ヨハネの神聖なる黙示(新契約聖書) 第五章

提供:Wikisource
  • : この文書ではルビが使用されています。ここでは「単語ルビ」の形で再現しています。一部の古いブラウザでは、ルビが正しく見えない場合があります。

第五章[編集]

1 また我は位に坐し給ふ者の右手に、内と裏とに錄されて、七つの印にて封せられたる小卷を見たり。
2 また我は大聲にて、此の小卷を開き、またその封印を解くに値するは誰なるか、と宣ぶる强き天使を見たり。
3 然るに天にも、また地にも、また地の下にも、その小卷を開き、またこれを視ることを得る者一人もなかりき。
4 さればわれ甚く泣けり。そはその小卷を開きて讀み、またこれを視るに値する者を見出ださざりければなり。
5 然るに長老等のうちの一〔人〕、我に云ふ、泣く勿れ。見よ、ユダの族の者なる獅子、ダビデの根、この小卷を開き、またその七つの封印を解くことに勝を得たり。
6 またわれ見しに、見よ。位とかの四つの生き物との眞中に、またかの長老等の眞中に、殺されたる如き羔の立ち給ふ。〔これに〕七つの角と七つの目とあり、是れ地のすべてに使はされたる、神の七つの靈なり。
7 かくて彼は來り給へり、且つ位に坐し給ふ者の右手より、その小卷を取り給へり。
8 また彼のその小卷を取り給ひしとき、かの四つの生き物と、かの二十四の長老等、その羔の面前に伏したり。彼等はおのおの立琴と、香の滿ちたる金の鉢とを持てり、〔此の香は〕これ聖徒等の禱なり。
9 また彼等は新しき歌を謂ひて、云ひけるは、汝はその小卷を受け、且つその封印を開くに値し給ふ。そは殺され給ひ、且つその血をもて、我等をすべての族と言葉と民と國人とのうちより、神のために買ひ給ひ、
10 かくて我等の神のために、これを王となし、また祭司となし給ひたればなり。されば地の上にて我等は王たるべし。
11 またわれ見しに、位とかの生き物と長老等との圍に、多くの天使の聲[の如きもの]を聞けり、[またその數は數萬の數萬]と數千の數千なりき」
12 彼等大聲に云ひけるは、殺され給ひし此の羔は、力と富と智慧と强と敬と榮光と祝福とを受くるに値し給ふなり。
13 またわれ、天に在り、また地に在り、また地の下に在るもの、また海の上に在るもの、またすべてそのうちに在るものなる、すべての創造せられたるものの、云ふことを聞けり。祝福と敬と榮光と勢とは、世々の世々に至るまで、位に坐し給ふ者に卽ち羔に〔あれかし〕。
14 またかの四つの生き物云へり、アメン。またかの二十四の長老等は伏せり、かくて世々の世々に至るまで生き給ふ者に平伏せり。