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人身保護法 (日本)

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第一章 総則

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第一条

この法律は、基本的人権を保障する日本国憲法の精神に従い、国民をして、現に、不当に奪われている人身の自由を、司法裁判により、迅速、且つ、容易に回復せしめることを目的とする。

第二条

法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。
2 何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。

第三条

前条の請求は、弁護士を代理人として、これをしなければならない。但し、特別の事情がある場合には、請求者みずからすることを妨げない。

第四条

第2条の請求は、書面又は口頭をもつて、被拘束者、拘束者又は請求者の所在地を管轄する高等裁判所若しくは地方裁判所に、これをすることができる。

第五条

請求は、左の事項を明らかにし、且つ、疏明資料を提供しなければならない。
  1. 被拘束者の氏名
  2. 請願の趣旨
  3. 拘束の事実
  4. 知れている拘束者
  5. 知れている拘束の場所

第六条

裁判所は、第2条の請求については、速かに裁判しなければならない。

第七条

裁判所は、請求がその要件又は必要な疏明を欠いているときは、決定をもつてこれを却下することができる。

第八条

第2条の請求を受けた裁判所は、請求者の申立に因り又は職権をもつて、適当と認める他の管轄裁判所に、事件を移送することができる。

第九条

裁判所は、前2条の場合を除く外、審問期日における取調の準備のために、直ちに拘束者、被拘束者、請求者及びその代理人その他事件関係者の陳述を聴いて、拘束の事由その他の事項について、必要な調査をすることができる。
2 前項の準備調査は、合議体の構成員をしてこれをさせることができる。

第十条

裁判所は、必要があると認めるときは、第16条の判決をする前に、決定をもつて、仮りに、被拘束者を拘束から免れしめるために、何時でも呼出しに応じて出頭することを誓約させ又は適当と認める条件を附して、被拘束者を釈放し、その他適当な処分をすることができる。
2 前項の被拘束者が呼出に応じて出頭しないときは、勾引することができる。

第十一条

準備調査の結果、請求の理由のないことが明白なときは、裁判所は審問手続を経ずに、決定をもつて請求を棄却する。
2 前項の決定をなす場合には、裁判所は、さきになした前条の処分を取消し、且つ、被拘束者に出頭を命じ、これを拘束者に引渡す。

第十二条

第7条又は前条第1項の場合を除く外、裁判所は一定の日時及び場所を指定し、審問のために請求者又はその代理人、被拘束者及び拘束者を召喚する。
2 拘束者に対しては、被拘束者を前項指定の日時、場所に出頭させることを命ずると共に、前項の審問期日までに拘束の日時、場所及びその事由について、答弁書を提出することを命ずる。
3 前項の命令書には、拘束者が命令に従わないときは、勾引し又は命令に従うまで勾留することがある旨及び遅延1日について、500円以下の過料に処することがある旨を附記する。
4 命令書の送達と審問期日との間には、3日の期間をおかなければならない。審問期日は、第2条の請求のあつた日から一週間以内に、これを開かなければならない。但し、特別の事情があるときは、期間は各これを短縮又は伸長することができる。

第十三条

前条の命令は、拘束に関する令状を発した裁判所及び検察官に、これを通告しなければならない。
2 前項の裁判所の裁判官及び検察官は、審問期日に立会うことができる。

第十四条

審問期日における取調は、被拘束者、拘束者、請求者及びその代理人の出席する公開の法廷において、これを行う。
2 代理人のないときは、裁判所は弁護士の中から、これを選任せねばならない。
3 前項の代理人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。

第十五条

審問期日においては、請求者の陳述及び拘束者の答弁を聴いた上、疏明資料の取調を行う。
2 拘束者は、拘束の事由を疏明しなければならない。

第十六条

裁判所は審問の結果、請求を理由なしとするときは、判決をもつてこれを棄却し、被拘束者を拘束者に引渡す。
2 前項の場合においては、第11条第2項の規定を準用する。
3 請求を理由ありとするときは、判決をもつて被拘束者を直ちに釈放する。

第十七条

第7条、第11条第1項及び前条の裁判において、拘束者又は請求者に対して、手続に要した費用の全部又は一部を負担させることができる。

第十八条

裁判所は、拘束者が第12条第2項の命令に従わないときは、これを勾引し又は命令に従うまで勾留すること並びに遅延1日について、500円以下の割合をもつて過料に処することができる。

第十九条

被拘束者から弁護士を依頼する旨の申出があつたときは、拘束者は遅滞なくその旨を、被拘束者の指定する弁護士に通知しなければならない。

第二十条

第2条の請求を受けた裁判所又は移送を受けた裁判所は、直ちに事件を最高裁判所に通知し、且つ事件処理の経過並びに結果を同裁判所に報告しなければならない。

第二十一条

下級裁判所の判決に対しては、3日内に最高裁判所に上訴することができる。 

第二十二条

最高裁判所は、特に必要があると認めるときは、下級裁判所に係属する事件が、如何なる程度にあるを問わず、これを送致せしめて、みずから処理することができる。
2 前項の場合において、最高裁判所は下級裁判所のなした裁判及び処分を取消し又は変更することができる。

第二十三条

最高裁判所は、請求、審問、裁判その他の事項について、必要な規則を定めることができる。

第二十四条

他の法律によつてなされた裁判であつて、被拘束者に不利なものは、この法律に基く裁判と抵触する範囲において、その効力を失う。

第二十五条

この法律によつて救済を受けた者は、裁判所の判決によらなければ、同一の事由によつて重ねて拘束されない。

第二十六条

被拘束者を移動、蔵匿、隠避しその他この法律による救済を妨げる行為をした者若しくは第12条第2項の答弁書に、ことさら虚偽の記載をした者は、2年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。

附則

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  • この法律は、公布の後60日を経過した日から、これを施行する。

附 則 (令和四年六月一七日法律第六八号) 抄

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(施行期日)

1 この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第五百九条の規定 公布の日

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。