尾上の松

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やらやら芽出たや 芽出たやと 唄ひ打ち連れ 尉と姥
その名も今に高砂の 尾上の松も年経りて 老の波も寄り来るや
木の下蔭の 落葉かくなるまで 命ながらへて 猶いつまでか 生きの松
千重に栄えて色深み 箏の音通ふ松の風 大平楽の調べかな
豊かに住める日の本の 恵みは四方に照り渡る 神の教への跡垂れて
盡きじ盡きせぬ君が御代 萬歳祝ふ神神楽かぐら みしみんの前に八乙女の
袖振る鈴や振り鼓 太鼓の音も笛の音も 手拍子揃えていさぎよ
あら面白や面白や とざさぬ御代に相生の 松の緑みどりも春来れば
一入ひとしおに色まさり 深く契りて千歳経る 松の齢を今日よりは
君に曳かれて萬代を 春に栄えん君が代は 萬々歳ばんばんぜいと舞い唄ふ

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。