哥林多前書(明治元訳) 第一章

提供:Wikisource

第一章[編集]

1 かみそのむねによりめしてイエス・キリストの使徒しととなしたまへるパウロおよ兄弟きやうだいソステネ
2 ふみをコリントにあるかみ教會けうくわいすなはちキリスト・イエスにありきよめられめされて聖徒せいととなれるものおよび彼等かれらところにも我儕われらところにもすべてのところおい我儕われらしゆイエス・キリストのよぶものにまでおく
3 なんぢらねがはくは我儕われらちちなるかみおよびしゆイエス・キリストより恩寵めぐみ平康やすきうけ

4 イエス・キリストにあり爾曹なんぢらたまはりしかみ恩寵めぐみについてわれつね爾曹なんぢらためわがかみ感謝かんしや
5 そはなんぢらかれありすべてのことすなはちすべて教訓をしへすべて知識ちしきとむことをたればなり
6 これキリストのあかしなんぢらのうちかたうせられしによる
7 かく爾曹なんぢらたまはれるところ恩寵めぐみかくることなく我儕われらしゆイエス・キリストのあらはれんことをまて
8 かみをはりまで爾曹なんぢらかたく我儕われらしゆイエス・キリストのおい爾曹なんぢらとがなからしむ
9 それかみ誠信まことなりかれなんぢらをめしそのわれらのしゆイエス・キリストの交際まじはりいらしめたまへり

10 兄弟きやうだい我儕われらしゆイエス・キリストのよりわれらなんぢらにすす爾曹なんぢらみないふことをおなじうかつ分爭わかるることなくこころおなじうおもひおなじうして聯合ひとつにあふべし
11 そはわが兄弟きやうだいよクロエの家人いへのひと爾曹なんぢら(※1)のことわれつげ爾曹なんぢらうちあらそひありといひたればなり
12 爾曹なんぢらおのおのわれはパウロわれはアポロわれはケパわれはキリストにぞくすといふわれこれいふなり
13 キリストは數多あまたわかるるものならんパウロは爾曹なんぢらため十字架じふじかつけられしまた爾曹なんぢらはバプテスマをうけてパウロのいりしや
14 われかみしやわれはクリスポとガヨスのほかなんぢらのうち一人ひとりにもバプテスマをほどこししことなし
15 わがよりてバプテスマをほどこすとひといはれんことをおそれたればなり
16 われまたステパナの家族いへのものにバプテスマをほどこせりこのほかにはわれひとにバプテスマをほどこししことあるいなしら
17 キリストのわれつかはししはバプテスマをほどこさせんためあら福音ふくいんのべつたへしめんためなりまたわれにことば智慧ちゑもちゐしめたまはずこれキリストの十字架じふじかむなしくならざらんためなり
18 それ十字架じふじかをしへ沈淪ほろぶるものにはおろかなるもの我儕われらすくはるるものにはかみちからたるなり
19 すなはしるしてわれ智者ちしやほろぼさときものさときむなしくせんとあるごと
20 智者ちしやいづくにある學者がくしやいづくあるこの論者ろんしやいづくにあるかみこの智慧ちゑをしておろかならしむるにあらずや
21 世人よのひとおのれ智慧ちゑたのみかみしらこれかみ智慧ちゑかなへるなりこのゆゑかみ傳道でんだうおろかなるをしんずるものすくふよしとせり
22 ユダヤびと休徴しるしこひギリシヤびと智慧ちゑもと
23 我儕われら十字架じふじかつけられしキリストをのべつたすなはこれはユダヤびとにはつまづものギリシヤびとにはおろかなるものなり
24 されめされたるものにはユダヤびとにもギリシヤびとにもキリストはかみ大能ちからまたかみ智慧ちゑなり
25 それかみおろかひとよりもさとかみよわきひとよりもつよ
26 兄弟きやうだいめしかうむれる爾曹なんぢらにくよれ智慧ちゑあるものおほからずちからあるものおほからずたふとものおほからざるなり
27 かみ智慧ちしやはづかしめんとておろかなるものえらつよきものはづかしめんとてよわきものえら
28 またかみあるものほろぼさんとていやしきもの藐視かろしめらるるものすなはなきごとものえらたまへり
29 これすべてひとかみまへほこることなからんためなり
30 爾曹なんぢらかみよりてキリスト・イエスにありイエスはかみたてられて爾曹なんぢら智慧ちゑまたまたきよきまたあがなひなりたまへり
31 しるしてほこるものしゆよりほこるべしとあるごと

※1 明治14(1881)年版では「爾曹なんぢら」→「なんぢら」。