加拉太書(明治元訳) 第一章

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第一章[編集]

1 ひとよりにあらまたひとよらずイエス・キリストとかれよりよみがへらししちちなるかみよりたてられたる使徒しとパウロ
2 およわれともあるすべての兄弟きやうだいガラテヤのしよ教會けうくわいふみおく
3 なんぢらねがはくはちちなるかみおよび我儕われらしゆイエス・キリストより恩寵めぐみ平康やすきうけ
4 キリストは我儕われらちちなるかみむねしたがいまあしきより我儕われらすくひいださんとて我儕われらつみためおのすてたまへり
5 ねがはくはさかえかれして世々よよいたれアメン(※1)

6 キリストのめぐみをもて爾曹なんぢらめしたるもの爾曹なんぢら如此かくすみやかにはなれてことなる福音ふくいんうつりことわれあやしむ
7 これ福音ふくいんあらあるひとただ爾曹なんぢらみだしキリストの福音ふくいんかへんとするなり
8 我儕われらにもせよてんよりの使者つかひにもせよもしわれらがかつ爾曹なんぢらつたへところさから福音ふくいん爾曹なんぢらつたふもののろはるべし
9 我儕われらすでいひしがいままたわれそのごといはもしなんぢらがうけところさから福音ふくいん爾曹なんぢらつたふもののろはるべし
10 いまわれひとしたしみんことをもとむるやかみしたしみんことをもとむるやあるひひとこころんことをねがふやもしわれひとこころんことをねがはばキリストのしもべあらざるべし

11 兄弟きやうだいわれなんぢらにしめわれかつ爾曹なんぢらつたへところ福音ふくいんひとよりいづるにあら
12 そはわれこれひとよりうけまたをしへられずただイエス・キリストの默示しめしよりうけたればなり
13 わがさきにユダヤけうありしときおこなひたること爾曹なんぢらきけすなははなはだしくかみ教會けうくわいせめかつこれ殘賊ほろぼせり
14 われまたこころひとよりも先祖せんぞたち遺傳いひつたへあつくしユダヤけうありては國人くにびとのうちとし相若ひとしきおほくのものまさりたり
15 しかれどもははたいいでときよりわれえらびおきめぐみをもてわれめしたまひしかみ
16 その異邦人いはうじんなかのべしめんがためこころよしとしてかれわがこころしめたまへるそのときわれただち血肉けつにくはかることをせず
17 またわれよりさき使徒しとなりてエルサレムにあるところのものにもゆかずアラビヤにゆきまたダマスコにかへれり
18 さんねんのちペテロをたづねためにエルサレムにのぼじふにちかれともをりしが
19 ほか使徒しとたちにはしゆ兄弟きやうだいヤコブをのぞきてはたれにもあはざりき
20 いまわが(※2)爾曹なんぢらかきおくところかみまへいつはれることなし
21 そののちわれスリヤ、キリキヤのいたれり
22 しかれどもユダヤにあるキリストのしよ教會けうくわいかほしらざりき
23 ただかれらはさきおのれせめしものいまはそのさきほろぼさんとしたる信仰しんかうみち宣傳のべつたふときき
24 わがことよりかみあがむることを

※1 明治14(1881)年版では「アメン」→「アーメン」。
※2 明治14(1881)年版では「わが」→「わが」。