コンテンツにスキップ

以弗所書(明治元訳) 第四章

提供: Wikisource

第四章

[編集]

1 然(さ)れば主(しゆ)に在(あり)て囚人(めしうど)となれる我(われ)なんぢらに勸(すすむ)なんぢら召(めさ)れし召(めし)に符(かなひ)て行(おこな)はんことを
2 悉(ことごと)く謙遜(けんそん)と柔和(にうわ)と寛容(ゆるやか)なる心(こころ)を以(も)て行(おこな)ひ愛(あい)を以(も)て互(たがひ)に忍(しの)び
3 平和(へいわ)といふ繫(つなぎ)の中(うち)に務(つとめ)て靈(みたま)の賜(たま)ふ所(ところ)の一(ひとつ)なるを守(まも)るべし
4 體(からだ)は一(ひとつ)靈(みたま)は一(ひとつ)なり爾曹(なんぢら)の召(めさ)れて有(たも)つ所(ところ)の望(のぞみ)の一(ひとつ)なるが如(ごと)し
5 主(しゆ)一(ひとつ)信仰(しんかう)一(ひとつ)バプテスマ一(ひとつ)
6 神(かみ)すなはち萬人(すべてのひと)の父(ちち)一(ひとつ)なり彼(かれ)は萬人(すべてのひと)の上(うへ)にあり萬人(すべてのひと)に貫(つらぬ)き萬人(すべてのひと)の中(うち)に在(あり)
7 われら各人(おのおの)にキリストの賜(たま)ふ所(ところ)の量(りやう)に循(したが)ひて恩(めぐみ)を賜(たま)ふなり
8 是(この)故(ゆゑ)に云(いへ)ること有(あり)かれ上(うへ)に昇(のぼり)しとき擄(とりこ)にする者(もの)を擄(とりこ)にし賜(たまもの)を人(ひと)に給(たま)へりと
9 已(すで)に上(うへ)に昇(のぼ)れりと謂(いへ)ば先(まづ)地(ち)の下(した)に降(くだ)りしに非(あら)ずや
10 降(くだ)りし者(もの)は即(すなは)ち諸(もろもろ)の天(てん)の上(うへ)に昇(のぼ)りし者(もの)なり彼(かれ)よろづの物(もの)に滿(みた)んとす
11 その賜(たま)ひし所(ところ)は使徒(しと)あり預言者(よげんしや)あり傳道者(でんだうしや)あり牧師(ぼくし)あり教師(けうし)あり
12 これ聖徒(せいと)を全(まつた)ふし服役(つとめ)の事(こと)を行(おこな)ひキリストの體(からだ)の徳(とく)を建(たて)
13 我儕(われら)をして皆(みな)おなじく神(かみ)の子(こ)を信(しん)じ之(これ)を知(し)り全(まつたき)人(ひと)すなはちキリストの滿足(みちたれ)るほどと成(なる)までに至(いた)り
14 今(いま)よりのち嬰兒(こども)ならず人(ひと)の詭譎(いつはり)の術(てだて)と誘惑(まどはし)の巧(たくみ)に蕩漾(ただよは)さるることなく各樣(さまざま)の教(をしへ)の風(かぜ)に搖動(うごか)されず
15 愛(あい)をもて眞理(まこと)を行(おこな)ひ長(そだち)て凡(すべて)のこと首(かしら)なるキリストに效(ならは)しめん爲(ため)なり
16 彼(かれ)を本(もと)とし全體(ぜんたい)すべての百節(ふしぶし)の助(たすけ)によりて聯絡(つらなり)鞏固(かたまり)その肢體(したい)おのおの分量(ぶんりやう)に循(したが)ひ方行(はたらき)て其(その)體(からだ)を育(そだて)みづから愛(あい)に由(より)て徳(とく)を建(たつ)るなり

17 是(この)故(ゆゑ)に我(われ)これを言(い)ひ主(しゆ)に在(あり)て爾曹(なんぢら)を戒(いまし)む爾曹(なんぢら)今(いま)よりのち異邦人(いはうじん)の如(ごと)く其(その)心(こころ)の邪曲(よこしま)なるに任(まか)せて行(おこな)ふべからず
18 かれら心(こころ)昏(くら)き者(もの)なり又(また)知(しる)ところ無(なき)により頑(かたくな)なるに因(より)て神(かみ)の生(いのち)に遠(とほざ)かれり
19 彼等(かれら)は恥(はぢ)を知(しら)ず好(このみ)て凡(すべて)の汚(けがれ)を行(おこな)はん爲(ため)に己(おのれ)を放蕩(はうたう)に付(わた)せり
20 然(され)ど爾曹(なんぢら)は此(かく)の如(ごと)く行(おこな)はん爲(ため)にキリストを學(まな)べるに非(あら)ず
21 爾曹(なんぢら)かれに聞(きき)かれの教(をしへ)を受(うけ)てイエスにある眞理(まこと)を知(しり)しならん
22 なんぢら夙(さき)に習(ならへ)る舊(ふるき)人(ひと)すなはち人(ひと)を惑(まど)はす慾(よく)の爲(ため)に壞(やぶ)らるるものを脱(ぬぎ)
23 また爾曹(なんぢら)の心(こころ)の靈(れい)を新(あらた)にし
24 神(かみ)に象(かたど)りて眞理(まこと)の義(ただしき)と潔(きよき)にて造(つく)れる新(あたらしき)人(ひと)を衣(き)るべし
25 斯(かく)て謊言(いつはり)を去(すて)おのおの其(その)隣(となり)に眞(まこと)を言(いふ)べし蓋(そは)われら互(たがひ)に肢(えだ)なれば也(なり)
26 怒(いかり)て罪(つみ)を犯(をか)すこと勿(なか)れ怒(いかり)て日(ひ)の入(いる)までに至(いた)ること勿(なか)れ
27 惡魔(あくま)に處(ところ)を得(え)さすること勿(なか)れ
28 竊(ぬすみ)をする者(もの)復(また)ぬすみを爲(する)なかれ寧(むし)ろ貧者(まづしきもの)に施(ほどこ)さんために勵(はげみ)て手(て)づから善(よき)工(わざ)を作(なす)べし
29 凡(すべ)て汚(けがれ)たる言(ことば)を爾曹(なんぢら)の口(くち)より出(いだ)すこと勿(なか)れ唯(ただ)時(とき)に從(したが)ひて人(ひと)の徳(とく)を建(たつ)べき善(よき)事(こと)をいひ聽(きく)者(もの)をして益(えき)あらしむべし
30 神(かみ)の聖靈(せいれい)をして憂(うれへ)しむること勿(なか)れ爾曹(なんぢら)救(すくひ)を得(う)る日(ひ)の爲(ため)に彼(かれ)の印(いん)を受(うけ)し者(もの)なり
31 爾曹(なんぢら)すべての很毒(にがきこと)、恚憾(いきどほり)、忿怒(いかり)、喧嚷(さはぎ)、謗讟(ののしり)また諸(すべて)の惡(あく)を己(おのれ)より去(すつ)べし
32 互(たがひ)に仁慈(なさけ)と憐恤(あはれみ)あるべしキリストに在(あり)て神(かみ)なんぢらを赦(ゆる)し給(たま)へる如(ごと)く爾曹(なんぢら)も互(たがひ)に赦(ゆる)すべし