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外国人入国ニ関スル件

提供:Wikisource

内務省令第一号

外国人入国に関する件左の通定む

 大正七年一月二十四日

内務大臣       男爵後藤新平

外務大臣 法学博士子爵本野一郎

第一条 本邦に渡来する外国人にして左記各号の一に該当すと認むる者は地方長官(東京府に於ては警視総監以下之に倣ふ)に於て其の上陸を禁止することを得

 一、旅券又は国籍証明書を所持せさる者

 二、帝国の利益に背反する行動を為し又は敵国の利便を図る虞ある者

 三、公安を害し又は風俗を紊る虞ある者

 四、浮浪又は乞丐の常習ある者

 五、各種伝染病患者其の他公衆衛生上危険なる疾患ある者

 六、心神喪失者心神耗弱者貧困者其の他救助を要すへき虞ある者

 前項第一号の旅券又は国籍証明書は本人の写真を添附したるものにして本国官憲の発給に係り在外帝国大公使又は在外帝国領事官の査証を経たるものに限る

第二条 帝国臣民の入国に関し旅券又は国籍証明書の提示を必要とせさる国の臣民又は人民に付ては特に前条第一項第一号に関する規定を適用せさることを得

第三条 本邦に渡来する外国人は当該警察官吏の請求に応し旅券又は国籍証明書を提示し及第一条第一項各号其の他必要なる事項の調査に関する推問に対し真実なる陳述を為すへし

第四条 前条に違背し又は他人の氏名を記載したる旅券又は国籍証明書を使用し若は虚偽の方法に依り旅券又は国籍証明書の査証を受けたる者は地方長官に於て上陸を禁止し又は帝国領土外に退去を命することを得

第五条 本令の規定は帝国に駐在する外国大公使大公使館員外国領事官領事館員並其の家族及外国政府の公務を帯ふる者に之を適用せす帝国港湾に寄港する外国船舶の乗組員に付亦同し

本令は公布の日より之を施行す但し旅券又は国籍証明書に関する事項は大正七年二月一日より之を施行す

前項但書の期日に於て本邦渡来の途中に在る外国人にして本令第一条の旅券又は国籍証明書の発給又は査証を受くること能はさる事由ありと認むる場合に於ては本令第一条第一項第一号に関する規定を適用せさることを得

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。