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新体詩抄/春夏秋冬の詩(尚今居士)

提供:Wikisource


春夏秋冬

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此詩ハ句尾ノ二字ヲ以テ二句ヅヽ韻ヲ蹈ミタルモノナリ例ヘバ「よろこばし」「暖かし」ノ如シ

尚今居士

物事よろこばし 吹く風とても暖かし
庭の櫻や桃の 美しく見ゆるか
野邉の雲雀いと髙く 雲井はるに舞ひて鳴く

木草の葉も茂り 百日紅も咲きけり
夕暮かけて飛ぶ蟲は 集まり來たる軒のき
我家を立出でゝ ほ凉むらんさよふけて

尾花をみへし 桔梗の花も開くべし
晴れて雲き青空 照ら月影明か
されど何處も同じこと 寂しく見ゆる家の外

雪霜いと深く 冷ゆる手足を暖く
さん為とて爐火いろりび 近く團居まどゐをする時
吹き入る戸のあ の方見れ銀世界

この著作物は、1899年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)80年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。