大塚徹・あき詩集/雪解
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雪解
[編集]鮎の
舌を刺して
濁り酒 ろんろんと
涙流せば わらわれむ。
(
法の
げに 幸うすき 女なれば
夫ならぬ 男 訪いしは
かりそめならぬ
生ける
はたまた
妻ならぬ 女 抱きて
涙流せば 嗤われむ
ああ 醜聞は
太古より 獣めきたる にんげんの
まして
契る絆の これやこの
―――夢 仇ならず。
涙よ
涙よ
ただもう 春は 涙に解けて……
生ける
今を限りの――恍惚の――涙流して
帰れ 女よ。国境へ――
〈昭和十六年、日本詩壇・生活風景〉