初等科國語 六/ばらの芽

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十七 ばらの芽[編集]

正岡子規しき

くれなゐの二尺のびたるばらの芽の針やはらかに春雨の降る
松の葉の葉ごとにむすぶ白露のおきてはこぼれこぼれてはおく

島木赤彦あかひこ

雪降れば山よりくだる小鳥多し障子のそとにひねもす聞ゆ

若山牧水ぼくすゐ

土ぼこりうづまき立つや十あまり荷馬車すぎ行く夏草の野路に

伊藤左千夫いとうさちを

汽車の來る重き力の地ひびきに家鳴やなりとよもす秋の晝すぎ
おとろへしはへの一つが力なく障子にはひて日はしづかなり
國こぞり心ひとつとふるひ立ついくさの前に火も水もなし