哥羅西書(明治元訳) 第二章

提供:Wikisource

第二章[編集]

1 われなんぢらおよびラヲデキヤにをる人々ひとびとまた肉躰にくたいにあるかほいまざるひとためわがこころらうすること何等いかばかりなるを爾曹なんぢらしらんことをのぞむ
2 わがこころらうするは彼等かれらこころあいよりひとつになりうたがひいだかざるまつた穎悟さとりとみかつちちなるかみとキリストの奧義おくぎしり安慰なぐさめんことをほつするなり
3 智慧ちゑ知識ちしき蓄積たくはへ一切いつさいキリストにかくれあるなり
4 たれにても巧言たくみなることば爾曹なんぢらあざむくことなからんためわれこれらのこといへ
5 それわれ肉體にくたい爾曹なんぢらはなれをるといへどもれい爾曹なんぢらともをりよろこ爾曹なんぢら次序ついであるとキリストをしんずるしん堅固かたきみるなり
6 爾曹なんぢらすでにしゆキリスト・イエスをうけたればかれありあゆむべし
7 なんぢらかれにおきかれありとくたてまたをしへうけたるところしたがひて信仰しんかうかたくしこれますますおほいにして感謝かんしやせよ

8 なんぢらつつしむべしおそらくはキリストにしたがはずひと遺傳つたへ小學せうがくしたが空言くうげんなる理學りがくをもて爾曹なんぢらこころうばは
9 それかみ充足みちたれとくことごと形體かたちをなしてキリストにすめ
10 かれすべてまつりごと權威けんゐかしらなり爾曹なんぢらかれにあり全備ぜんびすることうるなり(※1)
11 爾曹なんぢら(※2)かれありをもてざる割禮かつれいをうくすなはにくからだぬぎさるところのキリストの割禮かつれいなり
12 爾曹なんぢらバプテスマをうけかれともはうむられまたよりかれよみがへらししかみ大能はたらきしんずるによりかれともよみがへらされたり
13 なんぢらさきにはもろもろつみ割禮かつれいなきとによりしにたるものなりされかみ爾曹なんぢらをしてすべてつみゆるかれともいかしめ
14 かつにてしるししところ我儕われらせむ規條いましめふみすなはち我儕われらさからふものをぬりけしこれを中間ちうかんよりとりくぎその十字架じふじかつけたまへり
15 また政事まつりごととるもの權威けんゐあるものほろぼ彼等かれら衆人すべてのものしめしキリストによりかちほこれり

16 このゆゑあるひのむことあるひくらふことあるひ節期せつきあるひは月朔ついたちあるひは安息日あんそくにちことによりひとをして爾曹なんぢらせしむることなか
17 此等これらみなきたらんとするものかげにしてそのまことかたちはキリストにつけ
18 謙卑へりくだることと天使てんのつかひはいすることとにより爾曹なんぢら襃美はうび諞奪あざむきとらんとするひとその襃美はうびとらるるなかかくごとひといまざるものうかがおのれこころしたがひてみだりほこかしらつくことをざるなり
19 全體ぜんたいこのかしらによりもろもろふしすじをもてあひたすあひつらなりかみそだてられてそだつなり
20-21-22 もし爾曹なんぢらキリストとともしに小學せうがくよりはなれたらんにはなんありおくものごとひといましめをしへしたがさはなかあぢはなかふるなかれといふ律法おきてしたになるや此等これらきんじたるものすべひとこれをもちゐればつくるなり
23 此等これら規條いましめみづか縱肆ほしいままにしてはいすることをなしかつ謙卑へりくだりかつをしまざるにより智慧ちゑあるものごとみゆれどもじつたふとものあらずただ肉體にくたいよく充足みちたらするなり

※1 明治14(1881)年版では「なり」→「なり」。
※2 明治14(1881)年版では「爾曹なんぢら」→「なんぢら」。