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文化庁の移転について

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文化庁の移転について

平成28年12月19日

文化庁移転協議会


 文化庁の移転について平成28年12月19日文化庁移転協議会文化庁の移転については、「政府関係機関移転基本方針」(平成28年3月22日まち・ひと・しごと創生本部決定)及び「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」(平成28年6月2日閣議決定)(以下両方あわせて「基本方針」という。)に基づき、平成28年8月25日に「文化庁の移転の概要について」(以下「移転の概要」という。)を取りまとめ、基本的な方針や工程を示したところである。さらに、「政府関係機関移転にかかる今後の取組について」(平成28年9月1日まち・ひと・しごと創生本部決定)において、移転の概要に基づき、検討を進めることとしている。

 本文書は、移転の概要を始めとするこうした決定を踏まえて更に検討を進め、移転の計画的・段階的な推進について取りまとめたものである。


1.文化庁の移転の進め方

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(1)文化庁の機能強化

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 文化庁の移転については、基本方針、移転の概要等において、文化庁に期待される新たな政策ニーズ等への対応を含め、機能強化を図りつつ、全面的に移転することとしている。このことを踏まえ、今後、文化庁が本格移転するに当たっては、新しい文化庁(以下「新・文化庁」という。)として従来の文化庁内部の組織を抜本的に見直し、企画・立案体制(政策立案機能)を強化するとともに、観光、産業、教育、福祉、まちづくり等の様々な関連分野との連携を強化し、総合的に施策を推進するための体制を、行革の観点も踏まえつつ、構築する必要がある。

(2)移転の具体的な進め方

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 文化庁の移転は京都以外の全国各都道府県や幅広い国民の理解を得ながら、文化庁の機能の強化を図りつつ、組織の抜本的改編を行うものであるため、移転の概要等に基づき、次の①から③のとおり計画的・段階的に進めていく。

① 本年7月に実施したICT実証実験及び②で述べる先行移転を通して、遠隔地の部局との連携の方法や課題について検証を行う。

② 関西・京都地域の官民の協力を得て、文化庁の京都移転の具体的メリットを示すことにより国民の理解を得ることを目的とする先行的取組を行うとともに、本格移転の準備を関係部署と共同して進めるため、平成29年度から文化庁の一部を先行的に移転する。

③ ②と並行して、全面的な移転という方針を踏まえつつ、文化庁の機能強化及び抜本的な組織改編を検討し、これに係る文部科学省設置法の改正案等を平成30年1月からの通常国会を目途に提出することとする。これにより新たな政策ニーズに対応できる新・文化庁の執行体制を構築するとともに、業務に一時の停滞も来さないよう、東京及び京都で運用を開始する。

 その上で、最終的には、京都と東京との分離により必要となる組織体制を整備しつつ、円滑に全面的な移転を実施することとする。

 また、本格移転の場所について、4.(2)で後述するとおり、今般、複数の候補をしたところであり、今後更に検討を進め、平成29年8月末を目途に具体的な庁舎の場所、費用負担のあり方等を決定する。

2.平成29年度から実施する先行移転

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(1)「地域文化創生本部(仮称)」の設置

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 平成29年度から京都に、文化庁の組織として「地域文化創生本部(仮称)」(以下「創生本部」という。)を設置し、文化庁に期待される新たな政策ニーズに対応した事務・事業を地元の知見やノウハウ等を生かしながら先行的に実施する。このために必要な予算及び機構・定員を確保すべく、調整を進める。

①設置時期
平成29年4月(予定)
②庁舎の場所
京都市東山区東大路通松原上る三丁目毘沙門町43-3
(京都市上下水道局旧東山営業所)
③組織
 創生本部に本部長等を置き、本部長は文化庁長官を、本部長代理は文化庁次長を、副本部長は長官官房審議官、文化部長、文化財部長及び文化財鑑査官をもってそれぞれ充てる。
 京都に常駐する事務局として、地元※の協力も得て30人程度の体制を構築する(国10人、京都府・市10人、関西地域の地方公共団体、京都商工会議所を含む経済界、大学等研究者等合わせて10人程度を予定)。
 ※文化庁移転協議会の構成員の中では京都府及び京都市を指すが、文化庁、京都府及び京都市は、必要に応じて、関西地域の地方公共団体、京都商工会議所を含む経済界、文化関係団体、大学等との連携を図り、協力を得ることとする。以下同じ。
 事務局には、事務局長及び副事務局長を置くとともに、(i)総括・政策研究グループ、(ii)暮らしの文化・アートグループ、(iii)広域文化観光・まちづくりグループの3つのグループを設け、それぞれグループリーダー、サブリーダーを中心に業務を行う。体制については、先行的取組の状況を踏まえ、本格移転に向けて拡大も含めた見直しを適宜行うものとする。
 また、テレビ会議等ICTを活用しつつ、本部会議の適宜開催など、文化庁全体で創生本部を支え、協働する体制を構築するとともに、地元との連携・協力等を図るための「地域文化創生連絡会議(仮称)」を新たに設けることとする。
④業務
 ③で述べた30人程度の体制を前提に、地元との連携・協力により、各グループは当面、以下のような業務を行うことを予定している。その際、文化庁の各部課にまたがる業務を一体的・融合的に行ったり、観光・まちづくりなど文化関連分野と積:極的に連携したりするなど、これまでの文化行政の枠組みにとらわれず、新たな政策ニーズに対応できる執行体制とする。
( i )総括・政策研究グループ
 主として創生本部の総括、文化に関する政策調査研究、国際文化交流等を行う。
○創生本部の総括、広報、情報システム
○本格移転に向けた準備
○地域文化創生連絡会議(仮称)の運営
○新たな政策課題への対応のための政策調査研究
○文化芸術創造都市づくりへの支援
○関西元気文化圏事業に関する取組への支援
○東アジア文化都市2017、東アジア文化都市サミットへの支援
○ICOM(国際博物館会議)2019京都大会の関連業務支援に係る連携調整 等
( ii )暮らしの文化・アートグループ
 主として地域の幅広い文化芸術資源の活用による地方創生、経済活性化及び人材育成、伝統工芸や生活文化に関する調査研究等を行う。
○文化芸術を創造し活用するためのプラットフォーム形成への支援
○芸術祭関西公演等の実施
○全国高校生伝統文化フェスティバルの開催
○伝統工芸用具・原材料に関する調査
○伝統的生活文化に関する調査研究
○伝統文化親子教室 等
( iii )広域文化観光・まちづくりグループ
 主として文化財等を生かした広域文化観光及びまちづくりの推進、これらに関するモデル開発等を行う。
○文化観光拠点の形成支援
○広域文化観光モデルの作成・全国展開
○歴史文化基本構想の策定への支援
○日本の歴史・伝統文化の情報発信への支援 等

(2)京都府・市等の連携・協力

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 京都府・市ともに全庁を挙げて創生本部の取組をバックアップすることとし、移転の概要等に基づき、現在、京都府及び京都市は創生本部に職員を10人派遣する方向で準備を進めている。また、文化庁、京都府及び京都市は、京都経済界に加え、関西地域の地方公共団体、経済界、大学等に対して人的な協力要請を行っている。これを受けて、関西広域連合においても、構成団体からの職員派遣について協力を要請している。

 先行移転の実施に当たって必要な庁舎及び職員居住についても、京都府及び京都市はそれぞれ先行移転に係る庁舎及び京都府・市の保有する宿舎を含めた職員居住に関する候補の場所や関連情報等について提供するなどの協力を行っている。

 また、京都府及び京都市では、シンポジウムの開催、民間の自主的な活動の促進等により、経済界と連携し、官民を挙げて文化庁移転に係る気運醸成に取り組んできた。平成29年度の予算においても必要な予算を確保するものとする。

3.文化庁の機能強化と抜本的な組織改編

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 新・文化庁は、我が国の文化の深さと多様性を十分に社会の諸課題の解決に生かすべく、文化財等の文化芸術資源を国民・社会の宝としてより活用していくこと、文化芸術の領域を広げ新しい文化の創造を促進していくことが求められている。

 このため、新・文化庁は、特定分野を所管する役所としての立場に拘泥するのではなく、常に「現場第一」の原点に立って、国内外の様々な人々や組織・団体とつながり、文化力による社会の活性化や地方創生、国際交流にも貢献する行政組織でなければならない。

 そのための機能強化として、新・文化庁は、政策の対象を幅広く捉え、文化財など蓄積された文化芸術資源を核とした地方創生、食文化をはじめとする生活文化等の複合領域、近現代文化遺産や近現代美術品、若者たちの作り出す文化芸術の萌芽や科学技術を活用した新文化創造等新分野などに、関連する産業まで裾野の広がりも視野に入れつつ対応する。また、の基盤整備として、文化芸術教育・体験の充実、世界に誇れるトップクラスの文化芸術創造、担い手やボランティアの養成及び確保、文化芸術へのアクセス拡大、日本語教育の質の向上、著作物の流通促進等、多様な財源確保と民間との協働などを進める。これらを実現するため、政策立案機能の強化、従来の固定化した文化芸術の枠に閉じない観光・産業・教育・福祉・まちづくり等の様々な関連分野と連携・調整した施策の総合的な推進、在外公館・文化施設等と連携した戦略的な国際文化交流・海外発信、文化政策調査研究など新たな政策ニーズに対応できる機能や推進体制の構築が不可欠である。

※ 移転の概要決定後、文部科学大臣の要請を受けて、本年11月17日に文化審議会から答申された「文化芸術立国の実現を加速する文化政策―「新・文化庁」を目指す機能強化と2020年以降への遺産(レガシー)創出に向けた緊急提言―」において、強化すべき機能について提言がされている。

 文化庁が今後、新たな体制で様々な文化政策を展開するに当たっては、東京に残す機能を含め、オールジャパンの視点に立って、文化芸術各分野の担い手・現場との円滑なコミュニケーションの確保、地域の文化を掘り起こして魅力を高めていくプログラムの開発、文化政策の総合的推進という観点に十分配慮しながら、政策を相乗的に行っていく。

 なお、文化振興や文化と社会のかかわり、新・文化庁の意義について、広く国民・社会の関心と理解が深まるよう、引き続き努めるものとする。

4.本格移転

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(1)基本方針等に示された視点と業務の分離

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 文化庁の本格移転については、全面的な移転という方針を踏まえつつ、基本方針、移転の概要等において示された視点や、本年7月に実施したICT実証実験及び先行移転を通して行う遠隔地の部局との連携の方法や課題についての検証等を踏まえて、今後、京都と東京とにおける文化庁の業務の分離により必要となる組織体制の大枠を明らかにし、その整備と併せて、円滑な移転を遅滞なく実施することについて、更に具体的な検討を進める必要がある。

(2)移転場所、移転費用、移転後の経費への対応

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 移転場所については、移転の概要において、新・文化庁にふさわしいものであること、費用負担のあり方などの検討の視点や、移転先に必要な5つの条件(文化的な環境、交通の便、適正な規模、ICT環境、耐震性)を踏まえつつ、総合的に検討を行うこととしている。

 今般、京都側から提案のあった11件(京都府5件、京都市6件)に加え、国や独立行政法人が所有する施設及び民間オフィスの借用も含め、上記5条件に関して総合的な検討を行った。その結果、以下の5件について、移転の概要に述べられた視点も踏まえ、移転先の候補として、今後、必要となる組織体制の大枠を踏まえ、供用開始までの期間や、経費の見積もり、費用の分担関係その他の課題を含め、更に検討を加え、平成29年8月末を目途に具体的な庁舎の場所を決定することとする。

移転先の候補 現所有者
京都府警察本部本館 京都府
元安寧小学校の一部 京都市
京都国立博物館 (本館) 独立行政法人国立文化財機構
(旧管理棟・資料棟等)
旧京都地方合同庁舎

 また、移転先の候補の現所有者や庁舎の建設主体等の場合に応じ、地方財政法をはじめとする関係し得る法令の法的な課題等について、上記の検討と並行して、関係省庁とも連携しながら、引き続き、検討を進める。

 さらに、職員の住環境の整備を含め、移転に係るその他の費用等の負担のあり方や移転後の経常的経費の措置のあり方についても、上記検討と並行して検討を進める。

(3)円滑な移転のための環境整備

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 本格移転の実施にあたり、質の高い文化行政を担う職員を引き続き確保する観点から、居住面について、京都府・市の保有する宿舎の使用を含む住環境の確保など地元の協力も得つつ、引き続き検討を進める。また、処遇面に関しては、給与(地域手当、本府省業務調整手当)等における適切な配慮について引き続き検討を進めるとともに、福利厚生等における適切な配慮についても、地元の協力も得つつ、引き続き検討を進める。

(4)独立行政法人のあり方

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 抜本的な組織改編の検討と並行して、各独立行政法人の移転に関しても、各法人の業務内容や実態を踏まえた移転のメリットや課題、費用負担の問題等について検討を進めることとする。

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