ヨハネの神聖なる黙示(新契約聖書) 第十八章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第十八章[編集]

1 また此等の事の後われ大なる權をもちて天より降る他の天使を見しに、地はその榮光にて照らされたり。
2 また彼は强く大なる聲にて叫び云ひけるは、倒れたり、大なるバビロンは倒れたり、かくて惡魔の住家、またすべての不淨なる靈の檻、またすべての不淨にして憎むべき鳥の檻となれり。
3 そはすべての國人は彼の淫行の恚の葡萄酒を飮み、また地の王等は彼と淫を行ひ、また地の商人等は彼の奢の力にて富ましめられたればなり。

4 また天より別の聲をわれ聞けり、云ひ給ひけるは、我が民よ、彼の罪にあづかることなく、また彼の殃のうちを受くることなからんために、彼より出で來れ。
5 そは彼の罪は天にまで跟き往きたれば、神はその不義を憶ひ出で給ひたればなり。
6 彼が汝等に爲しし如く彼に爲し、彼のわざに循ひ倍して彼に返せ、彼が酌みし杯には倍して彼に酌み與へよ。
7 彼が己自らを頌め、且つ奢りし如くその如く、彼に苛責と悲とを與へよ、そは彼はその心のうちに、我は女王〔の位〕に坐す、且つ我は嫠にあらず、されば必ず我は悲を見ることなかるべし、と云へばなり。
8 此のゆゑに死と悲と饑饉など、彼の殃は一日のうちに來らん、且つ彼は火にて燒き盡されん、そは主、彼を裁き給ふ神は、强くおはすが故なり。
9 また彼と淫を行ひ、且つ奢りたる地の王等は、彼の燒かるる煙を見るとき、彼のために泣き且つ歎かん。
10 〔彼等は〕その苛責の懼のゆゑに、遙に立ちて云はん、禍なるかな、禍なるかな、大なるバビロン、强き市よ、そは汝の裁は一と時に到りたればなり。
11 また地の商人等も彼のために泣き、且つ悲しまん、そは彼等の船荷をもはや買ふ者なければなり。
12 その船荷は金、また銀、また貴き石、また眞珠、また麻の細布、また.紫、また絹、また緋、またすべての香り木、またすべての象牙細工、またすべての貴き木にて作れる器、また銅の、また錢の、また蠟石の器、
13 また肉桂、[また益智やくち]、また香、また香油、また沒藥、また葡萄酒、またエライオン、また麥粉、また小麥、また家畜、また羊、また馬、また戰車、また人の體また魂なり。
14 かくて汝の魂の欲するれたる果物は汝より去り、またすべての肥えたる物と、華やかなる物とは汝より去りたり。さればこの後、必ずこれを見出だすことなかるべし。
15 彼に富ましめられたる此等の商人等は、彼の苛責の懼のゆゑに、遙に立ちて泣き、且つ悲しみて、
16 云はん、禍なるかな、禍なるかな、大なる市、麻の細布と紫と緋とを纒ひ、また金と貴き石と眞珠とにて飾りたるものよ、かくばかり大なる富の、一と時に荒れ廢れしとは。
17 またすべての船長、またすべて海を航る人々、また舟子、また海を生業とする者など、遙に立ちて、
18 彼の燒くる煙を觀て叫び、云ひけるは、何れの〔市〕か此の大なる市に等しきものぞ。
19 また彼等は塵を己が頭の上に投げ、泣き且つ悲しみつつ叫び、云ひけるは、禍なるかな、禍なるかな、大なる市、その奢にてすべて海に船を有てる者を、そのうちにて富ましたる市よ、そは一と時に荒れ廢らしめられたればなり。
20 天よ、また聖徒等よ、〔また〕使徒等よ、また豫言者等よ、彼につきて喜べ、そは神は彼につきて、汝等の裁を裁き給ひたればなり。

21 また一〔人〕の强き天使、大なる碾臼の如き石を取り上げ、海に投げ入れて云ひけるは、かくの如く大なる市バビロンは投げ倒さるべし、かくて必ず再び見出ださるることなかるべし。
22 されば立琴を掻き鳴らす者、また樂を奏する者、また笛吹く者、また喇叭を吹き鳴らす者の聲、必ず再び汝のうちに聞えず、また如何なる細工を作す如何なる細工人も、必ず再び汝のうちに見出だされず、また碾臼の音、必ず再び汝のうちに聞えざるべし。
23 また燈火の光、必ず再び汝のうちに輝かず。また花聟と花嫁の聲、必ず再び汝のうちに聞えざるべし。そは汝の商人等は地の大なる者なりしが故なり、そはすべての國人は汝の咒術にて惑はされたればなり。
24 また豫言者等及び聖徒等、幷に地の上にて殺されたるすべての者の血は、彼のうちにて見出だされたり。