官報 (1946年11月03日)

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官報 號外 昭和二十一年十一月三日 日曜󠄁日

日本國憲󠄁法


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朕󠄁は、日本國民の總意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、樞密顧問の諮󠄁詢及び帝󠄁國憲󠄁法第七十三條による帝󠄁國議會の議決を經た帝󠄁國憲󠄁法の改正を裁可し、ここにこれを公󠄁布せしめる。

御名御璽

昭和二十一年十一月三日

內閣總理大臣兼󠄁
外務大臣
𠮷田  茂
國務大臣 男爵 幣󠄁原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村 淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田 博雄
國務大臣 齋藤 隆夫
遞信大臣 一松 定吉
商工大臣 星島 二郞
厚生大臣 河合 良成
國務大臣 植原悅次󠄁郞
運󠄁輸大臣 平󠄁塚常次󠄁郞
大藏大臣 石橋 湛山
國務大臣 金森德次󠄁郞
國務大臣 膳 桂之助


日本國憲󠄁法

日本國民は、正當に選󠄁擧された國會における代表者を通󠄁じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸國民との協和による成󠄁果と、わが國全󠄁土にわたつて自由のもたらす惠澤を確保し、政府の行爲によつて再び戰爭の慘禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主權が國民に存することを宣言し、この憲󠄁法を確定する。そもそも國政は、國民の嚴肅な信託によるものであつて、その權威は國民に由來し、その權力は國民の代表者がこれを行使󠄁し、その福利は國民がこれを享受する。これは人類普遍󠄁の原理であり、この憲󠄁法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲󠄁法、法令及び詔勅を排除する。

日本國民は、恒久の平󠄁和を念願し、人間相互の關係を支配する崇高な理想を深く自覺するのであつて、平󠄁和を愛する諸國民の公󠄁正と信義に信賴して、われらの安全󠄁と生存を保持しようと決意した。われらは、平󠄁和を維持し、專制と隷從、壓迫󠄁と偏狹を地上から永遠󠄁に除去しようと努めてゐる國際社會において、名譽ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全󠄁世界の國民が、ひとしく恐󠄁怖と缺乏から免かれ、平󠄁和のうちに生存する權利を有することを確認󠄁する。

われらは、いづれの國家も、自國のことのみに專念して他國を無視してはならないのであつて、政治道󠄁德の法則は、普遍󠄁的なものであり、この法則に從ふことは、自國の主權を維持し、他國と對等關係に立たうとする各國の責務であると信ずる。

日本國民は、國家の名譽にかけ、全󠄁力をあげてこの崇高な理想と目的を達󠄁成󠄁することを誓ふ。

第一章 天皇
第一條
天皇は、日本國の象徵であり日本國民統合の象徵であつて、この地位は、主權の存する日本國民の總意に基く。
第二條
皇位は、世襲のものであつて、國會の議決した皇室典範の定めるところにより、これを繼承する。
第三條
天皇の國事に關するすべての行爲には、內閣の助言と承認󠄁を必要󠄁とし、內閣が、その責任を負ふ。
第四條
天皇は、この憲󠄁法の定める國事に關する行爲のみを行ひ、國政に關する權能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その國事に關する行爲を委任することができる。
第五條
皇室典範の定めるところにより攝政を置くときは、攝政は、天皇の名でその國事に關する行爲を行ふ。この場合には、前󠄁條第一項の規定を準用する。
第六條
天皇は、國會の指名に基いて、內閣總理大臣を任命する。
天皇は、內閣の指名に基いて、最高裁判󠄁所󠄁の長たる裁判󠄁官を任命する。
第七條
天皇は、內閣の助言と承認󠄁により、國民のために、左の國事に關する行爲を行ふ。
一 憲󠄁法改正、法律、政令及び條約を公󠄁布すること。
二 國會を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 國會議員の總選󠄁擧の施行を公󠄁示すること。
五 國務大臣及び法律の定めるその他の官吏󠄁の任免竝びに全󠄁權委任狀及び大使󠄁及び公󠄁使󠄁の信任狀を認󠄁證すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復權を認󠄁證すること。
七 榮典を授與すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交󠄁文󠄁書を認󠄁證すること。
九 外國の大使󠄁及び公󠄁使󠄁を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
第八條
皇室に財產を讓り渡し、又は皇室が、財產を讓り受け、若しくは賜與することは、國會の議決に基かなければならない。
第二章 戰爭の放棄
第九條
日本國民は、正義と秩序を基調とする國際平󠄁和を誠實に希求し、國權の發動たる戰爭と、武力による威嚇又は武力の行使は、國際紛爭を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前󠄁項の目的を達󠄁するため、陸海空軍その他の戰力は、これを保持しない。國の交戰權は、これを認めない。

第三章 國民の權利及び義務
第十條
日本國民たる要󠄁件は、法律でこれを定める。
第十一條
國民は、すべての基本的人權の享有を妨げられない。この憲󠄁法が國民に保障する基本的人權は、侵すことのできない永久の權利として、現在及び將來の國民に與へられる。
第十二條
この憲󠄁法が國民に保障する自由及び權利は、國民の不斷の努力によつて、これを保持しなければならない。又、國民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公󠄁共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十三條
すべて國民は、個人として尊󠄁重される。生命、自由及び幸福追求に對する國民の權利については、公󠄁共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊󠄁重を必要󠄁とする。
第十四條
すべて國民は、法の下に平󠄁等であつて、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、經濟的又は社會的關係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認󠄁めない。
榮譽、勳章その他の榮典の授與は、いかなる特權も伴󠄁はない。榮典の授與は、現にこれを有し、又は將來これを受ける者の一代に限り、その效力を有する。
第十五條
公󠄁務員を選󠄁定し、及びこれを罷免することは、國民固有の權利である。
すべて公󠄁務員は、全󠄁體の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公󠄁務員の選擧については、成󠄁年者による普通󠄁選󠄁擧を保障する。
すべて選󠄁擧における投票の祕密は、これを侵󠄁してはならない。選󠄁擧人は、その選󠄁擇に關し公󠄁的にも私的にも責任を問はれない。
第十六條
何人も、損害󠄂の救濟、公󠄁務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廢止又は改正その他の事項に關し、平󠄁穩に請󠄁願する權利を有し、何人も、かかる請󠄁願をしたためにいかなる差別待遇󠄁も受けない。
第十七條
何人も、公󠄁務員の不法行爲により、損害󠄂を受けたときは、法律の定めるところにより、國又は公󠄁共團體に、その賠償を求めることができる。
第十八條
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る處罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十九條
思想及び良心の自由は、これを侵󠄁してはならない。
第二十條
信敎の自由は、何人に對してもこれを保障する。いかなる宗敎團體も、國から特權を受け、又は政治上の權力を行使してはならない。
何人も、宗敎上の行爲、祝典、儀式又は行事に參加することを强制されない。
國及びその機關は、宗敎敎育その他いかなる宗敎的活動もしてはならない。
第二十一條
集會、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
檢閱は、これをしてはならない。通󠄁信の祕密は、これを侵󠄁してはならない。
第二十二條
何人も、公󠄁共の福祉に反しない限り、居住󠄁、移轉及び職業選󠄁擇の自由を有する。
何人も、外國に移住󠄁し、又は國籍を離脫する自由を侵󠄁されない。

第二十三條
學問の自由は、これを保障する。
第二十四條
婚姻は、兩性の合意のみに基いて成󠄁立し、夫婦󠄁が同等の權利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選󠄁擇、財產權、相續、住󠄁居の選󠄁定、離婚竝びに婚姻及び家族に關するその他の事項に關しては、法律は、個人の尊󠄁嚴と兩性の本質的平󠄁等に立脚して、制定されなければならない。
第二十五條
すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む權利を有する。
國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衞生の向上及び增進󠄁に努めなければならない。
第二十六條
すべて國民は、法律の定めるところにより、その能力に應じて、ひとしく敎育を受ける權利を有する。
すべて國民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通󠄁敎育を受けさせる義務を負ふ。義務敎育は、これを無償とする。
第二十七條
すべて國民は、勤勞の權利を有し、義務を負ふ。
賃金、就業時間、休息その他の勤勞條件に關する基準は、法律でこれを定める。
兒童は、これを酷使してはならない。
第二十八條
勤勞者の團結する權利及び團體交涉その他の團體行動をする權利は、これを保障する。
第二十九條
財產權は、これを侵󠄁してはならない。
財產權の內容は、公共の福祉に適󠄁合するやうに、法律でこれを定める。
私有財產は、正當な補償の下に、これを公󠄁共のために用ひることができる。
第三十條
國民は、法律の定めるところにより、納󠄁稅の義務を負ふ。
第三十一條
何人も、法律の定める手續によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
第三十二條
何人も、裁判󠄁所󠄁において裁判󠄁を受ける權利を奪はれない。
第三十三條
何人も、現行犯として逮󠄁捕される場合を除いては、權限を有する司法官憲󠄁が發し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令狀によらなければ、逮󠄁捕されない。
第三十四條
何人も、理由を直ちに吿げられ、且つ、直ちに辯護人に依賴する權利を與へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正當な理由がなければ、拘禁されず、要󠄁求があれば、その理由は、直ちに本人及びその辯護人の出席する公󠄁開の法廷で示されなければならない。
第三十五條
何人も、その住󠄁居、書類及び所󠄁持品について、侵󠄁入、搜索及び押收を受けることのない權利は、第三十三條の場合を除いては、正當な理由に基いて發せられ、且つ搜索する場所󠄁及び押收する物を明示する令狀がなければ、侵󠄁されない。
搜索又は押收は、權限を有する司法官憲󠄁が發する各別の令狀により、これを行ふ。
第三十六條
公󠄁務員による拷問及び殘虐な刑罰は、絕對にこれを禁ずる。
第三十七條
すべて刑事事件においては、被吿人は、公󠄁平󠄁な裁判󠄁所󠄁の迅󠄁速󠄁な公󠄁開裁判󠄁を受ける權利を有する。
刑事被吿人は、すべての證人に對して審問する機會を充分󠄁に與へられ、又、公費で自己のために强制的手續により證人を求める權利を有する。
刑事被吿人は、いかなる場合にも、資󠄁格を有する辯護人を依賴することができる。被吿人が自らこれを依賴することができないときは、國でこれを附する。
第三十八條
何人も、自己に不利益な供述󠄁を强要󠄁されない。
强制、拷問若しくは脅迫󠄁による自白又は不當に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを證據とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の證據が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第三十九條
何人も、實行の時に適󠄁法であつた行爲又は旣に無罪とされた行爲については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第四十條
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判󠄁を受けたときは、法律の定めるところにより、國にその補償を求めることができる。
第四章 國會
第四十一條
國會は、國權の最高機關であつて、國の唯一の立法機關である。
第四十二條
國會は、衆議院及び參議院の兩議院でこれを構成󠄁する。
第四十三條
兩議院は、全󠄁國民を代表する選󠄁擧された議員でこれを組織する。
兩議院の議員の定數は、法律でこれを定める。

第四十四條
兩議院の議員及びその選󠄁擧人の資󠄁格は、法律でこれを定める。但し、人種、信條、性別、社會的身分、門地、敎育、財產又は收入によつて差別してはならない。
第四十五條
衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間滿了前󠄁に終󠄁了する。
第四十六條
參議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半󠄁數を改選󠄁する。
第四十七條
選󠄁擧區、投票の方法その他兩議院の議員の選󠄁擧に關する事項は、法律でこれを定める。
第四十八條
何人も、同時に兩議院の議員たることはできない。
第四十九條
兩議院の議員は、法律の定めるところにより、國庫から相當額の歲費を受ける。
第五十條
兩議院の議員は、法律の定める場合を除いては、國會の會期中逮󠄁捕されず、會期前󠄁に逮󠄁捕された議員は、その議院の要󠄁求があれば、會期中これを釋放しなければならない。
第五十一條
兩議院の議員は、議院で行つた演說、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第五十二條
國會の常會は、每年一囘これを召集する。
第五十三條
內閣は、國會の臨時會の召集を決定することができる。いづれかの議院の總議員の四分の一以上の要󠄁求があれば、內閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十四條
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以內に、衆議院議員の總選󠄁擧を行ひ、その選󠄁擧の日から三十日以內に、國會を召集しなければならない。
衆議院が解散されたときは、參議院は、同時に閉會となる。但し、內閣は、國に緊急の必要󠄁があるときは、參議院の緊急󠄁集會を求めることができる。
前󠄁項但書の緊急󠄁集會において採󠄁られた措置は、臨時のものであつて、次の國會開會の後十日以內に、衆議院の同意がない場合には、その效力を失ふ。
第五十五條
兩議院は、各〃その議員の資󠄁格に關する爭訟を裁判󠄁する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多數による議決を必要󠄁とする。
第五十六條
兩議院は、各〃その總議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
兩議院の議事は、この憲󠄁法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過󠄁半󠄁數でこれを決し、可否同數のときは、議長の決するところによる。
第五十七條
兩議院の會議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多數で議決したときは、祕密會を開くことができる。
兩議院は、各〃その會議の記錄を保存し、祕密會の記錄の中で特に祕密を要󠄁すると認󠄁められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒󠄁布しなければならない。
出席議員の五分の一以上の要󠄁求があれば、各議員の表決は、これを會議錄に記載しなければならない。
第五十八條
兩議院は、各〃その議長その他の役員を選󠄁任する。
兩議院は、各〃その會議その他の手續及び內部の規律に關する規則を定め、又、院內の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多數による議決を必要󠄁とする。
第五十九條
法律案は、この憲󠄁法に特別の定のある場合を除いては、兩議院で可決したとき法律となる。
衆議院で可決し、參議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多數で再び可決したときは、法律となる。
前󠄁項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、兩議院の協議會を開くことを求めることを妨げない。
參議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、國會休會中の期間を除いて六十日以內に、議決しないときは、衆議院は、參議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第六十條
豫算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
豫算について、參議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、兩議院の協議會を開いても意見が一致しないとき、又は參議院が、衆議院の可決した豫算を受け取つた後、國會休會中の期間を除いて三十日以內に、議決しないときは、衆議院の議決を國會の議決とする。
第六十一條
條約の締結に必要󠄁な國會の承認󠄁については、前󠄁條第二項の規定を準用する。
第六十二條
兩議院は、各〃國政に關する調査を行ひ、これに關して、證人の出頭及び證言竝びに記錄の提出を要󠄁求することができる。
第六十三條
內閣總理大臣その他の國務大臣は、兩議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について發言するため議院に出席することができる。又、答辯又は說明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十四條
國會は、罷免の訴追󠄁を受けた裁判󠄁官を裁判󠄁するため、兩議院の議員で組織する彈劾裁判󠄁所󠄁を設ける。
彈劾に關する事項は、法律でこれを定める。

第五章 內閣
第六十五條
行政權は、內閣に屬する。
第六十六條
內閣は、法律の定めるところにより、その首長たる內閣總理大臣及びその他の國務大臣でこれを組織する。
內閣總理大臣その他の國務大臣は、文民でなければならない。
內閣は、行政權の行使について、國會に對し連帶して責任を負ふ。
第六十七條
內閣總理大臣は、國會議員の中から國會の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
衆議院と參議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、兩議院の協議會を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、國會休會中の期間を除いて十日以內に、參議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を國會の議決とする。
第六十八條
內閣總理大臣は、國務大臣を任命する。但し、その過󠄁半󠄁數は、國會議員の中から選󠄁ばれなければならない。
內閣總理大臣は、任意に國務大臣を罷免することができる。
第六十九條
內閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以內に衆議院が解散されない限り、總辭職をしなければならない。
第七十條
內閣總理大臣が缺けたとき、又は衆議院議員總選󠄁擧の後に初めて國會の召集があつたときは、內閣は、總辭職をしなければならない。
第七十一條
前󠄁二條の場合には、內閣は、あらたに內閣總理大臣が任命されるまで引き續きその職務を行ふ。
第七十二條
內閣總理大臣は、內閣を代表して議案を國會に提出し、一般國務及び外交關係について國會に報吿し、竝びに行政各部を指揮監督する。
第七十三條
內閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠實に執行し、國務を總理すること。
二 外交關係を處理すること。
三 條約を締結すること。但し、事前󠄁に、時宜によつては事後に、國會の承認󠄁を經ることを必要󠄁とする。
四 法律の定める基準に從ひ、官吏に關する事務を掌理すること。
五 豫算を作成して國會に提出すること。
六 この憲󠄁法及び法律の規定を實施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復權を決定すること。
第七十四條
法律及び政令には、すべて主任の國務大臣が署名し、內閣總理大臣が連署することを必要󠄁とする。
第七十五條
國務大臣は、その在任中、內閣總理大臣の同意がなければ、訴追󠄁されない。但し、これがため、訴追󠄁の權利は、害󠄂されない。
第六章 司法
第七十六條
すべて司法權は、最高裁判󠄁所󠄁及び法律の定めるところにより設置する下級裁判󠄁所󠄁に屬する。
特別裁判󠄁所󠄁は、これを設置することができない。行政機關は、終󠄁審として裁判󠄁を行ふことができない。
すべて裁判󠄁官は、その良心に從ひ獨立してその職權を行ひ、この憲󠄁法及び法律にのみ拘束される。
第七十七條
最高裁判󠄁所󠄁は、訴訟に關する手續、辯護士、裁判󠄁所󠄁の內部規律及び司法事務處理に關する事項について、規則を定める權限を有する。
檢察官は、最高裁判󠄁所󠄁の定める規則に從はなければならない。
最高裁判󠄁所󠄁は、下級裁判󠄁所󠄁に關する規則を定める權限を、下級裁判󠄁所󠄁に委任することができる。
第七十八條
裁判󠄁官は、裁判󠄁により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公󠄁の彈劾によらなければ罷免されない。裁判󠄁官の懲戒處分は、行政機關がこれを行ふことはできない。
第七十九條
最高裁判󠄁所󠄁は、その長たる裁判󠄁官及び法律の定める員數その他の裁判󠄁官でこれを構成󠄁し、その長たる裁判󠄁官以外の裁判󠄁官は、內閣でこれを任命する。
最高裁判󠄁所󠄁の裁判󠄁官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員總選󠄁擧の際國民の審査に付し、その後十年を經過󠄁した後初めて行はれる衆議院議員總選󠄁擧の際更に審査に付し、その後も同樣とする。
前󠄁項の場合において、投票者の多數が裁判󠄁官の罷免を可とするときは、その裁判󠄁官は、罷免される。
審査に關する事項は、法律でこれを定める。
最高裁判󠄁所󠄁の裁判󠄁官は、法律の定める年齡に達󠄁した時に退󠄁官する。
最高裁判󠄁所󠄁の裁判󠄁官は、すべて定期に相當額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第八十條
下級裁判󠄁所󠄁の裁判󠄁官は、最高裁判󠄁所󠄁の指名した者の名簿によつて、內閣でこれを任命する。その裁判󠄁官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齡に達󠄁した時には退󠄁官する。
下級裁判󠄁所󠄁の裁判󠄁官は、すべて定期に相當額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第八十一條
最高裁判󠄁所󠄁は、一切の法律、命令、規則又は處分が憲󠄁法に適󠄁合するかしないかを決定する權限を有する終󠄁審裁判󠄁所󠄁である。
第八十二條
裁判󠄁の對審及び判󠄁決は、公󠄁開法廷でこれを行ふ。
裁判󠄁所󠄁が、裁判󠄁官の全󠄁員一致で、公󠄁の秩序又は善良の風俗を害󠄂する虞󠄁があると決した場合には、對審は、公󠄁開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に關する犯罪又はこの憲󠄁法第三章で保障する國民の權利が問題となつてゐる事件の對審は、常にこれを公󠄁開しなければならない。
第七章 財政
第八十三條
國の財政を處理する權限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第八十四條
あらたに租稅を課し、又は現行の租稅を變更するには、法律又は法律の定める條件によることを必要󠄁とする。
第八十五條
國費を支出し、又は國が債務を負擔するには、國會の議決に基くことを必要󠄁とする。
第八十六條
內閣は、每會計年度の豫算を作成し、國會に提出して、その審議を受け議決を經なければならない。
第八十七條
豫見し難い豫算の不足に充てるため、國會の議決に基いて豫備費を設け、內閣の責任でこれを支出することができる。
すべて豫備費の支出については、內閣は、事後に國會の承諾を得なければならない。
第八十八條
すべて皇室財產は、國に屬する。すべて皇室の費用は、豫算に計上して國會の議決を經なければならない。
第八十九條
公󠄁金その他の公󠄁の財產は、宗敎上の組織若しくは團體の使用、便益若しくは維持のため、又は公󠄁の支配に屬しない慈善、敎育若しくは博愛の事業に對し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第九十條
國の收入支出の決算は、すべて每年會計檢査院がこれを檢査し、內閣は、次󠄁の年度に、その檢査報吿とともに、これを國會に提出しなければならない。
會計檢査院の組織及び權限は、法律でこれを定める。
第九十一條
內閣は、國會及び國民に對し、定期に、少くとも每年一囘、國の財政狀況について報吿しなければならない。
第八章 地方自治
第九十二條
地方公󠄁共團體の組織及び運󠄁營に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第九十三條
地方公󠄁共團體には、法律の定めるところにより、その議事機關として議會を設置する。
地方公󠄁共團體の長、その議會の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公󠄁共團體の住󠄁民が、直接これを選󠄁擧する。
第九十四條
地方公󠄁共團體は、その財產を管理し、事務を處理し、及び行政を執行する權能を有し、法律の範圍內で條例を制定することができる。
第九十五條
一の地方公󠄁共團體のみに適󠄁用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公󠄁共團體の住󠄁民の投票においてその過󠄁半󠄁數の同意を得なければ、國會は、これを制定することができない。
第九章 改正
第九十六條
この憲󠄁法の改正は、各議院の總議員の三分の二以上の贊成󠄁で、國會が、これを發議し、國民に提案してその承認󠄁を經なければならない。この承認󠄁には、特別の國民投票又は國會の定める選󠄁擧の際行はれる投票において、その過󠄁半󠄁數の贊成󠄁を必要󠄁とする。
憲󠄁法改正について前󠄁項の承認󠄁を經たときは、天皇は、國民の名で、この憲󠄁法と一體を成󠄁すものとして、直ちにこれを公󠄁布する。
第十章 最高法規
第九十七條
この憲󠄁法が日本國民に保障する基本的人權は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成󠄁果であつて、これらの權利は、過󠄁去幾多の試鍊に堪へ、現在及び將來の國民に對し、侵󠄁すことのできない永久の權利として信託されたものである。
第九十八條
この憲󠄁法は、國の最高法規であつて、その條規に反する法律、命令、詔勅及び國務に關するその他の行爲の全󠄁部又は一部は、その效力を有しない。
日本國が締結した條約及び確立された國際法規は、これを誠實に遵󠄁守することを必要󠄁とする。
第九十九條
天皇又は攝政及び國務大臣、國會議員、裁判󠄁官その他の公󠄁務員は、この憲󠄁法を尊󠄁重し擁護する義務を負ふ。
第十一章 補則
第百條
この憲󠄁法は、公󠄁布の日から起算して六箇月を經過󠄁した日から、これを施行する。
この憲󠄁法を施行するために必要󠄁な法律の制定、參議院議員の選󠄁擧及び國會召集の手續竝びにこの憲󠄁法を施行するために必要󠄁な準備手續は、前󠄁項の期日よりも前󠄁に、これを行ふことができる。
第百一條
この憲󠄁法施行の際、參議院がまだ成立してゐないときは、その成󠄁立するまでの間、衆議院は、國會としての權限を行ふ。
第百二條
この憲󠄁法による第一期の參議院議員のうち、その半󠄁數の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第百三條
この憲󠄁法施行の際現に在職する國務大臣、衆議院議員及び裁判󠄁官竝びにその他の公󠄁務員で、その地位に相應する地位がこの憲󠄁法で認󠄁められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲󠄁法施行のため、當然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲󠄁法によつて、後任者が選󠄁擧又は任命されたときは、當然その地位を失ふ。

官報 號外 昭和二十一年十一月三日

◎今三日日本國憲󠄁法公󠄁布記念式典において賜はつた勅語は次󠄁のやうであつた。

本日、日本國憲󠄁法を公󠄁布せしめた。

この憲󠄁法は、帝󠄁國憲󠄁法を全󠄁面的に改正したものであつて、國家再建の基礎を人類普遍󠄁の原理に求め、自由に表明された國民の總意によつて確定されたのである。卽ち、日本國民は、みづから進󠄁んで戰爭を放棄し、全󠄁世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平󠄁和が實現することを念願し、常に基本的人權を尊󠄁重し、民主主義に基いて國政を運󠄁營することを、ここに、明らかに定めたのである。

朕󠄁は、國民と共に、全󠄁力をあげ、相携へて、この憲󠄁法を正しく運󠄁用し、度と責任とを重んじ、自由と平󠄁和とを愛する文化國家を建設するやうに努めたいと思ふ。

官報 號外 昭和二十一年十一月三日

詔書

本日、帝國憲法を全面的に改正し、人類普遍の原理に基く日本國憲法を公布せしめた。朕は、この憲法によつて、民主主義に徹した平和國家を建設する基礎が定まるに至つたことを深くよろこぶ。

ここに、朕は、政府に命じて、恩赦を行はしめることとした。全國民は、みな、その趣意を理解して、事に當ることを望む。

御名御璽

昭和二十一年十一月三日

内閣總理大臣兼
外務大臣
吉田  茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村 淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田 博雄
國務大臣 齋藤 隆夫
遞信大臣 一松 定吉
商工大臣 星島 二郞
厚生大臣 河合 良成
國務大臣 植原悅次郞
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋 湛山
國務大臣 金森德次郞
國務大臣 膳 桂之助


勅令

朕は、大赦令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

御名御璽

昭和二十一年十一月三日

内閣總理大臣兼
外務大臣
吉田  茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村 淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田 博雄
國務大臣 齋藤 隆夫
遞信大臣 一松 定吉
商工大臣 星島 二郞
厚生大臣 河合 良成
國務大臣 植原悅次郞
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋 湛山
國務大臣 金森德次郞
國務大臣 膳 桂之助


勅令第五百十一號

大赦令
第一條
昭和二十一年十一月三日前に左に揭げる罪を犯したは、これを赦する。但し、その罪に該る行爲が聯合國占領軍の占領目的に反する行爲(昭和二十一年勅令第三百十一號第一條第二號乃至第八號又は第二條第三項に揭げる行爲)であるときは、この限りでない。
一  刑法第七十四條及び第七十六條の罪
二  刑法第七十七條乃至第七十九條の罪
三  刑法第八十一條乃至第八十九條の罪
四  刑法第百五條ノ二及び第百五條ノ三の罪
五  戰時刑事特別法第七條ノ四の罪
六  陸軍刑法第二十五條乃至第三十二條の罪及び第三十四條の罪
七  陸軍刑法第四十條乃至第五十三條の罪竝びに同法第四十條、第四十二條、第四十三條、第四十五條、第四十七條、第四十九條、第五十一條、第五十三條及び第五十五條の未遂罪
八  陸軍刑法第五十七條及び第五十九條の罪
九  陸軍刑法第七十三條及び第七十四條の罪
十  陸軍刑法第七十五條乃至第七十八條の罪
十一  陸軍刑法第九十條乃至第九十四條の罪
十二  陸軍刑法第九十五條乃至第百四條の罪
十三  軍刑法第二十條乃至第二十七條及び第二十九條の罪
十四  軍刑法第三十五條乃至第五十一條及び第五十三條の罪竝びに同法第三十五條乃至第三十七條、第四十條乃至第四十二條、第四十六條、第四十九條、第五十一條及び第五十三條の未遂罪
十五  軍刑法第五十五條及び第五十七條の罪
十六  軍刑法第七十一條及び第七十二條の罪
十七  軍刑法第七十三條乃至第七十七條の罪
十八  軍刑法第九十條乃至第九十四條の罪
十九  軍刑法第九十五條乃至第百五條の罪
二十  治安維持法違反の罪
二十一  國防保安法違反の罪
二十二  軍機保護法違反の罪
二十三  昭和十二年陸軍省令第四十三號軍機保護法施行規則違反の罪
二十四  昭和十二年軍省令第二十八號軍機保護法施行規則違反の罪
二十五  軍用資源祕密保護法違反の罪
二十六  昭和十四年陸軍、軍省令第三號軍用資源祕密保護法施行規則違反の罪
二十七  昭和十九年運輸通信省令第八十一號軍用資源祕密保護規則違反の罪
二十八  昭和二十年閣令第十三號內閣總理大臣の指定に係る軍用資源祕密の保護に關する件違反の罪
二十九  要塞地帶法違反の罪
三十  明治二十三年法律第八十三號違反の罪
三十一  防禦面令違反の罪
三十二  國境取締法違反の罪
三十三  昭和十四年樺太廳令第八十二號國境取締法施行規則違反の罪
三十四  陸軍輸送港域軍事取締法違反の罪
三十五  關東州防禦營造物地帶令違反の罪
三十六  明治三十九年勅令第二百六十三號違反の罪
三十七  治安警察法違反の罪
三十八  新聞紙法違反の罪
三十九  出版法違反の罪
四十  言論、出版、集會、結等臨時取締法違反の罪
四十一  不穩文書臨時取締法違反の罪
四十二  取引所法第三十二條ノ四の罪
四十三  軍用電氣通信法違反の罪
四十四  防空法違反の罪
四十五  宗敎團體法違反の罪
四十六  衆議院議員選擧法違反の罪及び法令を以て組織した議會の議員の選擧に關し同法の罰則を準用する法令違反の罪
四十七  明治十三年第三十六號布吿刑法第二百三十三條乃至第二百三十六條の罪
四十八  國家總動員法第三十一條ノ二、第三十三條、第三十四條、第三十六條乃至第四十條、第四十二條及び第四十三條の罪竝びにこれらに關する同法第四十八條の罪
四十九  昭和十二年法律第九十二號第五條及び第六條の罪竝びにこれらに關する同法第七條の罪
五十  臨時資金調整法第十七條乃至第十九條の罪
五十一  酪農業調整法違反の罪
五十二  產金法違反の罪
五十三  石炭及コークス配給統制法違反の罪
五十四  木材統制法違反の罪
五十五  國民勞務手帳法違反の罪
五十六  戰時緊急措置法違反の罪
五十七  軍需會法違反の罪
五十八  兵役法違反の罪
五十九  昭和二年陸軍省令第二十四號兵役法施行規則違反の罪
六十  昭和二年陸軍省令第二十五號陸軍召集規則違反の罪
六十一  昭和十七年陸軍省令第五十三號陸軍防衞召集規則違反の罪
六十二  昭和十五年陸軍省令第十六號陸軍志願兵令施行規則違反の罪
六十三  昭和二年陸軍省令第二十八號陸軍武官服役令施行規則違反の罪
六十四  昭和二年軍省令第二十三號軍召集規則違反の罪
六十五  昭和十九年軍省令第二十號軍防衞召集規則違反の罪
六十六  昭和二年軍省令第二十一號軍志願兵令施行規則違反の罪
六十七  昭和二年軍省令第二十號軍武官服役令施行規則違反の罪
六十八  前各項に揭げる罪と性質を同じくする舊法又は舊令の罪
六十九  朝鮮若しくは臺灣又は關東州、南洋群島その他日本國外の地域に行はれた法令の罪で前各號に揭げる罪と性質を同じくするもの
第二條 
前條に揭げる罪に該る行爲が、同時に他の罪名に觸れるとき、又は他の罪名に觸れる行爲の手段若しくは結果であるときは、赦をしない。

この勅令は、公布の日から、これを施行する。


朕は、減刑令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

御名御璽

昭和二十一年十一月三日

内閣總理大臣兼
外務大臣
吉田  茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村 淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田 博雄
國務大臣 齋藤 隆夫
遞信大臣 一松 定吉
商工大臣 星島 二郞
厚生大臣 河合 良成
國務大臣 植原悅次郞
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋 湛山
國務大臣 金森德次郞
國務大臣 膳 桂之助


勅令第五百十二號

減刑令
第一條
昭和二十一年十一月三日前に禁錮以上の刑に處せられた者でその刑の執行前、執行猶豫中、執行中、執行停止中又は假出獄中のものは、この勅令によりその刑を減輕する。但し、その執行を遁れる者は、この限りでない。
第二條
死刑は、これを無期懲役とする。
第三條
無期懲役は、これを二十年の有期懲役とし、無期禁錮は、これを二十年の有期禁錮とする。但し、昭和二十一年十一月三日において七十歲以上の者及び犯時十六歲未滿の者については、これを十五年の懲役又は禁錮とする。
第四條
有期の懲役又は禁錮については、左の例により刑期を變更する。
一  刑の執行を始めない者については、刑期の四分の一を減ずる。
二  刑の執行を始めた者については、殘刑期の二分の一を減ずる。但し、刑の執行が刑期の二分の一に至らない者については、前號の例による。
三  昭和二十一年十一月三日において七十歲以上の者及び犯時十六歲未滿の者については、前二號の例によらないで刑期の三分の一を減ずる。
短期と長期を定めて言渡した刑については、短期及び長期について前項の例による。但し、犯時十六歲以上の者で短期を經過したものについては、長期について同項第二號の例による。
前二項の計算をするに當り、年、月又は日の端數を生ずるときは、一年はこれを十二月、一月はこれを三十日とし、日の端數はこれを切り捨てる。
第五條
左に揭げる罪については、その刑を減輕しない。
一  刑法第七十三條及び第七十五條の罪
二  刑法第百八條の罪及びその未遂罪
三  刑法第百四十八條の罪及びその未遂罪
四  刑法第百八十一條の罪
五  刑法第二百條の罪及びその未遂罪
六  自己又は配偶者の直系尊屬に對して犯した刑法第二百四條の罪
七  刑法第二百五條第二項の罪
八  刑法第二百十八條第二項の罪及びその罪を犯し因つて人を死傷に致した罪
九  刑法第二百二十條第二項の罪及びその罪を犯し因つて人を死傷に致した罪
十  刑法第二百三十六條及び第二百三十八條乃至第二百四十一條の罪竝びにその未遂罪
十一  前各號に揭げる罪と性質を同じくする職時刑法特別法の罪
十二  陸軍刑法第八十六條第二項、第八十八條及び第八十八條ノ二第二項の罪竝びにその未遂罪
十三  海軍刑法第八十六條第二項、第八十八條及び第八十八條ノ二第二項の罪竝びにその未遂罪
十四  前各號に揭げる罪と性質を同じくする舊法の罪
十五  昭和二十一年勅令第九十號第二條第一項及び第二項の罪竝びにその未遂罪
十六  連合國占領軍の占領目的に反する行爲(昭和二十一年勅令第三百十一號第一條第二號乃至第八號又は第二條第三項に揭げる行爲)から成る罪
十七  朝鮮、臺灣、關東州又は南洋群島に行はれた法令の罪で前各號に揭げる罪と性質を同じくするもの
第六條
倂合罪につき倂合して一個の刑の言渡があつた場合において、その倂合罪の中に前條に揭げる罪があるときは、減刑をしない。
前條に揭げない罪名に觸れる行爲が、同時に同條に揭げる罪名に觸れるとき、又は同條に揭げる罪の手段若しくは結果であるとするときも前項と同樣である。
第七條
前に禁錮以上の刑に處せられた者で、昭和二十一年十一月三日前十五年以內に特赦、減刑又は勅令によらない複數の恩赦を得、その後七年以內に禁錮以上の刑に處せられたものについては、その刑を減輕しない。

この勅令は、公布の日から、これを施行する。


朕は、復權令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

御名御璽

昭和二十一年十一月三日

内閣總理大臣兼
外務大臣
吉田  茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郞
司法大臣 木村篤太郞
內務大臣 大村 淸一
文部大臣 田中耕太郞
農林大臣 和田 博雄
國務大臣 齋藤 隆夫
遞信大臣 一松 定吉
商工大臣 星島 二郞
厚生大臣 河合 良成
國務大臣 植原悅次郞
運輸大臣 平塚常次郞
大藏大臣 石橋 湛山
國務大臣 金森德次郞
國務大臣 膳 桂之助


勅令第五百十三號

復權令

罰金以上に處せられたために、資格を喪失し、又は停止されたで、その刑の執行を終り、又は執行の除を得た日から昭和二十一年十一月三日の前日までに五年以上を經過したものは、復權する。但し、昭和十六年十一月三日以後に再び罰金以上の刑に處せられたは、この限りでない。

この勅令は、公布の日から、これを施行する。

訓令

⦿司法省訓令第三號

裁 判 所  檢 事 局

少年審判所  矯 正 院

拘 置 所  刑 務 所

少年刑務所

改正憲法の公布のときにあたり、恩赦の大詔が渙發せられた。篤太郞奉行の任にあたるの光榮を擔ひ、感謝感激に耐へない。全力を注ぎ、その誠を竭して、この重大な使命を完遂致したいと思ふ。職を司直に奉ずるは克くこの意を體し、大赦令、減刑令、復權令に該當するについてはいづれもその示すところに從つて普く惠澤に浴せしめ、一人といへども遺漏あらしめてはならない。また、特赦、特別の減刑及び復權の恩典にあづからしめるべきと否とは別に定める基準に則り愼重にこれを擇り別け、その情のあるについては速かにこれを申立てて裁を請ふべきである。又赦宥の恩典を蒙つたに對しては愼重且つ丁寧に大詔の意味を傳へて懇篤な訓誨を加へ、適切な保護の措置を講じて、以つてそのをして心から過ちを改め自力で更正するの途を拓かしめるやうに導き、斷じて再び罪科を犯すやうなことなく永く善良な國民として行動するのに遺憾なきやうにしなければならない。かくして、新日本建設の礎のでき上つた上に、全國民はいよいよ心機を新にし、官民力を協せて荆棘の途を打開し、わが國の直面する幾多の困を克服し、以つて眞の平和國家、新日本の確立に邁進すべきことを期待する。

昭和二十一年十一月三日

司法大臣  木村篤太郞

⦿司法省訓令第四號

外地裁判所等において刑の言渡を受けたるの大赦、復權に關する假證明規程を左の通り定める。

第一條
沖繩縣、樺太、朝鮮若しくは臺灣又は關東州、南洋群島その他日本國外の地域において刑の言渡を受けたで、大赦令又は復權令によって赦又は復權せられたから、其のの本籍地を管轄する地方裁判所又は區裁判所の檢事に對しその赦又は復權の假證明につき申出があつたときは、これに假證明書を交付せよ。
第二條
假證明書には、その種別、申出人の本籍、住居、氏名、年齡、罪名、刑名、刑期、刑の言渡をなした年月日、交付年月日その他必要な事項を記載し、且つ假證明書なることを明にせよ。
第三條
檢事が假證明書を交付したときは、假證明書に前條に規定する事項を記載せよ。

昭和二十一年十一月三日

司法大臣  木村篤太郞

吿示

⦿司法省吿示第九十九號

昭和二十一年勅令第五百十一號大赦令によつて赦免を得られる罪について、刑の言渡を受け既にその刑の執行を終り、若しくは執行の免除を得た者であつて、赦免を得た旨の證明を受けたいものは、その刑の言渡を爲した裁判所(既に廢止された軍法會議又は復員裁判所の言渡にかかるものについては後繼裁判所)の檢事に、これを申し出でなければならない。昭和二十一年勅令第五百十三號復權令によつて、復權を得た者がその旨の證明を受けたいときも亦同じである。

昭和二十一年十一月三日

司法大臣  木村篤太郞

⦿司法省吿示第百號

昭和二十一年司法省訓令第四號によつて、沖繩縣、樺太、朝鮮若しくは臺灣又は關東州、南洋群島その他日本國外の地域において刑の言渡を受け大赦令又は復權令によつて赦免又は復權せられた者で、その旨の假證明を受けたいものは、その者の本籍地を管轄する地方裁判所又は區裁判所の檢事にこれを申し出でなければならない。

昭和二十一年十一月三日

司法大臣  木村篤太郞

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。