外国人ノ入国、滞在及退去ニ関スル件

提供: Wikisource
ナビゲーションに移動 検索に移動

内務省令第六号

外国人の入国、滞在及退去に関する件左の通定む

 昭和十四年三月一日

内務大臣 侯爵 木戸幸一

外務大臣     有田八郎

 外国人の入国、滞在及退去に関する件

第一条 本令に於て入国とは外国人十五日以上滞邦する場合を謂ひ通過とは十五日未満滞邦する場合を謂ふ

第二条 本邦に渡来する外国人にして左の各号の一に該当する者は地方長官(東京府に在りては警視総監以下之に同じ)に於て其の入国又は通過を禁止すべし

 旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書を所持せざる者
 帝国の利益に背反する行動を為し又は敵国の利便を図る虞ある者
 公安を害し又は風俗を紊る虞ある者
 各種伝染病患者其の他公衆衛生上危険なる疾患ある者
 心神喪失者、心神耗弱者、貧困者其の他救助を要すべき虞ある者
 第五条第二項に違反したる者

前項第一号の旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書は本人の写真を貼附したるものにして所属国官憲又は国際慣例に依る特定国官憲の発給に係り且本邦上陸前一年以内に在外帝国大公使若は領事官の査証を経たるもの又は其の発給に係る渡航証明書に限る

査証は入国査証又は通過査証とす通過査証は通過一回限り有効とす

第三条 航空機に依り本邦に渡来する外国人にして前条第一項各号の一に該当する者は地方長官に於て之を降機せしめ最近出航の船舶又は航空機に依り本邦を退去せしむべし

第四条 帝国臣民の入国に関し旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書の提示を必要とせざる国の国民に付ては第二条第一項第一号の規定を、其の旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書に当該国官憲の査証を必要とせざる国の国民に付ては同条第二項中査証に関する規定を適用せざることを得

第五条 本邦に渡来する外国人は各寄港地(飛行場を含む)に於て警察官吏の査閲を経たる後に非ざれば入国又は通過することを得ず

前項の査閲に際し外国人は別記第一号様式に依る申告書に事実を記入署名し、当該警察官吏の請求に応じ旅券其の他の証明書を提示し、必要なる事項の質問に対し真実なる陳述を為すべし

第六条 有効なる旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書を所持せざる外国人にして之を所持せざることに付相当の事由ありと認むるときは地方長官は其の入国又は通過を特許することを得

第二条第一項第五号に該当する外国人にして確実なる監護人又は身元引受人の保証あり地方長官に於て支障なしと認むるときは其の入国又は通過を特許することを得

通過特許又は入国特許を受けんとする外国人は別記第二号様式に依り上陸地地方長官に特許を願出づべし

地方長官外国人に対し第一項又は第二項の特許を与ふる場合は別記第三号様式に依る入国特許証又は通過特許証を発給すべし但し旅券其の他の証明書を所持する場合に於ては之に別記第四号様式に依り入国特許又は通過特許の証印を押捺すべし

本邦を通過する外国人にして入国せんとする者は地方長官に於て第一項又は第二項に準じ其の入国を特許することを得

第七条 本邦を通過する外国人は十五日以上滞邦することを得ず

本邦に入国する外国人にして三十日以上滞邦せんとする者は上陸の日より十日以内に別記第五号様式に依り上陸地又は其の現に滞在する地の地方長官に滞邦許可を願出づべし

滞邦期間満了後引続き滞邦せんとする外国人は期間満了十日前迄に別記第六号様式に依り居住地又は滞在地地方長官に滞邦期間延長の許可を願出づべし

滞邦許可又は滞邦期間延長の許可は一年以内とす

第八条 営業に依り外国人を宿泊せしむる者は宿泊の時より十二時間以内に左の事項を所轄警察署長に届出づべし

 氏 名
 国 籍
 住 所
 年 齢
 職 業
 本邦に於ける上陸地
 前夜宿泊地
 行先地
 投宿日時

前項の届出は所轄の派出所若は駐在所又は巡回の警察官吏に之を為すことを得

宿泊外国人は営業主若は管理人又は之に代るべき者の請求あるときは第一項に掲げたる事項を告げ又は用紙に記載すべし

第九条 六十日以上滞邦する外国人は上陸の日より五十日以内に別記第七号様式に依り所轄警察署長に居住届出を為すべし但し十五歳未満の者は此の限に在らず

居住届出事項中に変更を生じたるときは変更の日より十日以内に所轄警察署長に届出づべし

第一項の外国人其の居住所を移転したるときは移転の日より十日以内に其の旨移転先所轄警察署長に届出づべし

第十条 警察署長は外国人居住登録簿を作製し前条の規定に依り届出を受けたる事項を登録すべし

外国人居住登録簿の閲覧を請求せんとする者は手数料として二十銭を納付すべし

第十一条 居住届出を為したる外国人は最近六月内に撮影したる写真(正面、脱帽、半身像、4.5×6cm形にして台紙に貼附せざるもの)一葉を所轄警察署長に提出し居住証明書の交付を請求することを得

前項の居住証明書の交付を請求せんとする者は手数料として一枚に付五十銭を納付すべし

第十二条 第九条の届出を為したる外国人にして旅券若は国籍証明書又は之に代るべき証明書を取得し得ざる者満洲国又は支那に旅行せんとするときは別記第八号様式に依り居住地所轄警察署長に旅行証明書の下付を願出づべし

旅行証明書は発給の日より六月間有効とす

旅行証明書の下付を受けたる者は手数料として一部に付二十円を納付すべし

旅行証明書を所持する外国人にして満洲国又は支那に駐在する帝国大公使若は領事官の査証を経前項の有効期間内に本邦に帰来する者に対しては第二条第一項第一号の規定を適用せず

第十三条 外国人船員にして搭乗船舶の本邦港湾に碇泊中当該港の所属する市町村域に限り一時上陸し帰船する者に対しては第二条第一項第一号の規定を適用せず

第十四条 外国人第八条第一項各号に掲ぐる事項又は第九条の届出事項其の他必要なる事項に関し警察官吏の質問を受けたるときは真実なる陳述を為すべし

旅券、国籍証明書、船員手帳又は之に代るべき証明書を携帯する外国人は警察官吏の請求に応じ之を提示すべし

第十五条 入国特許を受けたる者は二十円通過特許を受けたる者は十円の手数料を納付すべし

滞邦許可又は滞邦期間延長許可を受けたる者は十円の手数料を納付すべし但し帝国臣民に対し此の種の手数料を徴収せざる国の国民に対しては之を免除す

前二項の手数料は十五歳未満の者及天災其の他不可抗力に因り入国又は通過を特許せられたる者に対しては之を免除す

第十六条 第十条乃至第十二条及前条の手数料は収入印紙を以て納付すべし

第十七条 六十日以上滞邦する外国人本邦を出国せんとするときは予め居住地所轄警察署長に其の旨届出づべし

地方長官は前項の規定に違反したる外国人の入国又は通過を禁止することを得

第十八条 地方長官は左の各号の一に該当する者に対し帝国領土外に退去を命ずることを得

 第二条第一項各号の一に該当する者
 他人の氏名を記載したる旅券若は国籍証明書又は旅行証明書其の他之に代るべき証明書を行使したる者
 虚偽の方法に依り旅券若は国籍証明書又は旅行証明書其の他之に代るべき証明書の査証を経たる者
 第五条第一項の規定に違反したる者
 第七条第二項又は第三項の許可を受けずして滞邦する者

第十九条 第五条第二項、第七条第一項乃至第三項、第八条、第九条又は第十四条の規定に違反したる者は五十円以下の罰金又は拘留若は科料に処す

第二十条 左の各号の一に該当する者は三月以下の懲役若は禁錮又は百円以下の罰金に処す

 地方長官の退去命令に違反したる者
 第十八条第二号乃至第四号の一に該当する者

本令は昭和十四年五月一日より之を施行す

本令施行の際現に帝国領土内に居住する外国人に関しては第七条及第九条に定むる願出又は届出の期間は本令施行の日より起算す

大正七年一月内務省令第一号外国人入国に関する件は之を廃止す

別記[編集]

第一号様式 申告書

第二号様式 入国通過特許願

第三号様式 入国通過特許証

第四号様式 入国特許証印 通過特許証印

第五号様式(1) 滞邦許可願

第五号様式(2) 滞邦許可願(上陸の場合)

第六号様式 滞邦期間延長願

第七号様式 居住届

第八号様式 満洲国支那旅行証明書下附願

外部リンク[編集]

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公文書
  2. 新聞紙又ハ雑誌ニ掲載シタル雑報及時事ヲ報道スル記事
  3. 公開セル裁判所、議会並政談集会ニ於テ為シタル演述

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。