文化庁の移転の概要について

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文化庁の移転の概要について

平成28年8月25日

文化庁移転協議会


1.文化庁の京都への全面的な移転の進め方(考え方)[編集]

(1)新たな文化行政のあり方[編集]

 およそ一国の文化はその国のアイデンティティを形成する源である。我が国は、有史以来、大陸の文化を受容しつつ、これを消化、吸収し、独自の文化を形成してきた。今日、グローバル化する現代社会にあって、我が国の文化政策は、普遍性と我が国の個性を備えた文化を振興し、国全体としての心豊かな社会の形成や経済の活性化、さらには世界の文化の発展に寄与することが求められている。

(文化行政の歩み)

 これまでの文化行政の歩みを振り返ると、明治以来、現在の文化行政を構成する諸分野(文化財保護、芸術文化、国語、宗務、著作権等)は内務省や文部省等の各部局に所管が分かれ、個別の政策で対応がなされてきた。これらの事務も順次文部省に移管され、戦後には現在の文化庁所管分野は、ほぼ文部省の所管となった。しかし文化に関する行政を総括して施策を展開する体制としては、昭和41年に、経済の高度成長を経て、物質的豊かさのみではなく精神的に充実した文化的な生活を求める社会の状況を背景として文部省文化局が設置され、続いて昭和43年に、同局と文化財保護委員会(昭和25年に文部省の外局として設置)を統合して文化庁が創設されたことによりはじめて、伝統的な文化の継承と新たな文化の創造を一体的に推進するための組織が置かれることとなった。平成13年1月の中央省庁等再編の際には、文化庁の任務として新たに「国際文化交流の振興」が明記されるとともに、文化財にかかる担当部局が「文化財保護部」から「文化財部」に改組され、おおむね現在の施策推進の枠組みが形作られた。

 文化行政の基盤となる主な法制度としては、まず、明治期に創設された文化財保護の制度が、保護対象の拡大や保護手法の多様化など、時代の状況に応じて制度の充実を重ねつつ、文化財保護法として現在に受け継がれている。また、平成13年には、文化芸術の振興に関し基本理念を定め、施策の総合的な推進を図ることを目的とする文化芸術振興基本法が制定され、政府が基本方針を策定して施策の推進を図る枠組みが作られた。この他、宗教法人法著作権法等の各分野の法制度に基づき、諸施策が推進されてきたが、近年、新たな政策ニーズに応じ、美術品損害補償法劇場・音楽堂等の活性化に関する法律をはじめとする新規立法が続いている。また、特に著作権法等、経済社会状況や国際的な動向も踏まえた法制度の見直しも活発に行われている。

(これまでの成果と課題)

 これまでの文化政策の下、舞台芸術やメディア芸術をはじめとする芸術活動への支援がなされるとともに、国立文化施設の整備も着実に進められ、さらには官民の協力により、芸術文化振興基金による助成の仕組み等も設けられた。これらの成果として、芸術家の創作活動への支援や若手芸術家の育成の仕組みが整えられたとともに、国民の文化活動への参加の気運醸成や国民の鑑賞機会の向上、特に子供の芸術や伝統文化に触れる機会の拡充が図られてきた。

 また、有形・無形の両面にわたる文化財の保存・継承、さらには国語や著作権制度等の文化の基盤整備も進められてきた。

 しかし昨今、国内外の諸情勢は急速な変化を続け、文化芸術を取り巻く状況にも影響を与えている。人口減少社会が到来し、地域コミュニティの衰退が指摘されるが、特に地方における過疎化や少子高齢化等の影響が顕著であり、多様な文化芸術資源を活かした地方創生が求められている。我が国全体を眺めてみても、都市化に伴う生活様式・行動様式の急激な変容によって、衣食住にわたる基層の文化も地域の人間関係も揺らいできている。四季の自然を大切にしつつ隣人と共に生きる暮らしや、地域の年中行事は、本来親から子へ、近所のお年寄りから若者たちへ伝えられていくものであり、これこそが地域の誇りと持続性の源を成す。この基盤をどう支えるかは、大きな課題である。さらに、人々を地域に呼びこんでいく上で、観光は地方創生の切り札とされ、成長戦略の柱として我が国の基幹産業とすることが政府の目標とされる中にあって、各地の文化芸術資源の活用や発信は必ずしも十分ではない。地域の文化芸術資源の一体的な整備・活用や、分かりやすい多言語解説を進めることなどにより、観光資源としての多様な魅力を高め、対外発信を強化することは喫緊の課題である。

 また、グローバル化が進展する中で、文化芸術による対話や交流を通じた新たな価値の創出や、国内外の文化的多様性や相互理解の促進の重要性が一層高まっている。とりわけ、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、これを文化の祭典としても成功させることにより、我が国の文化や魅力を世界に示すまたとない機会であるが、これまでの国際文化交流や我が国の文化発信は十分な戦略性を持って取り組まれてこなかった。文化プログラム等の機会を活用して、全国の自治体や芸術家等との連携の下、地域の文化を体験してもらうための取組を全国各地で展開するとともに、国内外に効果的に発信することが求められている。

 同時に、こうしたグローバル化が進む中、全国各地の風土や歴史に根差した我が国の多様な文化が果たす役割が改めて認識されるようになっている。近年の東日本大震災や熊本地震をはじめとする災害からの復興においても、地域の祭礼が、復興の象徴となり、コミュニティに大きな勇気を与える等、地域の誇りやアイデンティティの形成・継承という観点からは、我が国の文化が持つ意義は、グローバル化が進む現在、さらに大きいものとなっている。

 さらに、情報通信技術の急速な普及・発達や、ビッグデータや人工知能などの技術革新は、文化芸術活動の創造活動や、その多様で広範な展開に貢献するものである。時に社会現象をも生み出すような新たな文化芸術の創造、人材育成、顕彰等において、世界からの求心力を維持、向上し続けることも課題である。一方で、新技術が人間関係に及ぼす様々な影響が指摘されるほか、違法配信等による著作権侵害の深刻化といった問題も惹起している。

 これらの今日の文化行政の課題を通してみると、我が国の文化の深さと多様性をこれまで十分に活かしきれていないことが浮かび上がる。文化芸術を資源としてとらえ、文化芸術への投資が新たな社会の発展、経済成長にもつながっていくよう、文化行政を転換すること、例えば、作り手や専門家だけの間で閉じない文化芸術資源の「活用」や、文化芸術活動と産業や科学技術等との連携・融合による好循環の形成など、文化芸術を幅広くとらえた総合的な施策の推進や、戦略的な海外発信が、必要となっている。

(海外の文化行政)

 海外の先進事例をみると、フランスでは1959年に創設された文化省が、1980年代からは、ポップアートなど広範な大衆文化も政策的に支援するとともに、文化行政の地方分権と併せて地方自治体の文化予算拡充にも注力してきた。同省は、1997年から現在の形である文化・コミュニケーション省となっている。

 同省では、芸術活動や文化財等に加え、文化産業やメセナの振興、さらにメディア政策(多様性の推進、広告産業・一般向け通信サービス全般、書籍・読書等)も所掌することにより、文化産業の発展や、文化的創作物及び文化遺産の普及のための新技術の発展等をも射程に入れた施策が展開されている。

(新しい文化庁の姿)

 これまでの文化行政における課題を踏まえれば、文化行政の目標や枠組み、射程も含めた大胆な転換が求められている。新しい文化庁(以下、「新・文化庁」という。)においては、明治期の制度枠組みに由来するものも含む現行の法制度やそれに基づく組織体制等に必ずしもとらわれることなく、真に必要な政策形成を進められるよう、文化庁内部の組織を見直し、政策立案機能を格段に強化することが必要である。さらに、今日の社会において文化芸術の意義や果たすべき役割を踏まえれば、従来の文化芸術の範囲に閉じることなく、観光・産業、教育、福祉、まちづくり等の様々な関連分野との連携を強化し、総合的に施策を推進することが不可欠である。

(2)京都への全面的な移転により目指す文化行政の姿(文化庁の機能強化)[編集]

(i)新たな政策ニーズへの対応[編集]

 文化庁は、まち・ひと・しごと創生基本方針(平成28年6月2日閣議決定)等において、文化庁に期待される新たな政策ニーズ等への対応を含め、機能強化を図りつつ、全面的に移転することとされている。

 これまでの文化行政の成果と課題を踏まえ、時代の変化に応じた取組を進めるためには、文化行政の大胆な転換が必要である。

 具体的には、文化芸術を資源としてとらえて好循環を形成するため、文化芸術活動への支援や、文化財保護及び文化関係の人材育成が、社会的・公共的価値(コミュニティの再生・まちづくりなど)及び経済的価値(新たな市場形成と訪日観光客の増加など)の創出につながり、それらが文化芸術の振興に還元される持続的なシステムを立案し、構築していくことが求められる。

 特に、文化芸術資源を活かした地方創生の観点からは、観光振興や産業との連携、新産業の創出や、ふるさとの誇りの源泉となる、地域の風土や歴史に根差した文化を体験するふるさと学習等を通じた地域活性化なども、期待されるところである。

 その際には、既存の文化行政枠組みにとらわれず、これまでの施策の対象として明確に位置付けられず十分な取組が行われてこなかった複合的な領域や新しい分野、例えば生活文化や近現代の文化資源の振興・活用等も求められる。

 戦略的な国際文化交流や海外発信の強化を図る上では、国内における文化振興にとどまらず、分野の特性に応じて国や地域別の方針を持って取り組むことなどが求められる。

 これらの振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。

 さらに、これまでの施策の対象や手法にとらわれず、真に必要な施策を企画立案していく上では、実証的なデータや学術研究の成果に基づく政策形成が求められる。現在、文化行政に関しては政策研究機能が十分でないが、例えば海外の文化政策動向等にかかる情報を収集・蓄積し、分析する機能や、文化GDP(文化産業の規模)及びその経済波及効果をめぐる経済分析は、効果的な政策を形成する上で不可欠である。

(ii)(i)を実現するために必要な新たな文化行政の推進体制の強化・充実[編集]

 上記を実現するためには、まず、文化庁内部の組織を見直し、企画・立案体制(政策立案機能)を格段に強化することが必要である。また、今日の社会において文化芸術の意義や果たすべき役割を踏まえれば、従来の文化芸術の範囲に閉じることなく、観光・産業、教育、福祉、まちづくり等の様々な関連分野との連携を強化し、総合的に施策を推進することが不可欠である。

 文化芸術資源を核とする地方創生の推進体制や、生活文化、近現代文化遺産等の複合領域や新分野に対応できる体制も必要である。

 戦略的な国際文化交流・海外発信を進める上では、外務省等との連携を強化し、体制を充実することが必要である。

 これまでの施策の対象や手法にとらわれず、真に必要な施策を企画立案していく上で、さらに、文化政策研究にかかる体制の構築も必要である。

 これらの体制については、効率的・効果的な推進体制とするなど行革の観点も踏まえて整備することとする。

(3)全面的な移転の進め方の基本的な方針[編集]

 今般の取組は、京都以外の全国各都道府県や幅広い国民の理解を得ながら文化庁の機能の強化を図りつつ、組織の抜本的改編を行うものであるため、計画的・段階的に進めることが必要であり、具体的には、次の①から③のとおり進めることとする。

①今年度実施のICT実証実験及び②で後述する先行移転を通して、遠隔地の部局との連携の方法や課題について検証を行う。

②また、関西・京都地域の官民の協力を得て、文化庁の京都移転の具体的メリットを示すことにより国民の理解を得ることを目的とする先行的取組を行うため、平成29年度から文化庁の一部を先行的に移転する(以下、「先行移転」という。)。

③②と並行して、全面的な移転という方針を踏まえつつ、文化庁の機能強化、「施策・事業の執行業務及びそれと密接不可分な政策の企画・立案業務」と「政策の企画・立案などで東京で行う必要のある業務」の分離などを検討した上で、機能強化及び抜本的な組織改編に係る文部科学省設置法の改正案等を、平成30年1月からの通常国会を目途に提出する。これにより新たな政策ニーズに対応できる「新・文化庁」の執行体制を構築するとともに、業務に一時の停滞も来さないよう、まず既存の場所で運用する。

 その上で、最終的には、京都と東京との分離により必要となる組織体制を整備しつつ、円滑に移転を実施することとする。

2.各工程の具体的内容について[編集]

(1)実証実験の成果と課題について[編集]

 平成28年7月、文化庁は京都市内において、約2週間の実証実験を実施した。実験期間中は文化庁職員が常時約10名滞在し、ICTの活用の実証(テレビ会議システムの活用)や現地の文化行政をめぐる状況の把握、その他の課題の有無の検証を行った。

(i)ICTの活用の実証(テレビ会議システムの活用)[編集]

 テレビ会議システムに関しては、a)通常のテレビを使用するものと、b)二面ディスプレイ(各100インチ)を使用する高臨場感システムの2種類を使用して行った。

(成果)

 意思疎通の円滑性については、a)、b)のいずれも概ねスムーズな会話が可能であった。

 また、a)は設置や操作が簡易で、機動的な活用が可能であった。b)は映像が立体的で、視野も広く全体の様子が分かりやすいことから、臨場感が高く評価された。それぞれの特性に合わせて遠隔地の者との会議等に活用すれば業務効率化にも資するものと考えられる。

 機密情報の扱いに関しては、文部科学省専用のネットワーク回線を延伸することにより、通信面では本省と同レベルのセキュリティ環境を確保できたため、非公開の審議会の開催も可能であった。

(課題)

 意思疎通に関して、a)、b)のいずれも、相手の視線の方向が分かりづらい※1ことから、相手の反応や微妙なニュアンスが読み取りづらく、特に参加人数が増えるほどその傾向が強くなった。また、タイムラグがある※2ため、参加人数が増えるほど同時発言が生じがちであり、改善のためにはICT機器及び環境に一定のスペック(回線速度、システム等)も必要である。

※1相手の顔を見ながら話しても、相手からは違う方向を見ているように見える。ディスプレイとカメラの位置が必ずしも同じでないことに起因するもの。

※2タイムラグの感じ方には個人差が大きい。

 資料を使用する場合に、文字が多い資料はディスプレイ画面に投影しても見づらいため、手元のプリントアウトに頼らざるを得ない場面も多く、使用する資料を事前に決めて関係者間であらかじめ共有することが必要になると考えられる。

 この他、名刺交換や、会議終了後の個別の補足的やり取りができないこと、また機密性情報を取り扱う場合には、双方に独立した空間環境を確保することが必要であることなども明らかになった。

 これらを総合的に勘案すると、テレビ会議の活用に当たっては、直接対面での打合せの機会も確保し、テレビ会議と対面の打合せを、案件の内容や状況に応じて使い分けることが必要である。

 すなわち、事務連絡や、あらかじめ論点が整理された内容に係る打合せなどには、テレビ会議の活用も有用である。もっとも、数人以上で議論をまとめる必要がある場合等には、全体の様子が分かるb)のようなシステムを使うことが適切である。

 他方、重要案件において、相手の反応の機微やニュアンスを読み取り、その場で臨機応変に追加資料等で補足しながら、利害調整・合意形成を行う場面(折衝や要求、ブレインストーミング等)の中には、テレビ会議になじまないものも少なくないと考えられる。

(ii)現地の文化行政をめぐる状況の把握[編集]

(現地視察(主に京都市内))

 ①文化財の保存・継承・公開の現場、②伝統文化の紹介・発信や、地域の文化資源の活用を行う拠点、③新たな創造活動や人材育成の現場、④各種文化関係施設について、文化庁職員が足を運び、現状についての理解を深めることができた。

(関西・京都地域の様々な主体との意見交換)

 文化庁長官が、関西地域の大学の大学長やマスコミ(関西プレス)との意見交換を行った。また、文化庁と関西広域連合、関西経済連合会との間で、関西の優れた文化資源を活かして文化行政の裾野を広げ、文化庁の機能を一層強化するために、観光や産業、暮らし・まちづくりと文化をかけあわせた取組に連携して取り組むことについて合意し、共同宣言をとりまとめた。

(2)平成29年度から実施する先行移転等について[編集]

(i)京都移転の全国的メリットを示すことにつながる先行的取組の具体的内容(事業の概要、実施体制)[編集]

 1(2)の姿を目指す上で、直ちに取り組む必要がある課題で、関西・京都の連携協力が得られる内容について、平成29年度から先行的に移転し、全面的な移転に向けて、国全体の文化行政におけるメリットや課題を検証することとする。

 具体的には、国としても必要な予算・機構定員要求を行い、文化庁の一部を移転し、「地域文化創生本部(仮称)」として、京都側*の協力も得て30人程度の体制を構築し、次の①から④について、京都側*との連携協力により実施する。

①食を含む生活文化等の地域の文化芸術資源と伝統産業、先端産業、コンテンツ産業をはじめとするものづくりの分野との連携により地方創生や経済活性化を促進する拠点形成事業等

②文化財を活かした総合的な観光拠点の形成や、伝統文化・生活文化を活かした広域文化観光の実現にかかるモデル事業等

③2017年の東アジア文化都市に指定された京都市の人的交流・文化協力を促進させる事業

④政策調査研究機能の充実等

*文化庁移転協議会の構成員の中では京都府及び京都市をさすが、文化庁、京都府及び京都市は、必要に応じて、関西地域の地方公共団体・京都商工会議所を含む経済界・文化関係団体・大学等との連携を図り、協力を得ることとする。以下同じ。

 なお、体制については、先行的取組の状況を踏まえ、全面的な移転に向けて拡大も含めた見直しを行うものとする。先行移転を行うに当たっては、文化庁内の意思決定を含む業務遂行に支障がないような仕組みを確保することも必要である。

(ii)京都側の連携の具体的内容(事業実施や、それに必要な庁舎・職員居住等にかかる協力・負担)[編集]

 実施するそれぞれの取組について、京都府及び京都市は人的な面をはじめとする協力を行うとともに、文化庁、京都府及び京都市は、必要に応じて、関西地域の地方公共団体・経済界・文化関係団体・大学等の各主体との連携を図り、協力を得ることとする。

 また、事業実施に必要な庁舎及び職員居住等については京都側も協力を行うこととし、具体的な内容について早急に検討の上、文化庁及び京都側において必要となる経費を平成29年度の予算で確保する。

(iii)その他の連携[編集]

 京都府及び京都市においては、平成28年度に補正予算により措置した財源等も活用し、施設に関する調査や文化庁移転にかかる気運醸成等の面での協力も行うこととする。

(3)本格移転について[編集]

 (2)の実施と並行して、引き続き以下の点を総合的に検討する。

(i)本格移転に向けた組織の抜本的改編[編集]

 今般の取組は、幅広い国民の理解を得ながら文化庁の機能の強化を図りつつ、組織の抜本的改編を行うものであり、計画的・段階的に進めることが必要である。

 人口減少社会の到来、地方の過疎化が進む今日、文化芸術を資源ととらえ、文化芸術への投資が新たな創造を生み社会の発展につながるよう、文化行政の転換・発展が求められる。このような考え方のもと、文化芸術を幅広くとらえた総合的な施策の推進や、文化芸術資源の積極的な活用、既存の枠にとらわれない文化振興や戦略的な国内外への発信を進めるためには、文化行政の政策立案機能を移転に向けて高めることが不可欠である。

 こうした文化行政への期待に応える体制のあり方や、全面的な移転という方針を踏まえつつ、「施策・事業の執行業務及びそれと密接不可分な政策の企画・立案業務」と「政策の企画・立案などで東京で行う必要のある業務」の分離などを検討した上で、「新・文化庁」に向けた機能強化及び抜本的な組織改編に係る文部科学省設置法の改正案等を、平成30年1月からの通常国会を目途に提出する。これにより新たな政策ニーズに対応できる文化庁の執行体制を構築するとともに、まず既存の場所で運用することとする。

 京都において実施する文化施策に関しては、移転によってこれまで以上に国民全体へのメリットがあるといえるように実施する必要があることも踏まえ、施策の実施に当たっては京都側の協力を得て行うこととする。

 文化庁職員が、芸術家や文化芸術団体が集う文化活動の現場において、随時幅広い交流を行うことを通じて、京都のまち全体が「新・文化庁」のサテライトとしての機能を発揮し、文化行政の政策立案機能の向上に寄与することを期待する。

(ii)移転場所、移転費用、移転後の経費への対応[編集]

 抜本的な組織改編の検討を行う過程で、以下の事項についても併せて総合的に検討を行い、次の①から③について結論を得ることとする。

①移転場所の決定と、庁舎整備にかかる費用負担

a)検討の視点

 京都における移転先は、1.に示した「新・文化庁」にふさわしいものであることが必要であり、諸外国からの来訪者をはじめ、京都以外の地方公共団体や全国の文化芸術団体等の関係者から見ても共感の得られる場所を選定すべきである。

 また、費用負担については、今回の移転は地元の協力・受入体制が整っていること、地方創生を目的として国が決定したものであるものの地元からも土地の提供や庁舎建設費用について応分の負担の意向が示されたことのほか、移転による過度な費用の増大や組織の肥大化を回避する必要があることなども踏まえ、今後具体的に検討すべきである。

b)移転先に必要な条件

 a)の視点を踏まえれば、文化庁の移転先に必要な条件は以下のとおり考えられる。

  • 我が国の文化行政を担当する政府機関として、文化施設、学術機関、寺社、公園など、文教関係の施設が近隣に集積し、京都、ひいては我が国を代表する文化的な環境の中にあること
  • 東京にある政府機関や全国の関係者との会議や面会が円滑に行えるよう、交通の便が良いこと
  • 我が国の政府機関として適切なオフィスであり、国の庁舎として適正な規模であること
  • 今後の働き方改革にも合致する未来志向のオフィスとして、ICT環境が十分に整備できること
  • 非常災害時にも対応するため、国の機関として必要な耐震性や機能を有していること

c)整備に当たっての検討課題

  • 上記b)の条件を考慮した候補地または候補建物の選考
  • 京都側の費用の負担等に関する法令的な課題や地元産業界からの協力に係るインセンティブのあり方
  • 候補に応じた供用開始までの期間、経費の見積もり・候補に応じた分担関係

d)進め方

 文化庁の機能強化及び抜本的な組織改編について平成30年1月からの通常国会を目途に関連法案を提出することとしているが、早期移転を目指して以下のとおり準備行為を進める。

ア)上記b)の条件を考慮した候補の選考(年内目途)
イ)場合に応じた法令的な課題、必要経費等の検討(年内目途)
ウ)具体的な庁舎の場所、費用負担のあり方等の決定(平成29年8月末目途)

②移転に係るその他の費用等の措置や負担のあり方(職員の住環境整備等も含む)

③経常的経費の措置のあり方

(iii)独立行政法人のあり方[編集]

 抜本的な組織改編の検討と並行して、各独立行政法人の移転に関しても、各法人の業務内容や実態を踏まえた移転のメリットや課題、費用負担の問題等について検討を進めることとする。

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