マトフェイ伝05

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イイススぐんしゆうて、やまのぼれり、すでせしに、そのもんかれけり。

かれくちひらきて、これをしへてへり、

神゚しんまづしきものさいはひなり、てんこくかれものなればなり。

ものさいはひなり、かれなぐさめんとすればなり。

をんじうなるものさいはひなり、かれがんとすればなり。

かわものさいはひなり、かれくをんとすればなり。

あはれあるものさいはひなり、かれあはれんとすればなり。

こゝろきよものさいはひなり、かれかみんとすればなり。

へいおこなものさいはひなり、かれかみづけられんとすればなり。

一〇ためきんちくせらるゝものさいはひなり、てんこくかれものなればなり。

一一ひとわれためなんぢのゝしり、きんちくし、なんぢこといつはりてもろしきことばはんときは、なんぢさいはひなり、

一二よろこたのしめよ、てんにはなんぢむくひおほければなり、けだしひとくのごとなんぢよりさきなりしげんしやきんちくせり。

一三なんぢしほなり、しほそのあぢうしなはゞ、なにもつそのしほはゆきかへさん、のちまたもちゐるところなく、たゞそとてられて、ひとまれんのみ。

一四なんぢひかりなり、やまうへてるまちかくるゝあたはず。

一五ひとともしびともして、これますしたかず、すなはちとうだいうへく、しからばおよいへものる。

一六かくごとなんぢひかりひとまへるべし、かれなんぢおこなひて、てんいまなんぢちゝさんえいせんためなり。

一七われりつぱふあるひげんしやこぼたんためきたれりとおもなかれ、きたれるはこれこぼつにあらず、すなはちこれさんためなり。

一八けだしわれまことなんぢぐ、てんはいするにいたるまでは、りつぱふいつてんくわくくわくはいせずして、ことらん。

一九ゆゑちひさいましめひとつこぼち、かつくのごとひとをしへんものは、てんこくおいちひさものとなへられん、ただこれおこなひ、かつをしへんものは、てんこくおいおほいなるものとなへられん。

二〇けだしわれなんぢぐ、なんぢがくおよファリセイまさらずば、なんぢてんこくるをず。

二一なんぢいにしへひとへるあるをけり、ころなかれ、ころものしんばんあづからんと。

二二しかれどもわれなんぢぐ、およゆゑなくしてそのけいていいかものしんばんあづからん、そのけいていおろかものよとものこうくわいあづからん、しれものよともの地獄ゲエンナあづからん。

二三ゆゑなんぢさゝげものさいだんたづさいたり、しこおいて、なんぢけいていなんぢひまあるをおもおこさば、

二四なんぢさゝげものさいだんまへき、きて、なんぢけいていやわらぎ、のちきたりて、なんぢさゝげものけんぜよ。

二五なんぢうつたふるものともなほみちときすみやかこれやわらげ、おそらくはうつたふるものなんぢさいはんくわんわたし、さいはんくわんなんぢしたやくわたして、なんぢひとやとうぜられん。

二六われまことなんぢぐ、なんぢがうだにつくのはずば、かしこよりづるをず。

二七なんぢいにしへひとへるあるをけり、いんするなかれと。

二八しかれどもわれなんぢぐ、およよくいだきてをんなものは、こころうちすでこれいんせしなり。

二九なんぢみぎなんぢつみいざなはゞ、くじりて之をてよ、けだしなんぢひやくたいひとつうしなふは、ぜんしん地獄ゲエンナとうぜらるゝよりまされり。

三〇なんぢみぎなんぢつみいざなはゞ、ちてこれてよ、けだしなんぢひやくたいひとつうしなふは、ぜんしん地獄ゲエンナとうぜらるゝよりまされり。

三一またへるあり、ひとそのつまさば、これしよあたふべしと。

三二しかれどもわれなんぢぐ、いんゆゑあらずしてそのつまだすものは、これかんいんおこなはしむるなり、いだされたるをんなめとものかんいんおこなふなり。

三三またなんぢいにしへひとへるあるをけり、ちかひそむなかれ、すなはちなんぢちかひしゆまへまもれと。

三四しかれどもわれなんぢぐ、いつさいちかなかれ、てんしてちかなかれ、かみはうなればなり、

三五してちかなかれ、そのあしだいなればなり、イエルサリムしてちかなかれ、だいわうまちなればなり、

三六なんぢかうべしてちかなかれ、なんぢひとすぢだにしろあるひくろくするあたはざればなり。

三七なんぢことばしかりいなたるべし、これぐるものあくよりするなり。

三八なんぢへるあるをけり、もつつくのひ、もつつくのへと。

三九しかれどもわれなんぢぐ、あくてきするなかれ、すなはちひとなんぢみぎほゝうたたば、ほゝをもこれけよ。

四〇なんぢうつたへて、なんぢしたらんとほつするものには、うはをもることをゆるせ。

四一ひとなんぢひて、ともいちかしめば、これともけ。

四二なんぢもとむるものにはあたへ、なんぢらんとほつするものしりぞくるなかれ。

四三なんぢへるあるをけり、なんぢとなりあいし、なんぢてき憎にくめと。

四四しかれどもわれなんぢぐ、なんぢてきあいし、なんぢのろものしゆくふくし、なんぢ憎にくものぜんし、なんぢしへたげ、なんぢきんぢくするものためいのれ、

四五てんいまなんぢちゝらんためなり、けだしかれそのしきものものうへてらし、あめなるものなるものうえらす。

四六けだしなんぢなんぢあいするものあいせば、なにむくいかあらん、ぜいくのごとことおこなふにあらずや、

四七なんぢなんぢけいていにのみあんとひはゞ、なにぎたることかをさん、はうじんくのごとふにあらずや。

四八ゆゑなんぢじゆんぜんなること、なんぢてんちゝじゆんぜんなるがごとれ。