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基督教とは何ぞや/訳者序

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基督教とは何ぞや

この訳書を東北地方に於ける日本基督諸教会に献ぐ

訳者序

本書はジョン・グレッサム・メイチェン博士著 Christianity and Liberalism(1923年ニューヨーク市マクミラン社刊行)の訳である。 過去数年に亘るメイチェンの働きの顕著なるに鑑み余は茲に聊かメイチェンについて紹介を試みたいと思う。

長い間メイチェンは彼の属するプリズビテリアン(長老教会)の外に於いて歓迎されていた。かの英国組合協会のハトン博士がThe British Weekly誌上に於いて熱心にメイチェンを英国の諸教会に紹介したのは七年前の事である。また米国に於ける最有力なる評論家の一人にしてかつ人道主義の指導者であるウォルター・リプマン氏は四年前メイチェンに就いて下の如く言うた、「モダニズム排撃の論拠がある。この論拠は幸いにもChristianity and Liberalismと称する小さき書の中に学者にして同時に紳士であるところの人によりて論じられている。著者はジョン・グレッサム・メイチェン教授その人である。これは称賛に値する書である。怜悧にして目覚ましくかつ機智に富める書なるが故に、この冷静にして厳密なる正統プロテスタント主義の擁護は敵味方いずれの側からも未だ出しことなき好評の論証であると余は考える。吾人は須くメイチェン博士に傾聴すべきである。自由主義者等は彼に対して答ふる所がなければならぬ」。

又The American Mercuryの発行者にして旧風打破を以て名あるアチ・エル・メンケン氏は左の如く言った「メイチェン博士は威厳のある偉大なる学者である。博士は価値ある諸著の作者であり又種々なる学会の会員である。余は、彼のその立場の擁護に欠点を見出しえぬものであることを率直に告白するキリスト教は実際、聖書が提示する如き啓示の宗教であるか。もしそうでないならば、それは取るに足らぬものである。メイチェン博士は極めて解り易くかつ大いなる確信をもて諸問題に対し回答を与えている。彼にその信仰ある限り、彼の立場は全く難攻不落である。彼のその立場の論証には不備の点は少しもない。彼がモダニストの論敵に対してもつ道徳的有利の地位は、その論理的有利の地位に於けると等しく素晴らしくして顕著である」と。斯くメイチェンは素晴らしい称賛の的となっている。何故彼は斯る称賛を受けつつあるか。それは、彼の著書及び論文が堅実なるキリスト教確信を提示しているからである。

メイチェンはプレスビテリアンうちに内にありては幾分か後れて認められた。しかし今や彼はプレスビテリアンより熱烈なる歓迎を受けつつある。彼はその著書を通じてばかりではなく実際運動を通じてプレスビテリアン内に多くの支持者を得つつある。伝統的に言うてプレスビテリアンは聖書信仰を奉ずる神の民である。カルヴィン自身は何よりさきに聖書的神学者であった。ジョン・ノックスよりチャールズ・ホッジに至る三百年間、プレスビテリアンは本道を離るることなく忠実に福音の団体的証しをなしてきた。彼等は聖書を手にして大陸より大陸に渡り、聖書を基として家庭を造り教会を建て、学校及びその他の機関を設立した。然るに今日は如何であるか。それは甚だしくモダニズムの侵害する所となってしまった。このキリスト教の致命的なる敵モダニズムに抗して戦いしは誰であったかメイチェンは過去二十年間終始一貫モダニズムに抗して戦ってきた。彼はプレスビテリアン内に多くの味方を有しているが、同時に多くの敵をも有している。敵は彼に色々の悪罵を投ずる

仙台にて 角田桂嶽