帖撒羅尼迦後書(明治元訳) 第二章

Wikisource:宗教 > 聖書 > 明治元訳新約聖書 (明治37年) > 帖撒羅尼迦後書(明治元訳)

第二章

1 兄弟（きやうだい）よ我儕（われら）の主（しゆ）イエス・キリストの臨（きた）り給（たま）ふこと及（およ）び我儕（われら）が彼（かれ）の所（もと）に集（あつま）ることに就（つい）ては我儕（われら）願（ねが）ふ
2 爾曹（なんぢら）あるひは靈（れい）により或（あるひ）は言（ことば）に由（より）あるひは我（わ）が贈（おく）れるに似（に）たる書（ふみ）に由（より）て主（しゆ）の日（ひ）いま既（すで）に來（きた）るとて心（こころ）を動（うご）かし且（かつ）擾（さわぐ）こと莫（なか）らんことを
3 誰（たれ）なにの法（はふ）を以（も）てするとも爾曹（なんぢら）欺（あざむ）かるること勿（なか）れ蓋（そは）さきに道（みち）を離（はな）るる事（こと）なく且（かつ）罪（つみ）の人（ひと）即（すなは）ち淪亡（ほろび）の子（こ）現（あらは）るる事（こと）なくば其（その）日（ひ）きたらじ
4 かれ凡（すべ）て神（かみ）と稱（となふ）る者（もの）また人（ひと）の拜（をが）む所（ところ）の者（もの）に敵（てき）し之（これ）より超（すぎ）て己（おのれ）を尊（たふと）くし神（かみ）の殿（みや）に坐（ざ）して自（みづか）ら神（かみ）なりと爲（する）に至（いた）る
5 われ爾曹（なんぢら）の中（うち）に在（あり）しとき此（この）事（こと）を語（かたり）しを爾曹（なんぢら）記憶（きおく）せざる乎（や）
6 彼（かれ）をして其（その）時（とき）に至（いた）りて現（あらは）れしめん爲（ため）に今（いま）かれを抑（おさふ）る者（もの）を爾曹（なんぢら）しる
7 それ不法（ふはふ）の隱（かくれ）たる者（もの）すでに働（はたら）けり今（いま）これを抑（おさふ）るもの除（のぞか）るるまで隱（かくれ）をり
8 其（その）時（とき）に至（いた）りて不法（ふはふ）の者（もの）あらはるべし主（しゆ）イエス其（その）口（くち）の氣（いき）を以（も）て彼（かれ）を滅（ほろぼ）さん其（その）臨（きた）るとき發（あらは）す所（ところ）の榮光（えいくわう）を以（も）て彼（かれ）を廢（はい）せん
9 彼（かれ）サタンの行爲（はたらき）に循（したが）ひて各樣（さまざま）の僞（いつはり）なる能（ちから）と徴（しるし）と奇跡（ふしぎなるわざ）
10 かつ不義（ふぎ）の諸（すべて）の詭譎（まどはし）を以（も）て顯（あらは）れかの淪亡者（ほろぶるもの）の中（なか）に在（ある）なり蓋（そは）かれら眞理（まこと）を愛（あい）するの愛（あい）を受（うけ）ずして救（すくひ）を得（え）ざる者（もの）なれば也（なり）
11 是（この）故（ゆゑ）に神（かみ）かれらが誑（いつはり）を信（しん）ぜん爲（ため）に迷惑（まどひ）をして彼等（かれら）の中（うち）に働（はたら）かしむ
12 これ凡（すべ）て眞理（まこと）を信（しん）ぜず不義（ふぎ）を好（この）む者（もの）の罪（つみ）を定（さだめ）んとて也（なり）

13 主（しゆ）に愛（あい）せらるる兄弟（きやうだい）よ爾曹（なんぢら）の爲（ため）に我儕（われら）常（つね）に神（かみ）に謝（しや）すべき也（なり）そは神（かみ）始（はじめ）より爾曹（なんぢら）を簡（えら）び眞理（まこと）を信（しん）ずることと靈（れい）の聖（きよめ）を蒙（かうむ）ることに因（より）て救（すくひ）を得（え）しめ給（たま）へば也（なり）
14 神（かみ）われらの福音（ふくいん）を以（も）て爾曹（なんぢら）を此（この）福（さいはひ）に召（まね）き給（たま）へり爾曹（なんぢら）をして我儕（われら）の主（しゆ）イエス・キリストの榮光（えいくわう）を得（え）しめん爲（ため）なり
15 是（この）故（ゆゑ）に兄弟（きやうだい）よ爾曹（なんぢら）堅（かた）く立（たち）かつ或（あるひ）は我儕（われら）の言（ことば）あるひは我儕（われら）の書（ふみ）に因（より）て教（をしへ）を受（うけ）たる傳（つたへ）を堅（かた）く守（まも）るべし
16 願（ねがは）くは我儕（われら）の主（しゆ）イエス・キリスト及（およ）び我儕（われら）の父（ちち）の神（かみ）すなはち我儕（われら）を愛（あい）し且（かつ）恩（めぐみ）に因（より）て永遠（かぎりなき）の安慰（なぐさめ）と善望（よきのぞみ）を予（あたふ）る者（もの）
17 爾曹（なんぢら）の心（こころ）を慰（なぐさ）め凡（すべて）の善行（よきわざ）と善言（よきことば）に爾曹（なんぢら）を堅固（かたく）せんことを

※1 明治14(1881)年版では「及（およ）び」→「および」。
※2 明治14(1881)年版では「此（これ）」→「是（これ）」。