条の規定を準用する。

4 この法律の施行の際現に授与されている勲位勲等は、効力を失う。

5 この法律施行前に旧外国勲章佩用願規則(明治十八年太政官布告第三十五号)により外国の勲章等の佩用の免許を受けた者については、その外国の勲章等の着用について、第二十条の規定による内閣総理大臣の認可があつたものとみなす。

6 この法律の施行の際現に褒章を授与されている者は、この法律の施行後も、従前の褒章を着用することができる。

7 前項に規定する者に対して第九条第四項の規定により飾版を授与すべきときは、本人の申出により、従前の褒章をこの法律の規定による褒章と引き換えるものとする。

8 この法律の施行後最初に任命される栄典審議会の委員のうち、内閣総理大臣が指名する五人の委員の任期は、第二十三条第四項の規定にかかわらず、一年とする。

9 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

第四条第十五号中「は[11][12]奪」を「その失効」に改める。
第六条第一項中第十七号から第十九号までを次のように改める。
十七 勲章に関すること。
十八 功労章、ほ[13][14]章、記章その他の賞件に関すること。
十九 外国の勲章等の着用に関すること。
第十五条第一項の表中恩給審査会の項の前に次の一項を加える。
栄典審議会 栄典法(昭和  年法律第  号)の規定に基き栄典に関する事項を調査審議すること。

10 商標法(大正十年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

第二条第一項第二号中「勲章」の下に「、功労章」を加える。

脚注

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  1. 「きよく」のルビあり。
  2. 「けい」のルビあり。
  3. 「じゆ」のルビあり。
  4. 「ほう」のルビあり。
  5. 「らん」のルビあり。
  6. 傍点「ヽ」あり。
  7. 傍点「ヽ」あり。
  8. 傍点「ヽ」あり。
  9. 傍点「ヽ」あり。
  10. 「ずい」のルビあり。
  11. 傍点「ヽ」あり。
  12. 傍点「ヽ」あり。
  13. 傍点「ヽ」あり。
  14. 傍点「ヽ」あり。

関連項目

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この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。